Ken Yokoyama、個の力強さが問われる時代に示す音楽家の矜持

コロナ禍によってライブハウスの存在意義が社会問題化する中にあって、Ken Yokoyamaの発言を待っていた人はきっと多かったはず。しかし、昨年10月に『PUNKROCKERS BOWL』を体調不良でキャンセルして以降、バンドとしての表立った活動は一切なく、それどころか、コラムも昨年2月から更新がないし、Twitterでも代名詞の「もんげー!」を数度つぶやくのみ。Ken Yokoyamaはこの一年をどのように過ごし、なにを考えていたのか?

その答えは、以下のKen Bandのインタビューで赤裸々に語られている。ファンの方は少なからず動揺するだろうし、2011年の震災時の姿をイメージすれば、肩透かしを食らう部分もあるかもしれない。しかし、「今は個の人間力が問われる」という彼の発言には確かな説得力があるし、新ドラマーのEkkunを迎えて新体制となったKen Bandは、今まさに個としての強さを磨いている真っ最中だ。新作ミニアルバムのタイトルは『Bored? Yeah, Me Too』。「退屈してる? 俺もだよ」。この言葉をこの温度感で届けてくれるのは、やはりKen Yokoyamaしかいない。いつかの再会を願って、まずは現状報告をお届けする。

Ken Yokoyamaアーティスト写真(左から、Hidenori Minami、Ekkun、Ken Yokoyama、Jun Gray)

体調不良、コロナ、Ken Bandが直面した、空白の1年に続いた不測の事態

―昨年10月に出演予定だった『PUNKROCKERS BOWL』がKenさんの体調不良によってキャンセルになり、その後は表立った活動がなかったわけですが、まずは当時の状況を話していただけますか?

Ken(Vo,Gt):その前のツアー中の9月に、僕はまた抑うつ状態をやったっぽくてですね……そういうのって、病名とか難しいんですよ。骨折だったら骨折って言えるけど、気持ちの病気というか、症状というか、そういうのはなかなかジャッジが難しくて、ただ明らかにやばいぞっていう状態になっちゃってたんです。それで、メンバーに話をして、PIZZA OF DEATHに話をして、10月以降の予定を全部止めさせてもらって。

―なにが原因とは一言では言えないと思いますが、昨年は3月から新体制でのツアーが断続的に続いていて、その一方では、宮本浩次さんとの活動もあって、どこかオーバーワークな部分もあったのでしょうか?

Ken:いや、ホントに原因はわからないですね。全部楽しくやってたはずなんですよ。宮本さんとの共演もすごく楽しかったですし、Ken Bandのツアーも……バンドなのでいろんな課題があって、それをクリアしようとするのは当然のことですし、新曲も書き進めていて、すごく充実していたはずなんですけど、なぜかなっちゃったんですよね。

横山健が参加した宮本浩次“Do you remember?”

―メンバーのみなさんは話を聞いて、どう思われましたか?

Jun(Ba):ツアーで岩手にいたときに、ライブの前の日に「ミーティングをしたい」って言われて……突然といえば突然だったけど、そのツアー中「ちょっと疲れてんな、この人」くらいの感じはうちらもわかってて。悪くないライブをやっても、とにかく終わると相当疲れてるみたいな状態だったから、「調子悪いのかな?」くらいには思ってたんです。で、話を聞いて、「そういうことか。じゃあ、止めるしかないね」って。選択肢はそれしかないっていうか、騙し騙しやってもまずいだろうし。まあ、いっぱい曲も作ってて、レコーディングの予定もあったから、「あちゃー!」とは思いましたけどね。

Ken:フルアルバムを録るつもりで、12月にレコーディングスタジオを押さえてたんですよ。そういうのも全部白紙にしちゃって。

Minami(Gt):Matchanの脱退があって、その流れのままEkkunが入って、あんまり間を空けずにツアーを始めて、そのツアー自体も上手くいってるのかいってないのかっていう状態でずっとやっていて。なので、バンド的に一回休憩しなきゃねって状況ではあって。Ekkunも追いつめられてただろうから……まあ、結果必要な休みだったのかもしれないですね。

Ekkun(Dr):「俺にやらせろ!」くらいの感じで入って、気合十分でツアーに出たんですけど、自分の課題にいきなり直面しちゃって、あれよあれよという間にツアーが終わってた感じで……ちょっと打ちのめされてはいて。なので、そのときはあんまり全体を見られてなかったんですけど、今改めて思うと、できるだけ状況を冷静に捉えて、Kenさんがいつ戻ってきてもいいような状態をキープしようって、そんな風に考えてたかもしれないです。

―9月に活動を一度ストップして、水面下ではどのように動いていたのでしょうか?

Ken:30歳のときにやった抑うつは結構ひどかったんですけど、今回は軽度で済んで、11月には練習を再開できたんです。なんだけど、その時点で4月まで入っていた予定を全部キャンセルさせてもらったので、体調がよくなったからって、「じゃあ、ツアーしよう」みたいなわけにもいかなくて、ひたすら曲を作ってました。年明けくらいにもう一度レコーディングを、4月にブッキングしたんです。でも、2月から3月にかけて刻々とコロナの状況が悪くなっていったじゃないですか? 4月なんて、当然飛びますよね。それでまたもレコーディングがキャンセルになってしまって。

横山健(よこやま けん)
1969年東京出身。1991年にHi-STANDARDを結成、ギタリストとして活躍。1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立、社長を務める。Hi-STANDARD活動休止後の2004年にはアルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。その後、通称・Ken Bandを率いてライブを行う。また自身の主宰するレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」でも精力的に活動し、これまでWANIMA、HAWAIIAN6、DRADNATS、GARLICBOYS、MEANING、SLANG、SAND、SNUFF等の国内外のバンドを輩出してきており音楽シーンにおいて常に第一線で活躍している。

―また別の理由でキャンセルになってしまったと。

Ken:なにが原因で動けないんだか、わけわかんなくなってましたね。11月に練習を再開したときは、4月にレコーディングをして、6月くらいにツアーで復活、みたいな青写真を描いてたわけですよ。でもそれも崩れちゃって、あららどうしようっていう。

―いろいろなことが重なって、変に声明を出すのも難しかった?

Ken:SNSとの付き合い方を変えたっていうのもあって。「日常でパッと思った思想を垂れ流すのはどうなのかな?」って思い始めて……だから、完全に「もんげー!」おじさんになってて(笑)。たぶん……疲れたんでしょうね。Twitterのあの感じに疲れて、うんざりしたんだと思います。「治りました。ご迷惑おかけしました」っていうのも嫌だったんです。僕、Instagramのストーリーでふざけたことをいっぱいやっていて、そういうことはたまにやりたくなるんですけど、どうせ一旦引っ込んだんだから、全部やめておこうかなって。結局活動がなければ知らせることもないので、そのタイミングを待っていたら、コロナでさらに伸びてしまったという感じです。

―新型コロナウイルスの感染拡大以降、SNSでの誹謗中傷の問題や、メンタルヘルスの問題はよく話題に上がるようになりましたが、それは以前からあった問題ですもんね。

Ken:それはもう何年も前から思っていたことで、だからホントTwitterを見返すと……「もんげー!」と「攻めっから」しか言ってないです。発信したくないわけではなかったけど、する機会もなかったですし。やっとこのミニアルバムを録ったので、「聴いてください」って紹介する動きができましたし、また始めるかもしれないですけどね。

Ken Yokoyama『Songs Of The Living Dead』を聴く(Apple Musicはこちら

個々の力強さが必要になった、震災後と異なるコロナ禍

―SNSもそうですけど、コロナは現在色々な社会問題を浮き彫りにしていて、やはりライブハウスを巡る状況については話しておきたいなと。ライブハウスによく通っていた音楽好きからすると、ライブハウスがスケープゴートにされてしまったような印象も受けるし、かといって、ライブハウスが密を作り出してしまう空間であることは事実で。いろんな見方があるかと思いますが、みなさんは現状をどのように感じていますか?

Jun:ライブハウスは自分のレーベルのバンドを2月に観に行って以来、未だに一歩も足を踏み入れていなくて。最近は少しずつ、ガイドラインに沿って動き出していて、それは非常にいいことだと個人的には思ってます。やれる人はやったほうがいいと思う。ただ、Ken Bandはまだその状態ではないと思っていて……コロナが収まってくれないと、なんとも言えないですね。

Ken:今回のコロナのことって、誰が仕掛けたわけでもないので、悲しいかな、ライブハウスが批判されてしまうのはしょうがないですよね。僕もすごく嫌だったけど、でもしょうがない。

Jun:うちらみたいなジャンルが一番そうだしね。知らない人がうちらのライブを観たら、「これヤバいでしょ」って思うだろうから(笑)。

Ken:濃厚接触の極みですからね(笑)。もちろん、攻撃されたら感情的にはむかつきますけど、ライブハウスは事実、感染リスクを伴う場所だから、今はしょうがないかなって。僕が仲のよい、対等に話せるライブハウスのオーナーは、腹くくってる人ばかりです。「できないんだったらしょうがない」って。バンドと一緒ですよね。

―Minamiさんはどうお考えですか?

Minami:すごく自分勝手かもしれないけど、バンドマンである以前に、一人の人間としての自分がいて、バンドもやってるし、家族もいるし、飲食業に携わってるので、もっと広い目で受け止めてました。もちろんライブハウスのことは他人事ではないですけど、一人の人間として生きていかなきゃいけない中で、そっちはそっちで頑張ってもらわないと、俺は俺のことで精いっぱいだし、みたいな。なので、ライブハウスのことで声を上げている人たちとは、ちょっと距離があったかもしれないです。

Ken:僕も実はそうなんです。ただ、ライブハウスを守ろうっていう動き、ああいった感情、気持ち、優しさというか、ああいうのは震災で培われたものだと感じていて、それはすごく美しいなって思うんですよね。なので、ライブハウスを救おうと動いてる人たちへの共感も、もちろんあります。

―震災の時期のKenさんの活動は「UNITE」がキーワードになりましたよね。それまでは拒絶していたけど、あの時期に言葉を捉え直して、前に進むパワーにしていた。現在は震災のとき以上に複雑な状況だと思いますが、今必要なのはどんな考え方だと感じていますか?

Ken:震災のときは本当に「UNITEしかないだろ」って思ってたんですよ。ただ、いま必要とされてるのはUNITEじゃなくて、個の人間力ですよね。それこそ、ライブハウスでも、飲食店でも、いろんなお店を経営されてる方は、なにかアイデアを出したりして、「生き抜いてやる」っていう力強さが必要とされてるんじゃないですかね。

―精神性としてのUNITEは下支えになるけど、まずは個で生き抜く力が重要だと。

Ken:震災のときは、現地に足を運んで、物理的に近くにいる必要があったんですよ。それが被災した人たちの支えになったし、だからたくさん祭りが必要だったんです。でも今はそれができないわけだから、個々が考えるしかないですよね。状況が変われば、もしかしたらまたUNITEできるのかもしれないけど、今はそれ以前の問題だと思います。

100%の状態まで仕上げてレコーディングに挑めた、新作ミニアルバム

―当初の予定はフルアルバムとのことでしたが、新作はミニアルバムになりましたね。

Ken:この期間で曲数が増えたので、まずはミニアルバムを出して、この先にフルアルバムが待ってます。やっぱり、作品を出すっていうのが一番バンドらしい動きだと思うんですよね。今はサブスクで一曲単位で聴く世の中とはいえ、バンドは何曲かをまとめて出したくなる生きもので、それこそがステートメントなんです。それを出すことで、次のチャプターに進んでいく生きものというか、集団なので、現段階の動きとしては、僕らはこれ一択でした。

―歌詞は基本的にコロナ以前に書かれているわけですか?

Ken:そうです。コロナについて歌った歌詞はひとつもないです。

―タイミング的に紐づけて聴いちゃう部分もあるとは思うんですけど、今回の歌詞は現状に対して反射神経的に書いたような印象を受けました。

Ken:コロナ自体のことは書いてないですけど、Twitterを中心にいろんな議論があるじゃないですか? そういうところから逃げたいっていうのはありました。

―それが“Runaway With Me”だと。

Ken:それもやっぱり今年始まったことじゃなくて、3~4年前から思ってたことです。震災の頃は原発のことでTwitterで喧嘩したり、「選挙に行こう」といったことを発信して、そのたびにクソリプをもらってて。最初は面白かったけど、あんまりいい場所じゃなくなってきちゃったなって以前から感じてたんです。なので、コロナ自体よりも、そういうネット社会への感覚が詰まってるかもしれないですね。縛られたくなくてもみんなネットニュースやSNSに縛られちゃってる状態っていうか。

―バンドが新体制になって、音楽的な部分でのポイントはありましたか?

Ken:Ekkunが入ったから、今までできなかったことにチャレンジしてみようという感じではなくて……まあ、Ekkunが入って、今までだったら煮詰まってたところを明るく突破してるところはいっぱいあるんですけど。“Balls”のイントロみたいに、キックとスネアとシンバル全部同時に叩くっていう(笑)。

Ekkun:ドラム20年くらいやってそれ(笑)。

Minami:聴いた人に「ドラム変わったよね」って印象付けたいっていうのは常に思ってました。ミックスのバランスひとつにしてもそうだし、「せっかくEkkunこういうことできるんだから、入れてみなよ」とか、そういう部分は出したいなって。

―シャープでタイトなドラミングはやはりFACT(Ekkunが所属していた日本のハードコアロックバンド。2015年に解散)譲りだと感じました。

Ekkun:幸か不幸か時間ができたから、レコーディング本番の自分をイメージして、めちゃめちゃ練習できました。そういうのって、初めてかもしれない。FACTのときは60~70%で本番になっちゃって、正直、迷いながらレコーディングしちゃってたところもあったりするんですけど、今回はなんの迷いもなく、最初から最後まで一曲全部叩き切ったテイクを2~3テイク……じゃないか、5~6テイクくらい録って(笑)。

Ken:みなさんが思い描くプロのミュージシャンは、100%の状態でレコーディングするってなかなかできないのが普通なんです。だけど、僕らは高校生バンドのノリをキープしてるので、当日迷わないように、しっかり決め込んでやろうっていうのは話したよね。

Ekkun:俺はそういう録り方が理想だと思ってやってきたので、今回はイメージ通りに録れたかなって……2~3テイクは盛り過ぎましたけど(笑)。

『Bored? Yeah, Me Too』Trailer

ライブという着地点を失うことで見えた、アルバム制作というミュージシャンとしての矜持

―Junさんは新作が今のバンドにとってどんな作品になったと思いますか?

Jun:この後に作ろうと思ってるアルバムとのバランスを考えながら6曲を選んだので、次のアルバムも含めてひとつの作品と考えていて。もちろん、今回の6曲でEkkunのドラムがよくわかると思うし、楽曲全体のクオリティーにも自信があるし。歌詞にしても、コロナ以前は「どぎついこと言ってんな」って思ってたところが、今聴くと「この時代に合っちゃったな」って思ったりもして。

Ken:優れた表現者は預言者でもあるっていうね。

Jun:怖いわ(笑)。

―音楽の存在意義について歌った“Woh Oh”なんて特にそうですよね。

Ken:“Woh Oh”は僕自身びっくりしてます。これは思いっ切り音楽賛歌を、「ビバ音楽」みたいな曲を書いたつもりで、書いたときは「これ俺っぽくないな」とも思ったし、「なにを突然言い始めたんだ?」って思われるかなとか、いろいろ考えたりはしていて……でも、これ今歌うべきことっすよね。何者かが降りてきて、僕に書かせたとしか思えない!(笑)

―<替えの効くものに溢れた世の中で / オレは音楽なしじゃ生きていけないよ>ですからね。

Ken:なにもない平常時だったらパンチがない……でも、有事の際にはすごく響くと思うんですよね。

Ken Yokoyama“Woh Oh”MV

―“Still I Got To Fight”にしても、現在の状況を受けて、「でもやるんだよ」みたいな歌に聴こえるなって。

Ken:その曲はもうちょっと個人の人生観を書いたつもりですね。抑うつに関しては軽く済んだので、そこでの影響はあまりない気がするんですけど、ここ10年くらいで感じてた気分の抽出の仕方が前作までとは変わって、今作のテイストになった気がします。

―より普遍的で、大きなテーマが歌詞の中に入っているからこそ、世の中で起きたことと結果的に紐づきやすいのかなとも思いました。

Ken:それはあると思います。さっきは冗談っぽく「優れた表現者は預言者でもある」って言いましたけど、そのことについて考えると、当たり障りのないことを言ってるからだなって思ったりもして(笑)。あることに特化して言って、それが当たっちゃったら、それはミュージシャンじゃなくてノストラダムスですよね。誰でも上手いこと受け取れるような表現をする人が、優れた表現者だったりするのかなって。

―ただ、今回のアルバムタイトル『Bored? Yeah, Me Too』に関しては明確に今の状況を反映したものですよね。

Ken:これは逃げようがないです(笑)。曲は直接コロナ禍と関係ないものですけど、せめてこの時期に出す意味をしっかりつけたいと思ったときに、このタイトルが浮かんできたんです。「ライブできないじゃん。どうすんのよ?」とか、レコーディングも飛んじゃって、「ぶっちゃけ暇っしょ?」みたいな感じはバンド内にもあったので。

―みんなが思ってるけど、なかなか口にしづらいことを言ってくれた感じがあります。

Ken:はい、誰もこの温度で言ってくれないから、自分で言ってみたって感じですね。

―通販限定でのリリースに関しては、どんな意図がありますか?

Ken:ここにちょっとコロナ禍の経験が入ってるんですけど、スーパーやコンビニ以外みなさんどうやって買いものしてたかって考えると、おそらく通販なんですよね。なので、CDショップに行けなくても、通販だったら手に取ってくれるんじゃないかなって。コアファンに向けたアイテムに見えてしまうことがウィークポイントではあるけど、ちゃんと言っておきたいのは、今回のミニアルバムは間違ってもコアアイテムではなくて、万人に向けたものです。それをなぜPIZZA OF DEATHの通販のみにするかというと、「産地直送」みたいな発想なんですけど(笑)。

―いいですね。PIZZA OF DEATHというブランド農家からの産地直送(笑)。

Ken:PIZZA OF DEATHもレーベルとして面白いことをしたいんですよ。僕が今回ミニアルバムとフルアルバムを出すって言ったら、「普通にやって面白いと思います?」って問われるわけです。で、PIZZA OF DEATHは通販機能があって、Tシャツはすごく売れてるので、なぜ音源はそこで売っちゃいけないのかって話で、今回試験的ではありますけど、やってみることにしました。

―今後はフルアルバムに向けて動くことになるのかと思いますが、ライブに関してはどうお考えですか?

Ken:バンドとして今考えてるのは次のアルバムを作ることだけで、現状ライブのことは考えてないです。作品を出したらツアーをして、気持ちを切り替えてまた次の作品に向かうっていうのが今までのサイクルで、要するにツアーが着地点だったわけですよ。聴いてくれる人と現場でシェアすることが着地点だった。でも、今はそれができないので、だったら着地点を求めずにやるべきじゃないかなと。今CDは売れないわけですけど、やっぱり音源を出すってことがミュージシャンとしての矜持だと思うんです。「お金にならないからやらない」じゃなくて、お金のことは全部後付け。僕らはこれを出さないと前に進めない体質の集団なので、アルバムも着地点を求めずに作るつもりです。

―今回のミニアルバムはコロナのことを意識せずに作られたわけですが、これから作るアルバムに関しては、現在の状況がどう反映されるとお考えですか?

Ken:たぶんですけど、作品の気分としては、あまりコロナのことは含まないと思うんですよね。

Minami:レコーディングスタジオに入ると、ちょっと別世界っていうか、コロナのことを一旦忘れて、やりたいことをやらせてもらえる、みたいな感覚が個人的にはあるので、あまり引きずりたくないっていうか。その感じが今回の6曲にも表れてると思うし、アルバムもその延長にあるんじゃないかと思います。

―こういう世の中だからこそ、音楽そのものと向き合うことに意味があるし、バンドとしてなにがやりたいかにより集中できるというか。

Ken:そうなんです。今頭に浮かんだのが、たぶん次やりたいことって、自分の内面に向かうよなって。どう受け止められたいかじゃなくて、自分がなにをやりたいか、なにを吐き出したいか。楽曲はバンド自身、歌詞は僕自身に向かうんだろうなって感じがします。

―「個の人間力が問われる」という話にも通じるものがありますね。今は新体制のKen Yokoyamaとしていかに個を確立するかが重要なタームにあるという。

Ken:そうですね。そんな気がします。

リリース情報
Ken Yokoyama
『Bored? Yeah, Me Too』通常盤(CD)

2020年9月25日(金)発売
価格:1,815円(税込)
PODRS-2

1. Runaway With Me
2. Woh Oh
3. Balls
4. Still I Got To Fight
5. Count Me Out
6. You Are My Sunshine

Ken Yokoyama
『Bored? Yeah, Me Too』Tシャツ付(CD)

2020年9月25日(金)発売
価格:4,565円(税込)
KN-117TS / PODRS-2

1. Runaway With Me
2. Woh Oh
3. Balls
4. Still I Got To Fight
5. Count Me Out
6. You Are My Sunshine

プロフィール
Ken Yokoyama
Ken Yokoyama (けん よこやま)

1969年東京出身。1991年にHi-STANDARDを結成、ギタリストとして活躍。1999年にレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」を設立、社長を務める。Hi-STANDARD活動休止後の2004年にはアルバム『The Cost Of My Freedom』でKen Yokoyamaとしてバンド活動を開始。その後、ソロバンド通称・Ken Bandを率いてライブを行い、2005年に『Nothin' But Sausage』、2007年に『Third Time's A Charm』をリリース。2016年3月には自身2度目となる日本武道館公演を「Dead At Budokan Returns」と称して開催。また自身の主宰するレーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」でも精力的に活動し、これまでWANIMA、HAWAIIAN6、DRADNATS、GARLICBOYS、MEANING、SLANG、SAND、SNUFF等の国内外のバンドを輩出してきており音楽シーンにおいて常に第一線で活躍している。



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