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石井裕也監督インタビュー

石井裕也監督インタビュー

インタビュー・テキスト
小林宏彰
2008/05/30

僕の映画は、女性に対する白旗宣言なんです

―石井監督の作品には、普段怒らなさそうな女性が、激怒したり暴れたりするシーンがよく登場しますね。

石井:そうですね。僕の映画は、女性に対する白旗宣言なんです。「あなた達には、すいませんが勝てません」と。僕自身もそう思っていて、無意識のうちに女性が超然としたキャラクターになっているかもしれません。演出している時、よく女性の役者さんに「子宮で考えて演技してください」と言うんですが、ちょっとしたきっかけを与えるだけで女性はすごく堂々とした演技をするんです。女性達の持つたくましさとか強さには、やはり尋常ではないものを感じます。男性は、やっぱり理屈で動いていますから、「あなたの面白いところはここだからこうやって見せよう」と、理屈で説明します。もちろん例外はありますけど。

―そういった、「女性って強いな」という意識は、生活している中での実感から得たものですか?

石井裕也インタビュー

石井:そうですね。強いと言うか、絶対的に必要な存在じゃないですか。逆に男なんてそんなに必要じゃないですよ。長い人生の中でやるべきことと言ったら一回か二回、精子を引っかけるだけじゃないですか。あとは基本的に暇なんです。暇だから宇宙船を作って月に行ってみようとか、核兵器を作って戦争をしてみようとか考えるわけです。映画だって、たぶん暇だから作るんですよ。

―そういった女性観には、作品を創りつづけていくうちに変化はあったのですか?

石井:あったかもしれないですね。今までの話と矛盾するかもしれないですが、基本的に僕は女の人を信用できないんです。男は割と信用できるんですが。最初の2作ではそれが顕著で、『剥き出しにっぽん』とか『反逆次郎の恋』では、女の人が途中からいなくなったり、殺されてしまったりして、出てこなくなるんです。「女の人って、いつか絶対裏切るんでしょ?」、「そのうち黙って去っていくんでしょ?」っていう感覚がすごく強くあるんですよね。

―長編3作目の『ガール・スパークス』は、ヒロインの瑞々しい魅力があふれた作品で、結末も女性への信頼を感じさせるものでしたが。

石井:そうですね。僕もだんだん大人になっていってるのかもしれないですね。裏切られてもいいから信用してみようっていう意識にはなってるかもしれないです。まあ、どうせ裏切られるんでしょうけど(笑)。

―4つの長編の中では、『反逆次郎の恋』が、一番身も蓋もない、というか、強烈な映画でした。そして監督の実感がこもっているというか、すごく愛せる映画だな、と。

石井裕也インタビュー

石井:僕は『反逆次郎の恋』をほめてもらえるのが一番うれしいんです。僕もすごくいい映画だと思ってるんですよ。あの作品には、一番打算がないんです。何と言うか、「気高い」んです。甘くない映画なので、商品価値はダントツに低いんですけれども。『剥き出しにっぽん』が完成した2ヶ月後に撮影したんですが、前作で自分の能力をフル稼働させて全部出し切ってしまったんで、終わったあとに身ぐるみをはがされた感じがしていたんです。すると、僕の中にはもはやコアな部分しか残っていないので、それを見せるしかないということで、ああいう映画になりました。

僕にとって『反逆次郎の恋』は、段階を踏むという意味ですごく意義のある映画でした。作ったのは22歳の時ですが、作品を今振り返ると「俺、ちゃんと真面目に生きてたわ」と自分の過去に自信を持てますね。これがあったからこそ、長編3作目の『ガール・スパークス』では割り切ってもっと見やすい映画を目指せました。その甲斐あって一般的な評判はすこぶるいいですね。でも、棺桶には入れないでください、みたいな(笑)、いや、好きなんですけどね。

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イベント情報

『剥き出しにっぽん』
2008年5月31日(土)~6月6日(金)

『ばけもの模様』
2008年6月7日(土)~6月20日(金)

料金:特別鑑賞券1,200円 当日1,500円 
※初日、公開中の監督、出演者、ゲストによる舞台挨拶あり。

プロフィール

石井裕也(いしい ゆうや)

1983年生まれ。大阪芸術大学の卒業制作として『剥き出しにっぽん』(91分/16ミリ/2005)を監督。この作品で、第29回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2007」グランプリ&音楽賞(TOKYO FM賞)受賞。以降も長編映画『反逆次郎の恋』(89分/DV/2006)、『ガール・スパークス』(94分/DV/2007)、『ばけもの模様』(93分/HD/2007)などを制作。第37回ロッテルダム国際映画祭および第32回香港国際映画祭にて、上記の長編映画全4作品が特集上映された。さらに同年、香港で開催されたアジア・フィルム・アワードにて、アジアで最も期待される若手映画監督に送られる第1回エドワード・ヤン記念アジア新人監督大賞を受賞。現在、最も活躍が期待される若手映画作家である。

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