特集 PR

AOKI takamasa インタビュー

AOKI takamasa インタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
写真:柏井万作
2010/01/27

レディオヘッドのトム・ヨークもお気に入りに挙げるなど、日本を代表する電子音楽家となったAOKI takamasaが、HASYMOやSKETCH SHOWらのリミックスと、自身の曲のセルフ・リミックスで構成された初のリミックス集『FRACTALIZED』を、坂本龍一が主宰するcommmonsから発表した。フランスの数学者、ブノワ・マンデルブロが提唱した幾何学概念フラクタルを基に「FRACTALIZED」と定義されたリミックス作品は、「自分はミュージシャンではない」「自分が作っているのは現象」とするAOKI独自の哲学に貫かれ、ミニマルかつグルーヴィーな、唯一無二の仕上がりとなっている。大阪出身で、パリ、ベルリンと移り住み、写真家としても活動する、その自由な発想と行動力に裏打ちされた言葉の数々は、今という時代を生きるためのヒントである。

(インタビュー・テキスト:金子厚武 写真:柏井万作)

ずっとループし続けるようなリズムを僕は求めていて、そういう音楽って生きてるんですよね。

―リミックス・アルバムをリリースすることになった経緯から教えてください。

AOKI:これまでいっぱいリミックスをさせてもらってて、どのリミックスもすごく気に入っていたので、リミックス集を出したいなっていうのはずっと前からあったんですけど、出してもらえるレーベルがなかったんです。そうしたら、commmonsさんから「リミックス集どうですか?」って、ホントにパーフェクトなタイミングでお話をいただいて(笑)。

―過去のリミックスに加えて、自身の曲のセルフ・リミックスを収録したのはなぜですか?

AOKI takamasa インタビュー

AOKI:元々ライブ用として、ダンサブルなバージョンをいっぱい作ってたんですね。そうやって自分で自分の曲をリアレンジすることで、別の曲の発想が生まれたりとかもあったんで、結構エクササイズみたいな感じでやってて。その中の特に気に入ってるものを入れたって感じですね。

―曲の年代は結構バラバラですが、作品としての統一感はすごくありますね。

AOKI:昔からやりたいことは変わってなかったんだなって。ただ技術や知恵、いろんな人に教えてもらったノウハウが肉付けされて、もうちょっと音の輪郭がきれいになったり、整理整頓されてるとか、そういうレベルの差なんだと思います。

―選曲の基準は?

AOKI:より洗練されているというか、無駄がなくなっているもの。リミックスってどうしてもオリジナルに依存するので、オリジナルをどうより良く生かすかなんです。スペースシャトルにつけるブースターみたいな感じで、より高く飛ばす。オリジナルの曲のよさを利用させてもらって、洗練させるっていうか。

―その考え方が、「FRACTALIZED」?

AOKI:僕の中ではリミックスっていうより「FRACTALIZED」なんです。元々の曲はもちろん素晴らしいんですけど、それは自分のバイオリズムとは少し違う。例えば、坂本(龍一)さんの曲だったら、一音たりとも坂本さんの嫌いな音が入ってないわけじゃないですか? それは坂本さんそのもので、僕とはバイオリズムが違う。結局、しっくり来る音楽っていうのは、その人のバイオリズムに沿ったリズムを持ったものだと思うんですね。そのバイオリズムを音に落とし込むのが「FRACTALIZED」。人の音楽を勝手に自分のバイオリズムに変えるっていう、言い方によっては乱暴なことなんですけど、それが自分のやってることかなって。そもそも、フラクタルっていうのは、ズームインしてもズームアウトしても同じ模様が見えるっていう…

―海岸線とかですよね。

AOKI:そうです、そうです。そういうズームインしてもズームアウトしてもずっと続くリズムというか、そういうのに落とし込む作業ということで「FRACTALIZED」。宇宙物理学がすごく好きな韓国人の友達がベルリンにいて、彼と宇宙の話とかめっちゃするんですけど、彼に自分のリズムの概念を伝えたら、それはフラクタルの概念とすごく近いって教えてくれて。そこからそういうタイトルもいいなって。字面もいいし(笑)。

―AOKIさんってスティーヴ・ライヒお好きですよね? ライヒの音楽はフラクタルとの関連で語られることがありますが、そういった影響もあるといえますか?

AOKI:まさに、そうですね。最初と終わりがないというか、永久機関のようなリズムを作りたいんです。一度”完成”っていうスイッチが押されたとたん、ずっとループし続けるようなリズムを僕は求めていて、そういう音楽って生きてるんですよね。

Page 1
次へ

リリース情報

AOKI takamasa『FRACTALIZED』
AOKI takamasa
『FRACTALIZED』

2010年1月27日発売
価格:2,800円(税込)
RZCM-46434

1. RESCUE - AOKI takamasa remix / HASYMO
2. ASCARI_dry_condition - self remix / AOKI takamasa
3. MARS - AOKI takamasa remix / SKETCH SHOW
4. FRACTALIZED / AOKI takamasa
5. War&Peace - AOKI takamasa remix / Ryuichi Sakamoto
6. LOVE BITES - self remix / AOKI takamasa
7. Music for Sweet Room on the Orbit of the Earth - self remix / AOKI takamasa
8. composition 0919 - AOKI takamasa remix / Ryuichi Sakamoto
9. re-platform - AOKI takamasa remix / Yoshihiro HANNO

プロフィール

AOKI takamasa

976年大阪府出身、現在はドイツ・ベルリン在住。2001年初頭に自身にとってのファースト・アルバム『SILICOM』をリリースして以来、コンピューター/ソフトウェア・ベースの創作活動を中心としながら自らの方法論を常に冷静に見つめ続け、独自の音楽表現の領域を力強く押し拡げる気鋭のアーティスト。2008年、その才能を坂本龍一に認められ7作目となるアルバム『Private Party』を坂本龍一主宰のcommmons より発売。2010年1月、坂本龍一やSKETCH SHOW、HASYMO、半野喜弘の楽曲のリミックスと自身の楽曲のセルフ・リミックスを纏めたアルバム『FRACTALIZED』を発表。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

滝沢朋恵“うすいいのり”

『わたしたちの家』清原惟が監督を手掛けたMV。淡く舞う紙ふぶき、滲み出すようなポートレイトなどが繊細な視点で映し出され、春の夢のような手触り。三野新、よだまりえ、中島あかねらが名を連ねるスタッフクレジットにも注目。(井戸沼)

  1. 入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ 1

    入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ

  2. ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面 2

    ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面

  3. Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍 3

    Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍

  4. 立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く 4

    立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く

  5. アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと 5

    アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと

  6. 光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も 6

    光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も

  7. ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居 7

    ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居

  8. KANA-BOON×山岸聖太監督 共に歩んだ5年と、業界の変化を語る 8

    KANA-BOON×山岸聖太監督 共に歩んだ5年と、業界の変化を語る

  9. 韓国で社会現象『82年生まれ、キム・ジヨン』邦訳刊行。女性から絶大な共感 9

    韓国で社会現象『82年生まれ、キム・ジヨン』邦訳刊行。女性から絶大な共感

  10. 橋本環奈連ドラ初主演『1ページの恋』に板垣瑞生、濱田龍臣、古川雄輝ら 10

    橋本環奈連ドラ初主演『1ページの恋』に板垣瑞生、濱田龍臣、古川雄輝ら