特集 PR

こんなマンガもあるんだ!「バンド・デシネ」が見せる世界

こんなマンガもあるんだ!「バンド・デシネ」が見せる世界

インタビュー・テキスト
岡澤浩太郎
撮影:佐々木鋼平

『第16回文化庁メディア芸術祭』マンガ部門は、ブノワ・ペータースとフランソワ・スクイテンの『闇の国々』が初めて海外作品として大賞を受賞。さらにエマニュエル・ルパージュの『ムチャチョ―ある少年の革命』が優秀賞に輝くなど、これまでに増して海外作品の受賞が目立った。ところでこれらはいずれも「バンド・デシネ」(以下BD)と呼ばれるフランス語圏のマンガ。宮崎駿や大友克洋、浦沢直樹らが多大な影響を受けたことを公言してはばからない作家メビウスもBDのひとつだと付け加えれば身近に感じられるだろうか。メビウス追悼号を発行したBD雑誌『Euromanga』も、今回の文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選出されている。同誌の編集長を務め、日本におけるBD普及に孤軍奮闘されていたフレデリック・トゥルモンドさんに、いまにわかに何度目かのブームを迎えつつあるBDの魅力について話を聞いた。

フランス語圏発のマンガ、「バンド・デシネ」とは?

―トゥルモンドさんはフランス生まれですが、幼い頃から日本のアニメやマンガに親しまれていたそうですね。当時はどういった作品を見られていたのですか?

トゥルモンド:最初に好きになった作品は、テレビアニメの『宇宙海賊キャプテンハーロック』だったようです。多分、4歳頃とかの話です。

―それは記憶も無いくらい?

トゥルモンド:子供心に憧れだったんでしょうね。今は海賊と言ったら、みんな『ONE PIECE』をイメージするでしょうけど、『宇宙海賊キャプテンハーロック』は、もう少し本物の海賊っぽい、シビアな感じだった気がします。

―フランスではその他に、どんな日本のアニメ作品が流れてたんですか?

トゥルモンド:80年代の初め頃は、フランスのテレビに日本のアニメが少しずつ入ってきていて、毎日5、6つのアニメが次から次へと流れていました。『ルパン三世』とか『キャッツ・アイ』。それから日本ではあまり知られていない『UFOロボ グレンダイザー』という、『マジンガーZ』のシリーズ作品が、一番流行ってましたね。日本のアニメが最高潮に盛り上がったのは80年代後半でした。だけど、90年代以降には政治的にバッシングされて、テレビ局が減ってしまうほど放送が少なくなってしまったんです。

『Euromanga(ユーロマンガ)』編集長 フレデリック・トゥルモンド
『Euromanga(ユーロマンガ)』編集長 フレデリック・トゥルモンド

―それはフランスの自国文化を守るため、というものですか?

トゥルモンド:あまりにも日本のアニメが多すぎて、子どもたちにどんな影響があるのかと大人たちの心配が高まったんですね。特にフランスでは『北斗の拳』が午後3時に放送されていて(笑)、最初はほとんどノーカットで放送されていましたから、「こんな暴力的なアニメは良くない」という親心が出まして。子どもは平気で見ていますけど、大人たちは別の目で見ていましたね。

―なるほど(笑)。じゃあ、いわゆるフランス・ベルギーの「バンド・デシネ」(以下BD)も、その頃から分け隔てなく、ずっと読まれていたのですか?

トゥルモンド:BDは物心付く前から、ずっと読まされていたと思います。フランスの親は子どもに文字を覚えさせるために、絵本と『タンタン』や『スマーフ』などの子ども向けのBDを読ませるんです。絵と文字があるBDはとても便利な媒体なんですね。ストーリーもアクティブなので、絵本では表現出来ない世界観を子どもたちに提供することができます。

©Euromanga
©Euromanga

―日本のマンガもよく読まれていたそうですが、日本のマンガとBDの大きな違いはなんでしょうか?

トゥルモンド:読者がキャラクターに感情移入しやすいように描かれる日本のマンガと違って、BDは少し大人の目線で、客観的にストーリーを描く作品が多いように感じます。そのため子どもや若者にとっては、少し物足りないと感じられる作品もあるかもしれませんが、そのぶん好みに合わせて広く作品を選べるのが特徴ですね。

Page 1
次へ

イベント情報

『第16回 文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』

メイン会場
2013年2月13日(水)〜2月24日(日)
会場:東京都 六本木 国立新美術館
時間:10:00〜18:00(金曜は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:2月19日(火)
内容:展示、受賞者プレゼンテーション、シンポジウム、ワークショップ、デモンストレーション、ガイドツアー

サテライト会場1
会場:東京都 六本木 東京ミッドタウン
内容:受賞者プレゼンテーション、アート部門大賞『Pendulum Choir』パフォーマンス公演
※各イベントのスケジュールはウェブサイト参照

サテライト会場2
会場:東京都 六本木 シネマート六本木
内容:上映会、マンガライブラリー(マンガ部門の受賞作品、審査委員会推薦作品の全巻を設置)
※上映会のスケジュールはウェブサイト参照
※マンガライブラリーは2013年2月13日(水)〜2月24日(日)10:00〜19:00(2月19日は休み)

サテライト会場3
2013年2月19日(火)18:00〜22:00
会場:東京都 六本木 スーパー・デラックス
内容:ラウンジトーク&ライブパフォーマンス
※一部のイベントは事前申込制。詳細はウェブサイト参照

料金:全会場入場無料

プロフィール

フレデリック・トゥルモンド

フレデリック・トゥルモンド
1978年パリ郊外リラ生まれ。パリ第7大学日本言語文化学科卒。学生時代にスペインとキューバを繰り返し訪問。1999年に初めて日本を訪れ、2003年より日本で暮らす。在日フランス大使館に勤務する傍ら『Euromanga』誌を主宰し、『海外マンガフェスタ』では実行委員長を務めている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. 広告に冷めた時代のアプローチ。Hondaは「フラット」を提示する 1

    広告に冷めた時代のアプローチ。Hondaは「フラット」を提示する

  2. BTS“Film out”PV公開 back numberとコラボした『劇場版シグナル』主題歌 2

    BTS“Film out”PV公開 back numberとコラボした『劇場版シグナル』主題歌

  3. 大森元貴のソロデビューの意味。2人の視点から『French』を紐解く 3

    大森元貴のソロデビューの意味。2人の視点から『French』を紐解く

  4. 内田有紀、シシド・カフカらが東京の美術スポット巡る 『新美の巨人たち』 4

    内田有紀、シシド・カフカらが東京の美術スポット巡る 『新美の巨人たち』

  5. Perfume Closetファッショントラックの移動店舗がラフォーレ原宿から開始 5

    Perfume Closetファッショントラックの移動店舗がラフォーレ原宿から開始

  6. 『ノマドランド』が映すアメリカの姿。過酷な状況とノマドの精神 6

    『ノマドランド』が映すアメリカの姿。過酷な状況とノマドの精神

  7. いとうせいこう、角舘健悟らが「私の大滝詠一プレイリスト」公開 7

    いとうせいこう、角舘健悟らが「私の大滝詠一プレイリスト」公開

  8. NiziUがNHK『SONGS』リニューアル初回に登場 特技披露&ファン動画企画も 8

    NiziUがNHK『SONGS』リニューアル初回に登場 特技披露&ファン動画企画も

  9. No Busesの「未完成」を楽しむバンド美学 作る喜びが救いだった 9

    No Busesの「未完成」を楽しむバンド美学 作る喜びが救いだった

  10. 内山拓也監督が語る、Uru、平井堅、King Gnuの話題MVの裏側 10

    内山拓也監督が語る、Uru、平井堅、King Gnuの話題MVの裏側