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眠れない夜に咲いた、悲しくも美しいPredawnの世界

眠れない夜に咲いた、悲しくも美しいPredawnの世界

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2013/03/26

近年は女性シンガーソングライターが花盛りで、将来有望な若き才能が数多く登場しているが、その中でもPredawnこと清水美和子の存在感というのは特別である。英詞で歌われる洋楽然とした響き、卓越したアコギの演奏から録音までを自らこなすミュージシャンシップの高さといった部分ももちろん魅力だが、何より重要なのは、彼女にとって音楽が文字通り生きる糧であるということだ。前作にあたるミニアルバム『手のなかの鳥』から、初のフルアルバム『A Golden Wheel』の発表までに約3年間を要したのは、間に震災を挟んだことももちろん関係しているだろう。しかし、Predawnにとってのアルバム制作というのは、そもそもが相当な精神力と根気を必要とするものだったに違いない。だからこそ、遂に完成したアルバムは、繊細な美しさの中に確固たる意志の強さを感じさせるのだ。

彼女が常々フェイバリットに挙げているアーティストの一人として、Sparklehorseことマーク・リンカス(2010年、自殺によりこの世を去っている)がいるのだが、現在彼のドキュメンタリー映画が制作進行中で、そのタイトルは『The Sad & Beautiful World of Sparklehorse』なのだという。この言葉は、まさにPredawnの世界観にもぴったりだ。悲しくも美しいPredawnの世界、ぜひ多くの人に体験してもらいたい。

大きいものに対する敵対心というか、疑いの気持ちみたいなものは今もずっとありますね。

―清水さんって中学生のとき生徒会長だったそうですね。ライブのMCのときのフワッとしたイメージからは想像つかなくて、びっくりしたんですけど。

Predawn:先生に押し付けられた感じなんですけどね(笑)。ただ、それまでは結構社交的だったんですけど、高校でグッと閉じこもっちゃったんです。まあ、もともとどっちの面もあったとは思うんですけど、目立つのはあんまり性に合わないから、人の波に埋もれようと思って。

―それって誰にでもある思春期特有の自意識の芽生えのような気もするけど、Predawnの表現の根本に関わることのような気もします。中学から高校でそうやって意識が変わったのは、友達や学校、あるいは社会に対する違和感のようなものがあったのでしょうか?

Predawn:大きいものに対する敵対心というか、疑いの気持ちみたいなものは今もずっとありますね。ただ、当時はそこまで深く考えていたわけではなくて、音楽も趣味だったというか、作りたいときに作ってた感じなんですけど、あとから見れば音楽に救われていたようなところもあったのかなって。嫌なこととか悲しいことはやっぱりあったので。

Predawn
Predawn

―Predawn(夜明け前)っていう名前とも関連しますけど、曲の中に「眠れない夜」っていうモチーフがよく出てくるじゃないですか? 実際夜はなかなか眠れないことが多いのですか?

Predawn:小学校くらいからあんまり眠れなくて……だいたい朝寝坊でした(笑)。それが結構つらくて、ストレスでしたね。

―それは漠然とした不安のようなものがあったということでしょうか?

Predawn:理由はわからないんですけど……たぶん、そうなんでしょうね。小学校のときは10時くらいに布団に入るけど、2時くらいまで眠れなかったりしました。でも、今は逆に寝るのが好き過ぎて、12時間ぐらい眠れちゃうんです(笑)。当時からしたら幸せですけど、今も波はありますね。

―そういうときに、音楽が不安を解消してくれた?

Predawn:そうですね。ずーっと眠れなかったのに、曲ができたらいきなり眠れるようになったこともあるので、きっと曲を作ることで気持ちの整理をつけてたっていうことなんじゃないかと思います。

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リリース情報

Predawn『A Golden Wheel』(CD)
Predawn
『A Golden Wheel』(CD)

2013年3月27日発売
価格:2,400円(税込)
Pokhara Records / HIP LAND MUSIC / RDCA-1028

1. JPS
2. Keep Silence
3. Tunnel Light
4. Breakwaters
5. Free Ride
6. Milky Way
7. A Song for Vectors
8. Drowsy
9. Over the Rainbow
10. Sheep & Tear

プロフィール

Predawn

Predawn(プリドーン=夜明け前)を名乗る、女性ソロシンガーソングライター。かわいらしくも凛としたたたずまいと、天性の声に魅了されるリスナーが続出している。UKロック、オルタナティブロック、ルーツミュージックを独自に昇華し、少々ひねくれつつもドリーミングかつヒーリング的な聴き心地が融合した音楽は、国内のおいて類を見ない。2010年6月に1stミニアルバム『手のなかの鳥』をリリースし、日本全国でロングセールスを記録中。

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