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鍛え抜かれた身体の価値 舞踊団Noism 金森穣インタビュー

鍛え抜かれた身体の価値 舞踊団Noism 金森穣インタビュー

インタビュー・テキスト
乗越たかお
撮影:高見知香
2013/05/14

新潟を拠点に活動する、日本唯一のレジデンシャルダンスカンパニー(劇場専属の舞踊団)Noismの新作公演が間もなく始まろうとしている。「社会にとって芸術は何のためにあるのか?」という問いが繰り返されているのをよく見かけるが、Noismは常に真っ正面からド直球の答えを投げ返してきた。2004年以降、日本のダンスシーンを牽引してきたこのカンパニーの根底にあるものは「鍛え抜かれた身体を持った、プロフェッショナルなダンスカンパニー」ということだ。多くの口先だけのボンクラなダンスもまかり通る中、揺るぎなく独自の世界を創りだし、自らの言を証明してきたNoismの芸術監督・金森穣。今回は自身が「4年に1度、作りたくなる」という3部構成の新作を前に、これまでの活動や、それを支えてきた想いも含めて話を聞いた。

17歳でスイスに留学。そこでそれまでの価値観がガラガラと崩れさる経験をして、今の自分がある。

―Noismは、レジデンシャルダンスカンパニー、つまり公立劇場に所属して、市民からの税金で活動するカンパニーです。これは欧米では普通のスタイルですが、日本ではNoismが最初にして現在は唯一の存在です。金森さんの経歴を遡っていくと、17歳で海外の名門校にダンス留学されていたりと、バリバリのダンスエリートというイメージがあるのですが、まずこれまでのお話を伺ってもいいですか?

金森:父が舞踊家(金森勢)だったので、子どもの頃からごく自然に踊っていましたね。17歳でルードラ・ベジャール・ローザンヌ(振付家・モーリス・ベジャールが主宰するスイス・ローザンヌのダンス学校)に入学したんですが、そこでそれまでの価値観がガラガラと崩れさる経験をして、今の自分があるという感じでしょうか。

―世界中から集まった、才能ある一握りの若者たちだけが学ぶことを許されるルードラ・ベジャール・ローザンヌの授業では、ダンスだけではなく、歌や演技など、舞台芸術全般を叩き込まれるんですよね。

金森:そうです。そして、本当に皆自己主張が激しいですからね。言葉の壁以上に、まず日本で培った価値観が全く通用しない。そんな状況の中で生き抜いていくには、自分には何があって、何ができるということを周囲にはっきり主張しないといけないんです。

金森穣
金森穣

―そうした中でサバイバルをしていかなければならないんですね。

金森:好きとか嫌いとか言っていられない。もし嫌いなことでも、それが得意なものとして評価されるのなら、自分の武器として使っていくしかないんです。実際、クラスメイトはどんどんふるいにかけられて辞めていき、卒業までいるのは一握りだけです。おそらく皆、「ジョーは一番最初に辞めるだろう」と思っていたんだろうけど、最後まで残った。それはダンスの才能とはまた別の次元で、その学校で求められていた事が自分には向いていた、最終的にプロの舞踊家という仕事自体が向いていた、ということなんだと思っています。

―その後は、ネザーランド・ダンス・シアターなど、世界トップレベルのダンスカンパニーで活躍し、2002年に帰国。2004年にりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・舞踊部門芸術監督就任と共に、Noismを立ち上げます。これは日本の舞台芸術シーンにとって、とても画期的なことでした。

金森:公的機関やオペラハウスなどの劇場が、専属の舞踊団や劇団を持つということは、欧米では当たり前なのですが、それまでの日本には本格的な形ではありませんでした。劇場という箱だけはどんどん建てられていくのに、俳優やオーケストラ、舞踊家や職員など、プロとして劇場で働いていける人があまりにも少ないという状況は、とても不思議なことだと思います。

見世物小屋シリーズ第3弾 Noism1『Nameless Voice〜水の庭、砂の家』(2012年)撮影:篠山紀信
見世物小屋シリーズ第3弾 Noism1『Nameless Voice〜水の庭、砂の家』(2012年)撮影:篠山紀信

―東京にも23区それぞれに公共劇場はありますが、基本的には市民に対してスペースを公平に貸し出すことをメインとした、多目的ホールが圧倒的多数ですよね。

金森:たとえば、オペラハウスを見てみても、「劇場は市民が好き勝手に使うものではなく、プロフェッショナルな芸術を育て、鑑賞する場所である」ということが欧米では前提としてあるんです。

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イベント情報

『ZAZA 〜 祈りと欲望の間に』

演出・振付:金森穣
出演:Noism1
第1部『A・N・D・A・N・T・E』
音楽:J.S. Bach『ヴァイオリン協奏曲 第1番 第2楽章 Andante』
第2部『囚われの女王』
音楽:J. Sibelius『囚われの女王』
第3部『ZAZA』
音楽:soundtrack by THE THE『MOONBUG』&『TONY』より抜粋
椅子・机:須長檀

新潟公演
2013年5月24日(金)〜5月26日(日)全3回公演
会場:新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
料金:一般5,000円 学生2,500円
※各公演後にアフタートーク有り
5月24日出演:堂本教子(衣裳デザイナー)
5月25日出演:須長檀(家具デザイナー)
5月26日出演:乗越たかお(作家・ヤサぐれ舞踊評論家)

神奈川公演
2013年5月31日(金)〜6月2日(日)全3回公演
会場:神奈川県 横浜 KAAT神奈川芸術劇場・ホール
料金:5,500円
※各公演後にアフタートーク有り
5月31日出演:宮前義之(ISSEY MIYAKEデザイナー)
6月1日出演:松永大司(映画監督)
6月2日出演:成田久(アーティスト&資生堂アートディレクター)

静岡公演
2013年7月20日(土)、7月21日(日)全2回公演
会場:静岡県 静岡芸術劇場
料金:一般大人4,000円 大学生・専門学校生2,000円 高校生以下1,000円 ほか
※各公演後にアフタートーク有り

プロフィール

金森穣

演出振付家・舞踊家。りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督。Noism芸術監督。20世紀のダンスに革命を起こしたモーリス・ベジャールが創設した芸術学校ルードラ・ベジャール・ローザンヌを卒業後、世界的に有名なイリ・キリアンのネザーランド・ダンス・シアター、国立リヨンオペラ座バレエ団などで活躍し、帰国。04年に日本初の劇場専属ダンスカンパニー・Noismを立ち上げる。海外バレエ団や新国立劇場バレエ団への振付け、サイトウ・キネン・フェスでのオペラ演出など、国内外で幅広く活躍している。平成19年度芸術選奨文部科学大臣賞、平成20年度新潟日報文化賞ほか、受賞歴多数。

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