特集 PR

本当の私って何だろう? 手嶌葵が取り戻した等身大の歌心

本当の私って何だろう? 手嶌葵が取り戻した等身大の歌心

インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:豊島望, ヘアメイク:吉田友美(ant.)
2014/07/22

鮮烈なデビューを飾った『ゲド戦記』の“テルーの唄”や、『コクリコ坂から』の“さよならの夏”などのジブリ映画を筆頭に、シンガーとして数々の映画音楽を歌ってきた手嶌葵。耳に残る透き通った幻想的な歌声で多くの人を魅了してきた彼女が、初めて作り上げたオリジナルフルアルバム『Ren'dez-vous』は、架空の映画のサウンドトラックのような風合いの一枚。フレンチポップ、タンゴ、スウィングジャズ、ブルースなど、これまでの彼女のイメージを大きく広げる、多彩な曲調の楽曲が収録されている。

そして、この作品は彼女にとって、初めて自分自身の感性をまっすぐに反映させた作品でもある。大貫妙子、いしわたり淳治などの作家陣を迎え、初めて自らも作詞に挑戦。幼い頃からこよなく愛してきた映画の世界はもちろん、恋愛や旅のモチーフを通じて、26歳の等身大の女性としての彼女の姿を垣間見ることができる。聴いていると、どこか異国の風景が思い浮かぶこのアルバム。メルヘンチックなジャケットのイラストも含めて、同世代の聴き手が楽しめる音楽を作ることが手嶌葵自身の願いでもあった。果たしてその理由はなぜか? 手嶌葵を形作る「旅」と「映画」、そして「音楽」を紐解いた。

幼い頃からずっと映画が好きだったので、本編のないサウンドトラックのようなものを作りたいという気持ちがずっとありました。

―これまで、映画の主題歌や劇中歌をまとめた歌集や、カバーアルバムは出されていましたが、オリジナル曲のフルアルバムとしては今回の『Ren'dez-vous』が初めての作品になるんですよね。どんなイメージから作り始めたんでしょうか?

手嶌:幼い頃からずっと映画が好きだったので、オリジナルアルバムでも映画というものを大切にしたいと思っていました。だから、曲を聴いたときに頭の中で映像を一緒に再生してもらえる、本編のないサウンドトラックのようなものを作りたいという気持ちがずっとありました。

―そもそも手嶌葵さんの音楽的なルーツは、映画音楽にあるんですよね。

手嶌:特に印象に残っているのは、幼稚園の頃に母に観せてもらったオードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』。すごく素敵だなと思って、まるで初恋のように印象に残っていますね。

手嶌葵
手嶌葵

―幼稚園の頃に『ローマの休日』は早熟ですね……!

手嶌:家では、テレビ番組ではなくビデオをずっと観ているような子どもだったんです。両親がミュージカル映画が好きだったので、『オズの魔法使い』や『マイフェアレディ』、『ブルースブラザーズ』のような、ジャズやブルースが流れている映画を観て育ちました。

―リアルタイムのJ-POPや歌謡曲ではなく、そういうものに惹かれていた。

手嶌:映画の歌が自然に耳に入る環境にいたので、自然に口ずさんでいましたね。だから、中学校ぐらいになってみんなが当時流行していたJ-POPを聴いていたときも、「周りのみんなはこれが好きだけど、私はこれが好き!」みたいな頑固なところはあったかもしれません(笑)。

―歌を仕事にしようと意識したのはいつ頃のことですか?

手嶌:小さい頃は、歌手になりたいと思ったことはなかったんです。それよりも、お花屋さんやキャビンアテンダント、図書館の司書さんとか、なりたいものはたくさんあったんですけどね(笑)。だから、歌手としてデビューしたときは周りも想像していなかったみたいで、ビックリされました。

―デビューのきっかけは、“The Rose”という曲のカバーだったんですよね。この曲はご自分にとってどんな意味を持つ曲だったんでしょう?

手嶌:ベット・ミドラーというアメリカの女優さんが、映画『The Rose』の最後のシーンで歌っている歌なんです。映画の内容が気性の荒い女性歌手の話だったので、小さい頃は話の内容にそこまで興味がなかったのですが、サントラがとても素敵でずっと聴いていました。多感な思春期の頃を支えてくれた曲でもあるので、15、6歳の頃にいざデモを録音することになったときも、せっかく歌を歌うなら“The Rose”を歌いたいと思ったんです。なので、歌うたびに歌を歌い始めた頃を思い出す、初心にかえる歌ではありますね。

―デビュー作となった『ゲド戦記』のテーマ曲“テルーの唄”をはじめ、これまでは映画音楽を歌う機会が多かったわけですが、そういった場合は、歌うときにどういったことを心がけてきたんでしょう?

手嶌:好きな映画がきっかけでデビューし、その後も映画にずっと関わらせていただいていてすごく嬉しいなとは思いつつ、あまり熱くなりすぎず、冷静に対処していこうと思ってますね。

―それは、手嶌さんご自身のエゴよりも作品なり監督の世界観のほうが大事ということ?

手嶌:映画はたくさんの方が関わられていて、監督から俳優さんまでいろんな人の想いが集まって成り立っているものですから、みなさんのテーマを汲み取りつつ、楽曲にフィットしていこうという気持ちが大きいです。だから、自分の素直な感情を入れながらも冷静に歌いますし、作品の一端を背負っているという責任感がありますね。

Page 1
次へ

イベント情報

『手嶌葵コンサート2014』

2014年11月23日(日・祝)OPEN 16:15 / START 17:00
会場:東京都 日本橋三井ホール
料金:前売6,000円(ドリンク別)

『Ren'dez-vous』発売記念 ミニライブ&サイン会

2014年7月23日(水)OPEN 20:00
会場:東京都 代官山 蔦屋書店3号館 2階 音楽フロア

『Ren'dez-vous』発売記念ミニライブ&サイン会

2014年8月9日(土) OPEN 13:30 / START 14:00
会場:大阪府 NU chayamachi 1Fコリドール特設会場

リリース情報

手嶌葵<br>
『Ren'dez-vous』(CD)
手嶌葵
『Ren'dez-vous』(CD)

2014年7月23日(水)発売
価格:3,240円(税込)
VICL-64074

1. いつもはじめて~Every Time Is The First Time!~
2. ショコラ
3. ちょっとしたもの
4. Voyage a Paris~風に吹かれて~
5. 1000の国を旅した少年
6. NOMAD
7. 丘の上のブルース
8. Baritone
9. 明日への手紙
10. Home My Home
11. あなたのぬくもりをおぼえてる

プロフィール

手嶌葵(てしま あおい)

1987年6月21日 福岡県生まれ。2003年と2004年に、出身地である福岡で行われたTEENS'MUSIC FESTIVAL協賛「DIVA」に出場。その歌声が聴衆を魅了し、翌年には韓国で行われたイベント「日韓スローミュージックの世界」にも出演、好評を博した。その当時彼女が歌った「The Rose」のデモCDが、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと、2006年に公開された映画『ゲド戦記』の監督、宮崎吾朗氏の耳に届く事となり、デビューへの足掛かりとなった。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

滝沢朋恵“うすいいのり”

『わたしたちの家』清原惟が監督を手掛けたMV。淡く舞う紙ふぶき、滲み出すようなポートレイトなどが繊細な視点で映し出され、春の夢のような手触り。三野新、よだまりえ、中島あかねらが名を連ねるスタッフクレジットにも注目。(井戸沼)

  1. 入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ 1

    入場料のある本屋「文喫」は高いのか、安いのか?店内を一足先にレポ

  2. ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面 2

    ゆずが語る、ゆずへの期待を背負ったことで解放できた新たな側面

  3. Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍 3

    Queen・フレディ在籍時の6度の日本ツアーに密着 300点超の写真収めた書籍

  4. 立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く 4

    立川シネマシティの「次世代映画ファン育成計画」とは? 意図や想いを訊く

  5. アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと 5

    アジカン後藤と関和亮が語り合う、ゆとりなき今の社会に思うこと

  6. 光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も 6

    光宗薫が個展『ガズラー』を銀座で開催 ボールペンの細密画&滞在制作も

  7. ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居 7

    ゲスの極み乙女。の休日課長こと和田理生が「テラスハウス」に入居

  8. KANA-BOON×山岸聖太監督 共に歩んだ5年と、業界の変化を語る 8

    KANA-BOON×山岸聖太監督 共に歩んだ5年と、業界の変化を語る

  9. 韓国で社会現象『82年生まれ、キム・ジヨン』邦訳刊行。女性から絶大な共感 9

    韓国で社会現象『82年生まれ、キム・ジヨン』邦訳刊行。女性から絶大な共感

  10. 橋本環奈連ドラ初主演『1ページの恋』に板垣瑞生、濱田龍臣、古川雄輝ら 10

    橋本環奈連ドラ初主演『1ページの恋』に板垣瑞生、濱田龍臣、古川雄輝ら