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大谷能生×藤田貴大の脱力系対談 作品作りを変えた運命の出会い

大谷能生×藤田貴大の脱力系対談 作品作りを変えた運命の出会い

インタビュー・テキスト
藤原ちから
撮影:永峰拓也

近年の日本演劇界で最も注目を集めている、マームとジプシーの主宰・藤田貴大。2012年、異ジャンルのアーティストたちとコラボレーションする『マームと誰かさん』シリーズを敢行したが、その第1弾が音楽家・批評家である大谷能生とのコラボだった。

あれから2年、満を持してリリースされたのが今回のアルバム『マームとジプシーと大谷能生』。メインボーカルは、今や小劇場界でカリスマ的人気を獲得しつつある女優・青柳いづみ。『マームと誰かさん』の上演時に限定200枚で販売されたミニアルバムに収められていた幻の4曲のほか、『あ、ストレンジャー』(原案:カミュ『異邦人』)にまつわる新曲を加え、木下美紗都の名曲『彼方からの手紙』のカバーも収録。さらには特典DVD『あ、ストレンジャー』が、9月29日から東京・東京芸術劇場プレイハウスで上演される『小指の思い出』とCINRA.STORE限定で発売されている。大谷能生の音楽論と藤田貴大の演劇論が熱く交わりながらも、まるで兄と弟のような始終和やかな雰囲気の対談をお楽しみあれ。

大谷さんの音楽って、酔いながら町をふらついているような風景がありませんか? そういう部分に惹かれたのかもしれないですね。(藤田)

―『マームと誰かさん』の舞台から2年経って、今回改めてCDがリリースされたわけですが、そもそもなぜ二人はコラボレーションすることになったのでしょうか?

大谷:コラボレーションといっても、あのときはマームとジプシーの作品に俺がゲストで出るから、音楽も使ってくれ、という感じでした。あの時期、藤田くんは、いろいろな人とコラボレーションしたかったんだよね?

藤田:そうですね。そもそもは、2011年の4月に清澄白河のSNACで初演した『あ、ストレンジャー』を大谷さんが観に来てくれたのが初対面で、そのときに速攻で「一緒にやろうよ!」と言われたんです。もちろん大谷さんのことは知ってたけど、とはいえ「いきなりこの人何言い出すんだろう……」と驚きました(笑)。

藤田貴大
藤田貴大

―出会った瞬間にプロポーズされたようなものですね。

藤田:僕はまだ25歳だったし、誰かと一緒にやろうなんて全然思ってなかったんです。でもその年に『岸田國士戯曲賞』を獲ることになって、当時はそんなこと絶対認めたくなかったんだけど、この先どうしたらいいかちょっと途方に暮れたんですよね。それで誰かとコラボレーションしながら自分の言葉を見つめ直そうとして、『マームと誰かさん』シリーズを始めたんです。

大谷:藤田くんの置かれた状況も相当変わっていった時期だったよね。

藤田:めちゃくちゃでしたね。『マームと誰かさん』シリーズも大谷さんの後、飴屋法水さん、今日マチ子さんと続けて3か月連続でやったし、あの年は結局11本公演を打ったんです。もう忙しすぎて……。でも大谷さんとは比較的余裕を持って作れました。横浜の大谷さんの家に行って、立ち呑み屋でゆっくり話したりとか。大谷さんがメニューを読み上げてるから何かと思ったら「このメニューの文字も全部音楽になる」って(笑)。

大谷:(稽古場である)急な坂スタジオのキッチンで音源を収録したりもしたね。“くすりゆび”って曲のコーラスを録ったときにキッチンの物音が入っちゃったのが消えなくて、今回のCDにも入ったままになってます(笑)。しかし今思うと、あの頃の藤田くんはまだ余裕があったよねえ。

大谷能生
大谷能生

藤田:ほんと、あの頃は優雅な時間だったよ。

大谷:俺は今でもあんまり変わってないです(笑)。

―いや、大谷さんも多忙を極めていると思うんですけども(笑)。しかし良いタイミングで出会った、というのはあったのかもしれませんね。

藤田:ちょうど岸田賞を獲ってすぐに京都でやった『LEM-on/RE:mum-ON!!』が終わった直後で、原案の梶井基次郎の本と、その頃読んでいた大谷さんの本がリンクしていたような感覚もあったのかもしれない。それに大谷さんの音楽って、酔いながら町をふらついているような風景がありませんか? 大谷さんのそういう部分に惹かれていたのかもしれません。

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リリース情報

感傷ベクトル<br>
『君の嘘とタイトルロール』初回限定盤(CD+DVD)
感傷ベクトル
『君の嘘とタイトルロール』初回限定盤(CD+DVD)

2014年10月8日(水)発売
価格:3,780円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VIZL-663

[CD]
1. 神様のコンパス
2. エンリルと13月の少年
3. 星のぬけがら
4. 初夏の哀悼
5. 涙のプール
6. ひとりの週末
7. 光のあと
8. 生者の更新
9. 終点のダンス
10. その果て
11. 僕の嘘とエンドロール
[DVD]
・“エンリルと13月の少年”PV
・初のワンマンライブ「一人の終末」から厳選されたライブ映像6曲を収録

感傷ベクトル<br>
『君の嘘とタイトルロール』通常盤(CD)
感傷ベクトル
『君の嘘とタイトルロール』通常盤(CD)

2014年10月8日(水)発売
価格:3,024円(税込)
SPEEDSTAR RECORDS / VICL-64156

1. 神様のコンパス
2. エンリルと13月の少年
3. 星のぬけがら
4. 初夏の哀悼
5. 涙のプール
6. ひとりの週末
7. 光のあと
8. 生者の更新
9. 終点のダンス
10. その果て
11. 僕の嘘とエンドロール

書籍情報

『フジキュー!!! ~Fuji Cue's Music~』
『フジキュー!!! ~Fuji Cue's Music~』

2014年10月9日(木)発売
著者:田口囁一
価格:463円(税込)
発行:講談社

プロフィール

感傷ベクトル(かんしょうべくとる)

ボーカル、ギター、ピアノ、作詞、作曲、作画を担当する、漫画家・田口囁一(タグチショウイチ)と、ベースと脚本を担当する小説家・春川三咲(ハルカワミサキ)によるユニット。音楽と漫画の2面性で世界観を作り上げることから、ハイブリッドロックサークルと銘打ち、発表媒体を問わず幅広く活動する。 自在にセルフメディアミックスで表現する様は、まさにデジタルネイティブ世代の申し子と言える。その一方で、「僕は友達が少ない+」をジャンプSQ.19で連載するなど、プロの漫画家としても活動しており、現在は別冊少年マガジンにて青春バンド漫画「フジキュー!!!」を連載中。既刊1巻。

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