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フィリピンで育んだ感性が輝く、ヘンショクリュウの踊るための音

フィリピンで育んだ感性が輝く、ヘンショクリュウの踊るための音

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:森山将人
2015/09/09
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これぞ、新世代。氣志團、フジファブリック、赤い公園などを発掘した「GREAT HUNTING」が昨年開催したオーディション『BAND ON THE RUN』にて、最優秀バンドに選出された千葉出身の3ピースバンド・ヘンショクリュウ。結成から1年足らず、未だ平均年齢22歳の彼らが奏でるディープなソウル / ファンクは、決して狙って作り出せる類のものではない。これはもう、演奏者の生活の根源から血と汗と共に絞り出されたとしか思えない……そんな生々しいファンクネスが、彼らのデビューミニアルバム『NIPPOP』には渦巻いている。

取材の中で、フィリピン生まれのフロントマン・ハギハラ“ZINE”ヂーノは繰り返し語った。「音楽を聴いて踊ることは、子どもの頃から当たり前だった」と。彼にとっての音楽とは、常に生活の傍らにあるものであり、「喜び」そのものだった。「音楽とは喜び」――この、あまりにシンプルな方程式を躊躇いなく提示することは、意外と難しい。ヘンショクリュウの音楽の根底には、日々の喧騒から滲む痛みと哀しみがある。それは間違いない。しかし、それでも「音楽とは喜びだ」と言い切る彼らの無邪気に澄んだ眼差しに、音楽が存在する意味を、その未来を、感じ取れはしないだろうか。ヘンショクリュウにとって初めてのインタビュー、新しい息吹に触れてください。

日本では、ブラックミュージックが本来持つ肉体的で肉感的な部分を感じながら音楽を聴いている人が少ない。(ヂーノ)

―デビューミニアルバムのタイトル『NIPPOP』に、すごく強い意志を感じました。これは、「NIPPON(日本)のポップ」という意味ですよね?

ヂーノ(Vo,Ba):そうですね。ヘンショクリュウは「自称」J-POPバンドなんです。僕が作る曲って、周りの人にはよく「変わってるね」って言われるんですけど、自分では普通だと思っているんですよ。僕らの音楽はファンクとかブラックミュージックの要素が強いからそう言われるんだと思うんですけど、日本にもそういう音楽って多いと思うんです。ただ、ブラックミュージックが本来持つ肉体的で肉感的な部分を感じながら音楽を聴いている人が少ない。

左から:奥村大爆発、エルベッコ、ハギハラ“ZINE”ヂーノ
左から:奥村大爆発、エルベッコ、ハギハラ“ZINE”ヂーノ

―J-POPにも音楽性としてのブラックミュージックは溢れているのに、ヂーノさんが言う「肉体的な受け取り方」をされないのは、どうしてだと思いますか? たぶんこれは、日本と海外での「音楽に何を求めるか?」という部分に繋がる話だと思うんですけど。

ヂーノ:言葉にするのはすごく難しいんですけど……やっぱり、聴く側の習慣や環境、国民的な文化が違うんですよね。たとえば、すごくノリノリでグルーヴィーな曲がかかると、僕は踊ってしまいたくなるんです。テンションが上がって、体が勝手に動いてしまう。でも、そのノリノリな曲の歌の内容が「先日、彼女にフラれました」だと、日本人は「切ない曲だな」って受け取るじゃないですか。日本は歌謡曲文化なので。

―日本人は、身体より観念で音楽に反応するということですよね。これと同じようなことは、奥村さんとエルベッコさんも感じますか?

奥村(Dr):俺は昔、友達に「正しい音楽の聴き方の作法」というのを諭されたことがあるんですけど(笑)、それはラジカセの前に正座して歌詞カードを見ながら聴くというものだったんです。日本語は表情豊かな言語だと思うので、そういう楽しみ方もありだとは思うんですよ。でも、それはもう、踊りとはかけ離れているじゃないですか。

奥村大爆発

―正座していますもんね(笑)。

奥村:でも、最近は変わってきているのかなって思います。フェスに行くと、みんな飛び跳ねているじゃないですか。それは僕らが思う「踊り」の文化とは違うかもしれないけど、独自のものは形成されてきているのかなって。

―自分たちが思う「踊り」の文化とはズレがあることに、違和感を感じますか?

奥村:それもありだとは思います。ある意味、新しいダンスミュージックが生まれてきているということだから。

エルベッコ(Gt,Vo):フェスで邦ロックバンドを観ると、みんな手を挙げてるけど、あの光景って計り知れないよね。

ヂーノ:うん、計り知れない。

奥村:でも、それとヘンショクリュウがやっているダンスミュージックは、根本が違うんですよ。僕らがやっているのは、「飛び跳ねる」というよりも「揺れる」なんです。

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リリース情報

ヘンショクリュウ 
『NIPPOP』(CD)
ヘンショクリュウ
『NIPPOP』(CD)

2015年9月9日(水)発売
価格:1,500円(税込)
POCS-1346

1. 新しい踊り方
2. 逃げ出したい
3. 今夜は朝まで
4. やめられない
5. 悪ション×3

イベント情報

『ヘンショクリュウ pre.「変色竜日本譜発売記念(仮)」』

2015年10月14日(水)
会場:東京都 下北沢 SHELTER

CINRA presents
『exPoP!!!!! volume81』

2015年11月26日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
ヘンショクリュウ
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

ヘンショクリュウ

ハギハラ“ZINE”ヂーノ(Vo,Ba)と奥村大爆発(Dr)が高校時代から活動していたバンドに、ライブハウスで出会ったエルベッコ(隅田川リンス)(Gt,Vo)が2014年10月に参加。2015年、GREAT HUNTING主催のバンドオーディション「バンド・オン・ザ・ラン」において、3000を超えるバンドの中から最優秀に選ばれ、プロデュース・亀田誠治、デザイン・木村豊、MV・島田大介とトップクリエイターとのコラボでデビューアルバム『NIPPOP』を9月9日にリリースする。ファンクミュージックをルーツにしながらも、自分たちだけにしか出せない不穏な空気をダンサブルに伝えることを目標としている。

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