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大友良英×能町みね子が語る「はみ出し音楽講座」アジア編

大友良英×能町みね子が語る「はみ出し音楽講座」アジア編

国際交流基金アジアセンター
インタビュー・テキスト
坂口千秋
撮影:相良博昭

音楽家の大友良英がアーティスティックディレクターをつとめ、国際交流基金アジアセンターが主催する音楽プロジェクト「ENSEMBLES ASIA(アンサンブルズ・アジア)」。その取り組みの1つとして、20名の音楽家がアジア中から集まって即興演奏を繰り広げたカテゴライズ不可能なライブ『Asian Meeting Festival 2015』(2015年2月)は、東京・京都とも満員御礼。日本で暮らしているとなかなか情報を得る機会の少ない、アジアのローカルな音楽シーンへの関心の高さを印象付けた。

その実験的なライブから1年を経て、今年もユニークな音楽家たちが日本へやってくる。前回同様、初来日の音楽家も多数参加する『Asian Meeting Festival 2016』。そこで前回のライブの目撃者であり、ノイズミュージック、実験音楽のファンでもある能町みね子と大友良英に、アジアのローカル音楽の面白さについて語ってもらった。

※本文内に出演者の意向と異なる記載があったため、一部発言を修正しました。

NYのライブハウスStoneは、変な音楽をやるほどお客さんが入るんです。(大友)

大友:能町さんは、昨年の『Asian Meeting Festival 2015』を観に来てくれたんですよね。日本初登場のアーティストばかりの実験的な音楽イベントに来てくれて、本当にありがとうございます。

能町:いえいえ(笑)。私はもともと、ああいった即興や実験的な音楽が大好きなんですよ。去年ニューヨークで、ライブハウス「Stone」を観に行ったんですけど、けっこうお客さんが入っていましたね。

『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA
『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA

大友:実験音楽家のジョン・ゾーンが運営するライブハウスで、ミュージシャンたちがボランティアで自主運営してるんです。ぼくも去年、Stoneで1週間ライブをやったけど、あそこは変な音楽をやるほどお客さんが入るんです。現代美術家の毛利悠子が音の出る装置をその場で組み立てて、前衛音楽家の刀根康尚さんがmp3ファイルを暴走させ、ぼくが横でガチャガチャとギターを弾いて、Sachiko Mがサイン波を鳴らすっていう一番謎だったライブの日は、お客さんが入りきれないほどだった(笑)。能町さんが実験的な音楽に興味を持ったのは、なにがきっかけだったんですか?

能町:私、生まれてはじめて買ったCDが小学生のときで、たまの1stアルバム『さんだる』(1990年)だったんです。

大友:なるほど、予兆を感じさせますね(笑)。たまって、変わった髪型をした人が歌っていたり、ランニングシャツ姿のドラマーが突然叫んだり、ビジュアルも印象的だけど、音楽的にも当時のポップスの基準で見たら、相当変わっていたというか、いま聴いても面白い音楽ですよね。

大友良英
大友良英

―世間的には1980年代後半からのバンドブームの最中、メジャーデビューシングル『さよなら人類』(1990年)が大ヒットしたバンドとして知られています。

能町:そうなんです。当時は小学生でも知っているバンドで、私も同じように聴きはじめたんですけど、2ndアルバム、3rdアルバムとなるにつれて、周りで聴いているのは私一人だけになってしまって(笑)。それ以降はメジャーど真ん中の音楽シーンにはあまりハマらずに、ちょっとズレたものが好きになりました。大学生のときは、灰野敬二さんのCDを聴いて衝撃を受けて。その頃からですね、レコード屋で実験的な音楽を漁りはじめたのは。

大友:たまの次に灰野敬二さんとは、また過激なところを攻めていきましたね。

能町:でも、さらに本格的にハマったのはYouTube以降なんです。学生のころはネットも普及してなかったし、アンダーグラウンドなものは雑誌やレコード屋の片隅で少ない情報を得るしかなかった。でもYouTubeが普及しはじめて、それまで噂でしか聞いたことがなかった貴重な映像を一気に見れるようになって、「わあああぁぁっ!」って興奮!

能町みね子
能町みね子

大友:『Asian Meeting Festival』のリサーチでも、YouTubeはすごく役にたちました。ローカルな音楽シーンの情報や音源ってなかなか手に入らないし、雑誌も読めないから、YouTubeに投稿されている動画はすごく重要な情報源なんですよ。

能町:たしかにシーンの「いま」を知るために、YouTubeはとても重要ですよね。そういえば、数年前にグリーンランドに行ったんですが、地元のCD屋を漁ってきたんですよ。

大友:グリーンランドとは珍しい。どんな感じでした?

能町:アザラシの皮を張った、大きなタンバリンみたいな楽器を叩いて唸るだけの伝統音楽はよくわからなくてイマイチだったんですけど(笑)、グリーンランド語で歌うロックバンドとか、楽しかったです。

『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA
『Asian Meeting Festival 2015』公演風景 ©Kuniya Oyamada / ENSEMBLES ASIA

大友:ぼくは、海外にはじめて行ったのが1980年代の中国で、まだみんな人民服を着ているような時代。小さなレコード屋へドキドキしながら行ったこと覚えています。その後、香港によく行くようになってからは、地元の音楽雑誌を漁るようになって、広告に小さく漢字で「地下音楽」「雑音音楽」って書いてあって。

能町:あやしい(笑)。

大友:その広告をたどってレコード屋に行くと、片隅に「地下音楽」「雑音音楽」というコーナーがちゃんとあるんですよ。買って聴いてみると、「ピー」とか「ギャーッ」って音が入ってる(笑)。全然知らない国で、自分に近い音楽を見つけたときの嬉しさったらないですよ。

能町:いいですよね。そうやって知らない国で自分が共感できるものを見つけられたら嬉しいし、そこから新しいなにかが生まれたら最高ですよね。

大友:そういうドキドキ感が『Asian Meeting Festival』でのリサーチの原点にあります。面白い音楽を探して、その曲を作った人に出会って、共演までできるわけですからね。

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イベント情報

『Asian Meeting Festival 2016』

2016年2月5日(金)OPEN 19:30 / START 20:00
会場:東京都 六本木 SuperDeluxe
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
フィオナ・リー
川口貴大
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2016年2月6日(土)
会場:東京都 渋谷 Red Bull Studios Tokyo
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
オッキョン・リー
フィオナ・リー
※詳細は後日発表

2016年2月7日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 表参道 スパイラル
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
オッキョン・リー
フィオナ・リー
ゲスト:
石原雄治
大城真
七尾旅人
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2016年2月8日(月)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:兵庫県 神戸アートビレッジセンター
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
オッキョン・リー
フィオナ・リー
ゲスト:
DODDODO
Haco
枡本航太
森本アリ
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2016年2月11日(木・祝)OPEN 16:00 / START 17:00
会場:京都府 元・立誠小学校
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
オッキョン・リー
フィオナ・リー
ゲスト:
梅田哲也
カジワラトシオ
東野祥子
水内義人
村里杏
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2016年2月12日(金)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:京都府 METRO
出演:
クリスナ・ウィディアタマ
大友良英
Son X
SKIP SKIP BEN BEN
ナタリー・アレクサンドラ・ツェー
dj sniff
ユエン・チーワイ
ヨン・ヤンセン
Pete TR
オッキョン・リー
フィオナ・リー
ゲスト:
村里杏
毛利桂
吉田ヤスシ
和田晋侍
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

映画上映
2016年2月6日(土)~2月12日(金)START 17:40
会場:京都府 立誠シネマ
上映作品:『Y/OUR MUSIC』(監督:ワラーラック・ヒランセータワット・エブリー)
トーク:
ワラーラック・ヒランセータワット・エブリー
大友良英
Pete TR
dj sniff
ユエン・チーワイ
パフォーマンス:Pete TR
料金:当日1,500円 学生・シニア1,300円 立誠シネマ会員1,000円
※トークとパフォーマンスは2月10日のみ

2016年2月7日(日)OPEN 13:00 / START 13:30
会場:東京都 表参道 CAY
トーク:
ワラーラック・ヒランセータワット・エブリー
大友良英
Pete TR
dj sniff
ユエン・チーワイ
パフォーマンス:Pete TR
料金:前売2,000円 当日2,500円(共にドリンク付)

『Asian Meeting Festival talk sessions』

#1『東南アジアの実験的音楽とその交流の可能性』
2016年2月4日(木)START 19:30
会場:東京都 四谷三丁目 国際交流基金 JFICホール さくら
出演:
大友良英
dj sniff
ユエン・チーワイ
料金:無料(予約優先)

#2『新しいアジア圏音楽のネットワークをイメージする』
2016年2月14日(日)START 18:30
会場:東京都 渋谷 UPLINK FACTORY
トーク:
dj sniff
ユエン・チーワイ
大友良英
大石始
磯部涼
ライブ:
大友良英
dj sniff
ユエン・チーワイ
料金:1,000円(ドリンク付)

プロフィール

大友良英(おおとも よしひで)

1959年横浜生まれ。音楽家。常に同時進行かつインディペンデントに即興演奏やノイズ的な作品からポップスに至るまで多種多様な音楽を作り続け、その活動範囲は世界中におよぶ。映画音楽家としても数多くの映像作品の音楽を手がけ、その数は70作品を超える。近年は「アンサンブルズ」の名のもとさまざまな人たちとのコラボレーションを軸に展示する音楽作品や特殊形態のコンサートを手がける。また障害のある子どもたちとの音楽ワークショップや一般参加型のプロジェクトにも力をいれている。著書に『MUSICS』(岩波書店)、『シャッター商店街と線量計』(青土社)など。

能町みね子(のうまち みねこ)

コラムニスト、漫画家。北海道出身、茨城県育ち。著書は『オカマだけどOLやってます。』『くすぶれ! モテない系』、雑誌『装苑』で連載していた『雑誌の人格』など多数。フジテレビ系『久保みねヒャダこじらせナイト』、ニッポン放送『今夜もオトパラ!』に出演するなど活躍の場を広げている。

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