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サニーデイ×シャムキャッツ対談 スマートには生きられない男達

サニーデイ×シャムキャッツ対談 スマートには生きられない男達

『東京キネマ倶楽部プレゼンツ~ヨカノスゴシカタ 2~』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

2月24日、東京キネマ倶楽部にて、サニーデイ・サービスとシャムキャッツのツーマンライブが開催される。おそらく、このふたつのバンドに共通点を見出し、今回の邂逅に特別な感慨を抱く人は少なくないはずだ。ヒューマニズムに拘泥せず、日常の風景を描いた楽曲に自らの青春を重ね合わせている人、美しい日本語のポップスとオルタナティブな質感の同居に新鮮味を感じる人、あるいは活動の背景にパンク的な資質を発見し、そこにロマンを見出している人——捉え方はきっとそれぞれだろう。ただ、両者が誰かにとっての替えのきかないバンドであり続けていることは、彼らのライブに足を運べば必ず確認できる。サニーデイ・サービスの曽我部恵一、シャムキャッツの夏目知幸という両フロントマンの対話から、そんな「かけがえのなさ」の理由を感じ取ってほしい。

(シャムキャッツは)どう頑張っても一番にはなれない感じがあるっていうか、一番になりたいとも思ってないんだけど、でもなんか気に食わねえなあって。(夏目)

―まずは夏目くんにとってサニーデイがどんな存在なのかを話してもらえますか?

夏目:高校生のときによく浦安の図書館に行ってたんですけど、そこにサニーデイのCDが結構あったんです。学芸員さんが中期~後期が好きだったのか、その辺が全部並んでて、僕が最初に聴いたのは『MUGEN』(1999年発売の6thアルバム)でした。小学生の頃は普通にミスチルとかを聴いてたけど、「これは卒業していく音楽だな」って何となく中学生くらいのときに思ったことがあって、実際だんだん聴かなくなってしまったんですよ。いま聴くとやっぱ面白いなあと思うんですけどね。でも、サニーデイはその頃から現在までずっと聴いてて、卒業しなくていいっていうか、もっと普通に、常にあるって感じ。

―その卒業する・しないの差っていうのは、どこなんだと思いますか?

夏目:なんですかね……上手く言えないんですけど、サニーデイは「どうしてこうしたんだろう?」っていう部分が結構多かったりして、初めて曽我部さんに会ったときも、そういう質問をしたんです。「あの曲のここはどうしてこうしたんですか?」って。

曽我部:(サニーデイの曲は)ちょっと変だよね。しっかりしたプロデューサーとかアレンジャーとかは入ってなくて、見よう見まねでやってたもんですから、それでちょっと変なところとか、歪さがあるんだと思うんですよね。特に当時のCD業界はすごくしっかりした仕事場だったから、大人がちゃんといて、プロフェッショナルに作るのが普通だった中で、僕らは他とは作り方がちょっと違って、そういうところが引っ掛かりになってたのかなって。

左から:曽我部恵一、夏目知幸
左から:曽我部恵一、夏目知幸

―そういった印象をシャムキャッツの音楽からも感じますか?

曽我部:手作りでやってる感じはする。今の若いバンドは「こういう音にしたい」っていうのを、わりとパッとできてる感じがあって、それが羨ましいんだけど、シャムキャッツはあんまりできてない気がする(笑)。

夏目:そう、僕らはできてないんですよ(笑)。

曽我部:それがまたいいんだけどね。例えば、The fin.とかLUCKY TAPESとか、ああいうバンドはホントに上手くできてる。

夏目:D.A.N.とかもそうですよね。

曽我部:そうだね。ちゃんとやりたいことが成就できてる感じ。そこが僕らとは全然違うんだけど、シャムキャッツはわりとできてなくて、もがいてる感じがある。どっちがいい悪いじゃないんだけど、上手くできる時代になったんだなっていうのは思うかな。

―以前はそうではなかった?

曽我部:僕らのときは「洋楽みたいに聴かせたい」と思って、真似しようとするんだけどできなくて、結果独特なものになってた。今の人たちは真似って意識もなく、完成度高いものを作れてますよね。それはすごい羨ましいし、自分たちも今みたいに情報とか技術が手に入りやすい時代だったら、また違うやり方があったのかなとは思います。僕らは、売り方にしろレコーディングにしろ、「やりたいことができない」ってずっと思ってて、それは今も思ってるかな。

―夏目くんは同世代、あるいは下の世代のバンドをどう見ていますか?

夏目:自分たちと比べると、イメージがちゃんと音になってて、すごくしっかりしてるというか、わかりやすいとは思います。俺らはすげえわかりにくくなってるなって思うんですけど、「まあ、これしかできないし」っていう。

曽我部:若いバンドは欲望の形がはっきり見えてるってことかもね。夏目くんたちはそれが見えてなくて、「俺たちは何なんだ?」ってもがいてる。そこが違いじゃないかな。スタイリッシュな、スマートな男の子たちとの違いっていうかね。ファッションとかもみんなそうだもん。今の子は『POPEYE』とかに載ってるスタイリッシュな感じをパッとできちゃう。まあ、できないし、やりたくもないってところが夏目くんたちはあると思う。

夏目:そうっすね(笑)。

夏目知幸

曽我部:それは僕らもそうだったの。ただ、それはやりたくないっていうだけじゃなくて、できないっていうのがまずあるんですよ。

夏目:下の世代がどうとか関係なく、ずっとそんな感じなんですよね。どう頑張っても一番にはなれない感じがあるっていうか、一番になりたいとも思ってないんだけど、でもなんか気に食わねえなあって。

曽我部:売れてるものだったり、目立つものって、近づこうとすればするほど、自分との差が見えてきちゃうんだよね。僕らはホントずっと売れたいと思ってたし、「なんで売れないんだろう?」ってずっと思ってたけど、思えば思うほど、違いが見えてきちゃって、それが気持ち悪かったんですよ。

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イベント情報

『東京キネマ倶楽部プレゼンツ~ヨカノスゴシカタ 2~』

2016年2月24日(水)OPEN 18:15 / START 19:00
会場:東京都 鶯谷 東京キネマ倶楽部
出演:
サニーデイ・サービス
シャムキャッツ
料金:前売3,800円(ドリンク別)

リリース情報

サニーデイ・サービス『苺畑でつかまえて』
サニーデイ・サービス
『苺畑でつかまえて』(アナログ7inch+CD)

2016年1月15日(金)発売
価格:1,620円(税込)
ROSE-195

[アナログ7inch SIDE-A]
1. 苺畑でつかまえて
[アナログ7inch SIDE-B]
1. コバルト
[CD]
1. 苺畑でつかまえて
2. コバルト

シャムキャッツ『TAKE CARE』(CD)
シャムキャッツ
『TAKE CARE』(CD)

2015年3月4日(水)発売
価格:1,933円(税込)
PCD-18785

1. GIRL AT THE BUS STOP
2. KISS
3. CHOKE
4. WINDLESS DAY
5. PM 5:00

プロフィール

サニーデイ・サービス
サニーデイ・サービス

曽我部恵一(vo,g)、田中貴(b)、丸山晴茂(dr)からなるロックバンド。1994年メジャーデビュー。1995年に1stアルバム『若者たち』をリリース。その唯一無二の存在感で多くのリスナーを魅了し、90年代を代表するバンドの1つとして、今なお、リスナーのみならず多くのミュージシャンにも影響を与えている。2000年に惜しまれつつも解散。2008年7月、再結成を遂げ、以来、RISING SUN ROCK FESTIVAL、FUJI ROCK FESTIVALに出演するなど、ライブを中心に活動を再開。2010年に10年ぶりとなるオリジナルアルバム『本日は晴天なり』をリリース。2014年にはアルバム『Sunny』を、2016年1月にはアナログ7インチシングル 『苺畑でつかまえて』をリリース。

シャムキャッツ
シャムキャッツ

4人組のロックバンド、シャムキャッツ。2009年春、1stアルバム『はしけ』をリリース。2011年秋、ミニ・アルバム『GUM』をリリース。2012年冬、P-VINE RECORDSより2ndアルバム『たからじま』をリリース。収録曲“SUNNY”がテレビ東京系「モヤモヤさまぁ~ず2」のエンディング曲に起用される。2013年、夏から秋にかけてTurntable Filmsとのスプリット12インチアナログシングルの先行即売全国ツアーを開催。2014年の年明け、店舗限定シングル「MODELS」をリリース、一週間で完売。VJを加えたバンド初のワンマン・ツアー「GO」を東名阪で開催。3月、最新アルバム『AFTER HOURS』をリリースし、渋谷CLUB QUATTRO公演を含む全国ツアーを開催し大成功を収める。2015年3月4日に『AFTER HOURS』の“その後”を描いたニューミニアルバム『TAKE CARE』をリリース。全国9箇所のワンマンツアーを開催。2016年4月より全国10箇所で「EASY TOUR」が開催される。

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シャムキャッツ“Four O'clock Flower”

ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)