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新しいシーンは新宿から。鼻持ちならない奴らHave a Nice Day!

新しいシーンは新宿から。鼻持ちならない奴らHave a Nice Day!

Have a Nice Day!『Dystopia Romance 2.0』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影・編集:柏井万作

「最近はオルタナティブなバンドシーンに元気がない」。それは2010年代前半において、音楽ファンの共通認識になっていたように思う。音楽を聴く手段はネットがメインになり、ライブハウスに熱気を呼び込むのはアイドルの役目に。それを受け入れることのできなかったオルタナシーンが徐々に失速していったのは、ある種当然だったのかもしれない。

そこから風向きが変わり始めたのは、老舗ライブハウス・新宿ロフトの存在が大きかったと言える。最新のゲットーミュージックだったJUKEを紹介する『SHIN-JUKE』や、バンドやDJがカオティックなモッシュピットを作り出す『スカムパーク』といったイベントが、オルタナシーンに新たな風を吹かせたのだ。ここから生まれたヒーローの一組がNATURE DANGER GANGであり、もう一組が本稿の主役Have a Nice Day!。フロントマン・浅見北斗の言葉に耳を傾けてみてほしい。

神奈川県の横浜より向こう側って、内面的にはみんなヤンキーなんです(笑)。僕はヤンキー文化に興味がないし、残りはオタクな奴らしかいなくて。

―浅見さんが音楽をやり始めたのは、就職してからだったそうですね。

浅見:そうなんです。だから「大学のサークルでバンドやってます」とか言われると、コンプレックスがあるというか、ちょっとむかつくなって(笑)。でも音楽を聴くのはずっと好きで、二十歳過ぎくらいの頃に『RAWLIFE』(2004~06年に開催されていた音楽フェス)がやってたので、日本のアンダーグラウンドなシーンは結構見てました。

浅見北斗
浅見北斗

―Have a Nice Day!(以下、ハバナイ)には「ロックンロールにドリームとロマンスを取り戻す」というキャッチコピーがありますけど、それはジャンル的な意味合いというより、アティテュードの問題?

浅見:そうですね。ジャンルとしてのロックンロールはそんなに聴いてなくて。でも1980年代のアメリカンハードコアの、めちゃめちゃDIYな精神みたいなものが自分の根底にあるような気がします。80年代前半のアメリカのハードコアシーンをドキュメントした映画があって、当時の映像を見ると、ものすごいモッシュピット(ライブ中に観客が興奮して、密集状態で体をぶつけ合う現象)が起きてるんですけど、そのうちLess Than TV(日本のインディーズレーベル)を知ってイベントに行って、「日本にもこういうのがあるんだ!」って思ったり。

―ちなみに浅見さんって、学校のクラスの中ではどんな立ち位置にいるタイプだったんですか?

浅見:ヒエラルキーの中にさえいれないくらい目立たなくて、「なんか上手くいかねえな」って感じでした(笑)。僕は茅ヶ崎の出身なんですけど、神奈川県の横浜より向こう側って、ビジュアルに関係なく、内面的にはみんなヤンキーなんです(笑)。僕はヤンキー文化に興味がないし、ヤンキーを除くと残りはオタクな奴らしかいなくて。

―中間がいない(笑)。

浅見:そう(笑)。ほどよくサブカルなやつがオレの周りにはあんまりいなくて。

―そんな浅見さんが就職後、どんなきっかけで音楽を始めたんですか?

浅見:余った時間に何かやりたくなってきたんですよね。それで音楽好きの先輩が、「サンプラーを買えば、楽器が弾けなくても音楽ができるらしい」ってことを教えてくれて、買いました(笑)。

―言われるがままに(笑)。

浅見:当時は日本語ラップが大好きで、友達の家でひたすらフリースタイルをするっていう遊びを2年くらいやって。そこから「ライブするにはやっぱりバンドじゃないと無理だな」とか「1ループだけじゃどうにもなんないな」とかいろいろ考えて、だんだん今の形になっていきましたね。

面白くないやつがヒエラルキーの上にいて優遇されてるなんてありえない。

―ハバナイの名前が浸透していく上では、やはり『スカムパーク』の存在が大きかったと思うんですけど、どのように立ち上げられたイベントだったのでしょうか?

浅見:当時モッシュピットって、普通のライブハウスのブッキングイベントだと全然起きなかったんですよね。なので、「じゃあ、人為的に作ってみよう」っていうのがイベントの始まりで、アティテュードが近いグループをブッキングしていきました。僕らがこれまで作品を出してきたオモチレコードをやってる新宿ロフトの望月さんと一緒に、Fat Fox Fanclub、NATURE DANGER GANG、チミドロ、RAP BRAINSとか、どこにもハマってないんだけど、ライブが盛り上がりそうなやつを集めていって。

ハバナイ周辺のシーンを追ったドキュメンタリー映画も制作された

―バンドだけではなくて、ジュークのDJ陣が関わっているのもポイントですよね。

浅見:もともとは、イベントにDJを入れてもあんまり盛り上がらないのを見てきたから、転換のDJはいらないと思ってたんです。でも、望月さんがやってる『SHIN-JUKE』でBooty Tune(ジュークの国内レーベル)の人たちと話してみたら、面白いかもなって思ったんですよね。

―ちゃんと盛り上げられるDJならOKってことですね。

浅見:そうっすね。『スカムパーク』って、バンドが25分でDJが40分っていうのを交互にやるんですけど、DJでもモッシュが起きるんですよ。何か特定のものを見に来る感じじゃなくて、ひたすら暴れてるような雰囲気。深夜12時から朝5時までオールピークタイムみたいな、そういうことがしたかったので、それはひとつ形にできたかなって。

―『スカムパーク』の出演者が共有していたアティテュードというのは、どんなものだったのでしょうか?

浅見:なんていうか……閉塞感みたいなものじゃないですかね。たとえば「有名か否か」とか、見えないヒエラルキーってあるじゃないですか? 少なくとも僕はそこに納得がいかなくて、面白くないやつがヒエラルキーの上にいて優遇されてるなんてありえない。『スカムパーク』は有名か否か関係なく、盛り上げられないやつは二度と呼ばないっていう空気感がありました。なので、「ぶち上げたライブをしよう」っていうのは共有しつつ、他の出演者に対するライバル心も結構ありましたね。

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リリース情報

Have a Nice Day!『Dystopia Romance 2.0』
Have a Nice Day!
『Dystopia Romance 2.0』(CD)

2016年5月11日(水)発売
価格:1,296円(税込)
Virgin Babylon Records / VBR-033

・REQUIEM 4 DREAM$
・LOVE SUPREME
・60 seconds superstar
・ファウスト
・NEW ROMANCE feat.world's end girlfriend
・F/A/C/E

Have a Nice Day!『Anthem for Living Dead Floor』
Have a Nice Day!
『Anthem for Living Dead Floor』(CD)

2016年4月16日(土)発売
価格:1,620円(税込)
Virgin Babylon Records / VBR-031

1. Blood on the mosh pit
2. ロックンロールの恋人
3. ゾンビパーティー
4. American Dream Helters Disco Showcase
5. Are you ready?(suck my dick)
6. フォーエバーヤング
7. SCUM PARK

全曲試聴はこちらから

イベント情報

『Helter Skelters Disco Showcase』

2016年5月25日(水)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-WEST
料金:前売2,500円 当日3,000円

プロフィール

Have a Nice Day!
Have a Nice Day!(はぶ あ ないす でー)

リーダーの浅見北斗を中心に、2011年頃より活動するジャンク・ディスコ・バンド。ウネるシンセ、太いベースを軸としたサウンドが魅力。2012年にオモチレコードより『BLACK EMMANUELLE EP』2013年に『welcome 2 SCUM PARK』を発表。新宿LOFTを中心に開催されていた“SCUM PARK”の中心的バンドとして、NATURE DANGER GANGらとともに東京アンダーグラウンド・シーンで注目を浴びる。2015年4月にはおやすみホログラムとのコラボ作「エメラルド」、Limited Express (has gone?)とのコラボ作「Heaven Discharge Hells Delight」をリリース。15年11月18日には会場限定3rdアルバム「Dystopia Romance」のリリースパーティーをクラウドファンディングで一般から出資を募り恵比寿リキッドルームでの開催にこぎつけ満員御礼、大成功を収めた。2016年4月、Virgin Babylon Recordsからベスト盤『Anthem for Living Dead Floor』、5月にはアルバム『Dystopia Romance 2.0』をリリース。

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