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「普通」なんて誰が決めた? Rie fu流「自分を愛する」ための視点

「普通」なんて誰が決めた? Rie fu流「自分を愛する」ための視点

Rie fu『O』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:飯嶋藍子
2016/04/25

シンプルな歌とメロディーが鳴っている。音像には、繊細なアレンジが施されている。この音楽の奥に見えるのは、Rie fuが、その人生の中で出会い、見てきたであろう多くの人々や土地の姿だ。

2014年にリリースされた『I』に続く、デビュー10周年記念アルバムの第二弾『O』。「OUTSIDE」を意識して作り上げた本作でRie fuは、「OUTSIDE」を自身にとっての「外部」ではなく、「輪郭」のように描いている。まるで「自分を作るのは他者である」とでもいうように。

その結果、時にユーモラスに、時にドリーミーに描かれる彼女の心象風景のスケッチ集のような一枚に仕上がった。他者への無垢な優しさが噴出する祈りのような瞬間が本当に美しい。キャリア10年を超え、自身のレーベルが3年目を迎えた、このタイミングで生み出された本作は、きっと彼女の新しい原点になるだろう。そして、あなたが新しいあなたを見つけるための、最良の他者にもなるはずだ。

常に「いろんな答えを探し続けたい、新しいものを見つけたい」という好奇心が生まれるんです。

―去年は中国やインドネシアなど、アジア10か国以上を回るツアーをされていたそうですね。

Rie fu:そうなんです。2年前に旦那の転勤でシンガポールに移住したんですけど、過去にアニメの主題歌を担当していたこともあって、私のFacebookページにはアジアの方、特に、インドネシアの方が多かったんです。それもあって、いつか現地でライブをやりたいと思っていて。シンガポールって、アジアの国ならどこでも大体2~3時間以内で行ける、すごく立地がいい国なんですよね。なので、現地に行って直接会場をブッキングしたりして、すごく自然な形でアジアツアーに繋がっていきました。今回、日本に一時帰国する時に、台湾での乗り継ぎがあったので台湾でもライブをしてきましたし。

Rie fu
Rie fu

―すごい! それもご自身でブッキングされたんですか?

Rie fu:はい(笑)。もともと、私はすごくのんびりとしたマイペースな人間だから、安住しちゃうとダラけちゃうんです。特にシンガポールは常に真夏の気候なので、ダラけようと思えばいくらでもダラけてしまえて(笑)。……その危機感があるからこそ動きたいっていうのはありますね。

―Rieさんは2012年にご自身のレーベルを設立されて以降、すごく自由に動き続けているイメージがあるのですが、その原動力になっているのも、そうした自分自身に対する危機感なんですか?

Rie fu:そういう部分もあるし、あとはあまのじゃく精神ですかね(笑)。私は見た目からものんびりしていると思われるんですけど、そのイメージの逆を突いてみたい、期待されていることと違うことをしたい、予想を裏切りたいっていう反骨精神に掻き立てられる部分もあると思います。もちろん、「その先に何があるんだろう?」という単純な好奇心もあるし。

―そうした反骨精神なり好奇心なりを音楽に変えていくことで、Rieさんは何を伝えたいんですか?

Rie fu:「視点」を伝えたいんだと思います。普段の何気ない日常に対しても、「こういう視点で見てみたらどうですか?」っていうのを提示したいんですよね。

―外を知ることで、自分自身を多角的に見る、ということですよね。

Rie fu:そうです。それこそ、私はこれまでアメリカにもヨーロッパにもアジアにも住んできましたけど、それぞれの場所から見た「日本」って全然違ったりするし。たとえば、去年のアジアツアーでは、最初は、日本語だと伝わりにくいと思ったので、敢えて歌詞を英語に訳して歌ったりもしたんですけど、そうしたら現地のお客さんに「日本語で聴きたかった」って言われたりして、日本語の「響き」の美しさに改めて気づかされたんです。日本語が母国語でない人たちは、言葉が直接入ってこないからこそ、歌い方やメロディーから意味を想像して聴くのが楽しいんだって。

Rie fu

―なるほど。日本で暮らしていると、日本語の響きの美しさなんて当たり前すぎて気にしないですよね。歌詞にしても、やはり響きよりも意味が重要視されるし。

Rie fu:そうですよね。でも、日本語の美しさを再発見したからこそ、今回のアルバムでは敢えて意味を深く考えすぎないように言葉を並べてみたんです。意味を考えすぎてしまうと言葉を無理に押し込んでしまうけど、聴いた人は「響き」から直接的な意味以上のものを感じ取ってくれるかもしれないから。

―言葉の意味そのものだけが答えじゃないということですよね。

Rie fu:そうですね。そうやって「答え」がひとつじゃないということを知れば知るほど、常に「いろんな答えを探し続けたい、新しいものを見つけたい」という好奇心が生まれるんだと思います。私は、「答えがないことが答え」だと思うんです。「答え」を求めると、自己中心的な考えになったり、他の考え方を拒否してしまうことになりかねないけど、それって、すごく勿体ないことだと思うんです。

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リリース情報

Rie fu『O』
Rie fu
『O』(CD)

2016年4月6日(水)発売
価格:3,000円(税込)
DQC-1519

1. Fourier(フーリエ)
2. SecretIsland
3. 夢の中であなたは(In My Dreams You Were…)
4. Father&Son
5. 雨の飛行場(Airport in the Rain)
6. Lullaby
7. Zutto
8. Scale
9. Dreamer
10. A Song For Me

プロフィール

Rie fu
Rie fu(りえふぅ)

シンガーソングライター・油彩画家。日本語と英語がミックスされた歌詞や、カレン・カーペンターに影響を受けた歌声が特徴。幼少期をアメリカで過ごし、現地で賛美歌などに触れた事がきっかけで歌に興味を持ち始める。2004年デビューと同時にロンドンに渡り絵画を学び、現地のミュージシャンとも親交を深める。2007年ロンドン芸術大学卒。以後、音楽活動と合わせて定期的に個展を開く等、アートと音楽を繋げる活動を続けている。近年では、ものづくりの過程が垣間みられる工事現場をテーマとした絵画を描く『工事現場フェチ画家』としても制作を続けている。ピアノ・ギターを演奏し、他アーティストとのコラボレーションやCM音楽制作等、活動の幅を広げている。2016年シンガポールからイギリスに移住。

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