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華々しいデビューの後に挫折を味わったOKAMOTO'S、復活を語る

華々しいデビューの後に挫折を味わったOKAMOTO'S、復活を語る

OKAMOTO'S『BROTHER』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望 編集:山元翔一
2016/06/01

OKAMOTO'Sの新曲“BROTHER”が凄まじい。ポップスもロックもファンクもヒップホップもぶち込んだ闇鍋のなかから、最良の「旨み」と「エグみ」だけをすくい出したようなサウンド。シンプルだが、構造が狂っている。キャッチーだが、突き放している。豊潤な音楽素養とバンドの強烈な筋力が、一塊の「研ぎ澄まされた混沌」を産み出した。

<俺のことわかるやついるか?>とオカモトショウが突き刺すように歌うこの曲で、OKAMOTO'Sは、わかってもらえない絶望が、わかり合えない悲しみが、人と人の間に横たわる普遍的な命題であることを伝えている。そして、わかり合えない私とあなたが共に踊るためにロックンロールが存在する奇跡を、誰よりも謳歌しようとしている。

デビューから6年。得たものもあれば、失ったものもあったが、彼らは、再び「バンド」の根源的な喜びを取り戻した。2010年代を代表する「恐るべき子供たち」、堂々の帰還である。

もう「わかっている」人だけに向けて歌ったほうがいいなって。(ショウ)

―今回のシングルのタイトル曲“BROTHER”は、去年、『芥川賞』を受賞した又吉直樹さん原作のドラマ『火花』の主題歌ですが、原作からの影響はどのくらいあるんですか?

ショウ(Vo):楽曲自体は、ドラマをすごく意識して制作したわけではないのですが、歌詞はドラマの世界観を意識しながら書きあげました。『火花』は、漫才師の主人公が師匠の背中を追いかけていく姿を描いた青春時代の話になっていて、原作を読んだとき、「こういう相手って、誰にでもいるよな」と思った。ちょうど、俺はどこかのタイミングで、父親のことを歌いたいと思っていたんです。

オカモトショウ
オカモトショウ

―ショウさんのお父さんは、ミュージシャンですよね。『火花』の主人公は師匠に対して憧れと畏怖を抱いていましたけど、ショウさんにとって、お父さんはどんな存在なんですか?

ショウ:音楽好きの友達という感覚もありながら、プロとしてのキャリアは圧倒的に上で、その複雑な関係性が『火花』のふたりにも通じると思ったんです。自分にとってすごく近い距離にある対象を歌うほうが、聴く人にとっても親密なものになると思うようになりました。

ハマ(Ba):そうだよね。たとえば、ONE OK ROCKがなぜこれほど支持を集めるのかと言うと、ボーカルのTakaくんが自分のことを歌い続けているからだと思っていて。リスナーにとって自分が使わない言葉を歌われていたとしても、歌う側自身の言葉で歌われる歌のほうが響くんだよね。

ショウ:俺のことをよく知っている友達10人くらいが、「ショウ、これやばいよ」と言ってくれるものを作ったほうがいいと思ったんです。よりはっきり想像できる相手をターゲットにして書くというか……もう「わかっている」人だけに向けて歌ったほうがいいなと感じて。2曲目の“Lagoon”の歌詞も自分の内面に向かってすごく感覚的に書いたけど、それもメンバーが納得してくれたのが大きかった。

―OKAMOTO'Sは中学校の頃からの同級生ですもんね。言ってみれば、お互いのことを「わかっている」四人が集まったバンドで。

ハマ:去年リリースしたアルバム『OPERA』(カギ、ケータイ、サイフをなくし、世の中との接点を失った人物を主人公として描いたコンセプトアルバム)は、アルバム全体でひとつの物語を描くロックオペラだったんです。なので、それを構成するために必要な楽曲を書くという作業を1年通してやってきて。その縛りや重荷から解放されたのも大きかったかもしれないです。今回のシングルには自分たちが中学生だった頃の熱量に通じるものがあるんですよね。

デビューしてから1年半の間に、立て続けに3枚のアルバムをリリースしたあと、大きな挫折があった。(コウキ)

―ショウさんの詞作の変化も、『OPERA』以降のモードチェンジと言えますか?

ショウ:そうですね。バンドを始めた頃は、自分のことを歌うなんて自己満足的だと思っていました。それ以上に、「1960年代や70年代のバンドマンのようでありたい」というような憧れが強かったので、憧れの人を真似することで、自分が特別な存在になれると思っていて。でも、『OPERA』では自分の実話をもとに、自分の根底にある部分を曝け出したら、何かのフリをしているときよりも自分自身が気持ちよかったし、その分お客さんから親密な反応が返ってきた感触があった。

―なるほど。ただ、裏を返すと『OPERA』は重荷を課してでも作らなければならない作品だったし、ショウさんが「自分」を歌うこと自体がトライアルだったわけですよね。OKAMOTO'Sに『OPERA』が必要だった理由って、どこにあるんでしょうか?

コウキ(Gt):このシングルの抜けのよさが自分でも不思議だったので、「なんでだろう?」って考えてみたんです。そこで思ったのは、『OPERA』はそれまでのOKAMOTO'Sに対する決着であり、落とし前だった。僕らは今までに6枚のフルアルバムをリリースしていますが、デビューしてから1年半の間に、立て続けに3枚(『10's』『オカモトズに夢中』『欲望』)発表したあと、大きな挫折があったんです。そして、そのあとの3枚(『OKAMOTO'S』『LET IT V』『OPERA』)は、その初期三部作に対する回答を歌ってきた。そこには、挫折に対する落胆と、「なんで伝わらないんだ!」ということが第一のテーマとしてありました。ある意味、その頂点が『OPERA』だったんです。

オカモトコウキ
オカモトコウキ

レイジ(Dr):俺もそれで間違いないと思う。『OPERA』って、「伝わらない」というOKAMOTO'Sの大テーマが作品に直結したものだったんだよね。

―コウキさんが言う「最初の3枚のあとの挫折」について、詳しく教えていただけますか。

ハマ:正直、僕らはずっと暗闇の前で演奏していたのと一緒だったと思うんです。19歳でデビューをした当時は、いやらしい言い方にはなりますが、あの年齢でこれだけ音楽的なルーツをしっかり持っているバンドなんて他にいないし、「俺たち、一番じゃん」と思っていたんです。

レイジ:というか、一番だったんだよ、本当に。

ハマ:そうだね。お客さんも音楽業界の人たちも、「OKAMOTO'S、すごいね!」と言ってくれると思っていて。でもいざ蓋を開けてみたら、何より業界の人たちが、僕らのやっていることを理解できなかった。それに対して、「音楽が好きで音楽の仕事をしているはずなのに、なんで僕らの音楽がわからないんだろう?」という落胆と憤りがありました。あのときは……ショックでしたね。「作り方を変えなきゃいけないのかな?」って。

ハマ・オカモト
ハマ・オカモト

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リリース情報

OKAMOTO'S『BROTHER』初回限定盤
OKAMOTO'S
『BROTHER』初回限定盤(CD+DVD)

2016年6月1日(水)発売
価格:1,800円(税込)
Ariola Japan / BVCL-724/5

[CD]
1. BROTHER
2. Lagoon
3. なんかホーリー
[DVD]
『OKAMOTO'S MOVIE11』
1. LIVE BOOTLEG SERIES
OKAMOTO'S 2015-2016 “LIVE WITH YOU” 2016.1.30 ZEPP Diver City
2. オカモトーーーク特別編 ヤバコウキ ~実録!本当にやっていた曲作り 2015~

OKAMOTO'S『BROTHER』通常盤
OKAMOTO'S
『BROTHER』通常盤(CD)

2016年6月1日(水)発売
価格:1,200円(税込)
Ariola Japan / BVCL-726

1. BROTHER
2. Lagoon
3. なんかホーリー

プロフィール

OKAMOTO'S
OKAMOTO'S(おかもとず)

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)による、中学校からの同級生で結成された四人組ロックバンド。2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス『SxSW2010』に出演。アメリカ7都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを廻ったアジアツアーなど、海外でのライヴを積極的に行っている。2015年9月、通算6枚目となるフルアルバム『OPERA』をリリース。同年11月からスタートした同作のリリースツアーのファイナル公演をZepp DiverCityにて開催。2016年6月、Netflixオリジナルドラマ「火花」の主題歌“BROTHER”を表題に掲げたシングルをリリースする。また同月3日千葉LOOK公演を皮切りにキャリア初の47都道府県を回るツアー“OKAMOTO'S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016”を敢行する。

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