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ポストロックは生き方の転換点でもあった。京都発・sowの歩み

ポストロックは生き方の転換点でもあった。京都発・sowの歩み

sow『Route of migratory』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:山元翔一
2016/10/14
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今思えば、2000年代に発生した「ポストロック」のブームというのは、音楽性だけではなく、「生き方」という意味でも時代の転換点だったように思う。「仕事か音楽の二者択一」から「仕事をしながら音楽を続けることが普通」という価値観の転換は、あの時期に起きたのではないだろうか。

「ポストロック」と呼ばれたバンドの多くはインディペンデントな活動スタイルで、音楽的にはオルタナティブがゆえに、音楽だけで生活をするのは容易ではない。しかし、たとえばtoeのように、仕事をしながらの活動でもファンベースを築き、定期的に大型フェスへ出演し、海外ツアーまでできることを示したのは、とても大きかった。

2008年に大学の音楽サークルの先輩後輩で結成され、2011年から現在の編成で活動する京都発のインストゥルメンタルバンドsowも、まさにそんな磁場から生まれたバンドであるように思う。映像制作チームyuccaの創設メンバーで、コンポーザーも務める吉村和晃を中心とした四人は、大学卒業後の決して一筋縄ではいかない時期を彼らなりの方法論でサバイブし、5年目にして初のフルアルバム『Route of migratory』を完成させた。「ここがひとつの区切り」というアルバムの発売を機に、メンバー全員インタビューでその歩みを振り返る。

(2010年の『KAIKOO』フェスで)「こういう音楽でもこれだけの人が集まるんや」って、可能性を思い知らされて、あのフェスはバンドを続けるうえでのエネルギーになりましたね。(山下)

―吉村さんは映像制作のチームでコンポーザーをやられていて、山下さんはグラフィックデザインをされているそうですね。toeに代表されるように、ポストロックのブームって、「仕事か音楽の二者択一」から、「仕事をしながら音楽を続ける」っていうことが普通になる、時代の転換点だったように思うんですね。

吉村(Gt):「やりたいことをやる」ということは、普通に社会に出て働いている人からしたら「悪」とまでは言わなくともよく思われることではないと感じていて。「生活を安定させたうえでやらなあかん」って言う人も多いかもしれないけど、やりたいことをやってないと、生きていくうえで張りがないんですよね。

―安定した生活よりも、生きがいを求めたと。どうしてそういうふうに考えるようになったんでしょう?

吉村:やりたいことを「やっていいんだ」っていうメンタルになれたのは、京都精華大学の自由な校風も大きかったかもしれないです。最初は就職しないとあかんと思ってたけど、別にしなくてもいいやんって考えになりました。もちろんしんどいし、最初はお金も安定しないから、おかげで卒業してから3~4年はホント貧乏で、スタジオ代借りまくってたんですけど(笑)。

吉村和晃
吉村和晃

二反田(Pf,Syn):玄米とサバ缶食べて生きてたよね(笑)。

吉村:コンビニの100円のパンを50円引きで買ってました(笑)。でもそんなんでも、続けてくことで今は人並みに生活できるレベルの収入になっているし、バンドもこうやってフルアルバムを出せるところまできたわけですからね。

―山下さんは「仕事をしながら音楽を続ける」という選択をするうえで、どんな思いがありましたか?

山下(Ba):僕はメンバーの中では一番堅実な道を選ぼうとするタイプやと思うんですね。仕事も2、3変わりましたけど、わりと堅い方を選んでて、「働く分にはちゃんと働かなあかん」っていう考えで。だから、卒業のタイミングでバンドを続けるかどうかは悩みましたけど、実際にやっている人たちが周りにいたので、「自分もできるんちゃうかな?」って思えたのが大きかったですね。

あと、いわゆるアンダーグラウンド寄りの音楽が好きになって、「でも、こういう音楽を続けていていいんだろうか?」と考えたこともあったんです。でも、そのときに大きかったのが2010年の『KAIKOO』(『KAIKOO POPWAVE FESTIVAL』)で。

―ああ、晴海ふ頭で2デイズで行われた年ですね。

山下:あれこそインディペンデントに活動している人たちが一堂に集まったイベントだったわけじゃないですか? でもお客さんはパンパンで、それが結構な衝撃だったんですよ。「こういう音楽でもこれだけの人が集まるんや」って、可能性を思い知らされて、あのフェスはバンドを続けるうえでのエネルギーになりましたね。

山下貴弘
山下貴弘

―「自分もこういう人たちのように続けていけるんじゃないか」って思えたと。

山下:ちょうどそういう生き方が特集され始めた時期でもあったと思うんです。でもだからといって、最初から仕事とバンドのバランスを上手く取れるなんてことは絶対なくて。仕事のスケジュールが安定しなくて、練習が全部深夜になったり、バンドに迷惑かけたこともいろいろありました。そのうえで、今でもやれているっていうのは幸運でもあるし、しんどいときもあったけど、それでも「やめる」っていう選択肢を取らなかったのが大きかったと思います。

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リリース情報

sow『Route of migratory』
sow
『Route of migratory』(CD)

2016年10月19日(水)発売
価格:2,000円(税込)
FBAC-006

1. migration
2. circle ratio
3. fata morgana
4. clockwork
5. 10th sentiment
6. carved pixels
7. beach
8. Run for
9. I see what the city saw feat. Ryu (from Ryu Matsuyama)
10. mirror

イベント情報

『earth garden"秋" 2016』
2016年10月22日(土)、10月23日(日)
会場:東京都 渋谷 代々木公園 イベント広場・ケヤキ並木
※sowは23日に出演

『タワーレコード京都インストアライブ』
2016年11月13日(日)
会場:京都府 タワーレコード京都店内 イベントスペース
※アコースティックセット

『sow 1st Album「Route of migratory」Release Party』
2016年12月25日(日)
会場:京都府 木屋町 UrBANGUILD
出演:
sow × VJ Yohsuke Chiai & Takuma Nakata
Ryu Matsuyama
吉岡哲志(LLama)
and more

プロフィール

sow
sow(そう)

2008年結成。メンバーチェンジを経て2011年現編成での活動を開始。国内外のポストロックバンドと数多く共演。アートイベントへの出演などジャンルレスに活動。叙情的なフレーズと緻密な構成の楽曲は、鋭角的、攻撃的なハードコアサウンドから繊細且つ雄大なサウンドスケープまで多彩な表情を見せる。

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