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ピアノインストブームの火種はどこ? fox capture plan×ADAM at

ピアノインストブームの火種はどこ? fox capture plan×ADAM at

fox capture plan『FRAGILE』、ADAM at『Echo Night』
金子厚武
撮影:関口佳代 編集:矢島由佳子 取材協力:ビルボードライブ東京

安定したことをやるんじゃなくて、次の一歩を踏み込む。「ちょっとくらいこけてもいいや」って。(岸本)

―ここまでピアノインストの歴史を振り返っていただきましたが、今度はそれぞれどういった新作を作ったのかを聞かせてください。まずfox capture planの『FRAGILE』に関しては、どんな青写真があったのでしょうか?

岸本:2016年が結成5周年イヤーだったので、メモリアル的なアルバムを出そうという話もあったんですけど、新しいフルアルバムとしてのアイデアがまだ出揃っていなくて、リリースを2~3か月後ろにしたんです。それによってアイデアを練る時間ができて、「電子音」というキーワードが出てきて。アタマの3曲はほぼ同じタイミングでできたんですけど、「次のアルバムのオープニングはこの流れだな」って、直感的に感じました。

―オープニングからシンセで始まっていて、明確な変化を感じました。

岸本:同じことを繰り返すのが嫌いなメンバー三人なので、毎度なにかしらの変化をつけていきたくて。しかも自分たちでは変えたつもりでも、意外とリスナーには伝わらなかったりするから、思い切って一歩踏み込んでやりました。2015年に『BUTTERFLY』を出して、2016年はコラボイヤーで、今回は新しいスタートのアルバムにしたいと思ったので。

―『FRAGILE』というアルバムタイトルについても、今の話からつながりますか?

岸本:そうですね。安定したことをやるんじゃなくて、次の一歩を踏み込む。「ちょっとくらいこけてもいいや」っていう、自分たちの危なっかしさをタイトルにしました。

fox capture plan
fox capture plan

ADAM at:3曲目の“エイジアン・ダンサー”がすげえかっこよくて。メルテンの好きな音使いだなっていうのもわかるし、素晴らしいと思う。今回すごくメロディーが耳に残って、漫画で言うと『三国志』みたいな感じですよね。「難しいのに入りやすい」みたいな(笑)。

岸本:実はそこはあんまり意識してなかったんですけど、結果的にそういうアルバムになったと思いますね。

ADAM at:でも、それって理想ですよね。テクニックを出し過ぎると、曲を覚えてもらえない。でも曲を覚えてもらいたいからといって、単純なことだけやってもしょうがない。すごくハイブリッドなアルバムだと思います。

岸本:別の媒体の人に、「よりマスをイメージした作風になってますね」って言われて。それは去年のコラボイヤーでKeishi(Tanaka)くんとか大森(靖子)さんと一緒にやって、少なからず影響を受けてるのかなと思います。

ボーカルをひとつの楽器として扱うことの実践ができたし、今までは電子音を使わずに、エフェクトを使ってクラブミュージックを再現することにこだわってたけど、そのリミッターをもう外していいんじゃないかと思えた。新しい音を入れることに抵抗がなかったのは、コラボのおかげなのかなって。

岸本亮

テレビでインストが流れて、「ADAM atっぽいね」って言われるためには、最初は変えちゃいけないと思うんですよね。(ADAM at)

―では、ADAM atの『Echo Night』に関しては、どんな青写真があったのでしょうか?

ADAM at:メルテンの話と逆になっちゃいますけど、僕らは「変わらないこと」が大前提なんです。ボーカルがいるバンドは声で誰だかわかりますけど、テレビでインストが流れて、「ADAM atっぽいね」って言われるためには、最初の何枚かは変えちゃいけないと思うんですよね。とは言いつつ、少しずつ変えていかないと飽きられちゃうから、今回はいろんなミュージシャンに参加してもらうことで、ベースになってるのはあくまでADAM atなんだけど、「全然違うでしょ」といえる表現を目指しました。

―そうやって自由にメンバーを入れ替えることができるのが、セッションバンドであるADAM atの強みですよね。

ADAM at:よく「貞操観念が軽い」って言われるんですけどね(笑)。ADAM atは伸びやかなメロディーと踊りやすいリズムというのが基本なんですけど、今回のリード曲(“Echo Night”)は今までにない攻撃性が出てるように、他のメンバーが弾くと全然違って聴こえるっていう、そういうアクセントをつけたかったんです。

岸本:最初、資料とかなにも見ずに聴いたんですけど、「最初の2曲、JABBERLOOPのリズム隊っぽいな」って思いました(実際、JABBERLOOPのYUKIと元メンバーのYOHEIが参加)。あと、5曲目と6曲目が好きですね。ADAM atの新しい一面が見れたし、メロディーもすげえいいなって。

ADAM at:その2曲は、カルメラのリズム隊に入ってもらいました。去年シンガポールに行ったとき、ベースとドラムは現地の方と一緒にやったんですけど、その二人がものすごく上手くて、ホントにいいライブができたんです。上手い人と一緒にやると、こっちも上手くなるんだなって思ったんですよね。なので、「もっといろんな人と一緒にやらないと」と思って、今までほぼ固定だったメンバーにはお休みしていただいて、いろんな方に参加していただきました。

ADAM at

ロックフェスに行く人たちがなにを求めてるのかを考えると、僕は「参加型」だと思うんです。インストバンドにとっても、参加できることが大事。(ADAM at)

―では最後に、「ピアノインスト」の今後についても話していただければと思います。途中でも話したように、「インスト」の中にあった壁が取り払われて、今はいろんなバンドが混ざり合う状況になっていると思うのですが、とはいえ、いわゆる「ロックフェス」とはまだ距離があって、個人的にはそこの壁も崩れたら、もっと面白いなと思っています。今後について、それぞれどうお考えか話していただけますか?

ADAM at:これといった使命とかはないと思うんですけど、音楽シーン全体の底上げは絶対にしなきゃいけないと思っているから、僕らがジャンルを分けていてもしょうがない。ロックフェスとかに呼んでもらったときには、いつも通りにやる部分もありつつ、どこかで媚びないといけないとも思っていて。

じゃあ、今のロックフェスに行く人たちがなにを求めてるのかを考えると、僕は「参加型」だと思うんです。星野源さんの“恋”じゃないですけど、参加型で踊ったりすることが求められていると思う。なので、インストバンドにとっても、お客さんが参加できることが大事かなって僕は思うんですよね。

―ADAM atはまさにそこに主軸を置いているバンドですもんね。

ADAM at:インストで、それをいち早くやったのがカルメラだと思っていて、彼らはお客さんを笑顔にするのが上手なんですよね。僕もプレイヤーというよりはエンターテイナーでありたくて、ひとりでも多くの人を笑顔にしたいんです。その手段がたまたまピアノだったから、インストミュージックを通じて多くの人を笑顔にしたいと思っています。

岸本:ADAM atもカルメラも、あとはH ZETTRIOとかも、「ジャズ=大人」みたいな、「私たちにはまだ早い」とは思わせないで、広い入口を作ってるから、素晴らしいなと思います。僕としても、fox capture planやJABBERLOOPをきっかけにインストの魅力を多くの人に知ってもらいたいし、さらに言えば、インストとか歌ものとか関係ないレベルにまで持っていきたいですね。スカパラとかって、もうそういう存在じゃないですか? そこにいくことも大きな目標です。

左から:ADAM at、岸本亮

記事で挙がったピアノインスト系アーティストのプレイリストを、Apple Musicにて公開中(Apple Musicで聴く

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リリース情報

fox capture plan『FRAGILE』
fox capture plan
『FRAGILE』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,500円(税込)
PWT-031

1. FRAGILE #1
2. FRAGILE #2
3. エイジアン・ダンサー
4. the Gift
5. Bouncing walk
6. Brianstorm
7. Prospect Park
8. Terminal 2
9. Possibility
10. Aerial

ADAM at『Echo Night』
ADAM at
『Echo Night』初回限定盤(CD+DVD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,916円(税込)
VIZL-1106

[CD]
1. 韻と楼
2. GO TO THE LAKE
3. Echo Night
4. やまねこ神楽
5. Rosetta
6. EVE
7. Tall Sun
8. Arabesque
9. ROAD OF THE TAIL
10. あきあかね
11. My Fairy Day
12. 六三四(88Version)
[DVD]
ライブ映像
・Oroppas
・スウィートホーム
・六三四
・ヤマネコア
・MONOLITH - ToT
PV
・CLOCK TOWER
・スウィートホーム

ADAM at『Echo Night』通常盤
ADAM at
『Echo Night』通常盤(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,376円(税込)
VICL-64712

1. 韻と楼
2. GO TO THE LAKE
3. Echo Night
4. やまねこ神楽
5. Rosetta
6. EVE
7. Tall Sun
8. Arabesque
9. ROAD OF THE TAIL
10. あきあかね
11. My Fairy Day
12. 六三四(88Version)

イベント情報

fox capture plan
『FRAGILE TOUR -KICK OFF ONE MAN LIVE-』

2017年1月25日(水)
会場:東京都 代官山UNIT

『fox capture plan “FRAGILE” Release Tour 2017』

2017年3月20日(月・祝)
会場:福岡県 中洲川端 INSA

2017年4月13日(木)
会場:大阪府 梅田 Zeela

2017年4月14日(金)
会場:広島県 4.14

2017年4月15日(土)
会場:東京都 恵比寿 リキッドルーム

ADAM at
『ニュー・アルバム「Echo Night」リリース前夜祭』

2017年1月24日(火)
会場:東京都 渋谷LUSH
1月24日20:00よりLINE LIVEで放送

『「Echo Night」発売記念インストアイベント ミニライブ&ジャケットサイン会』

2017年1月28日(土)
会場:静岡県 三井ショッピングパークららぽーと磐田 1Fフードコート内イベントスペース

2017年2月18日(土)
会場:静岡県 プレ葉ウォーク浜北店 1Fプレ葉コート

2017年2月19日(日)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店 4Fイベントスペース

2017年2月25日(土)
会場:神奈川県 タワーレコード横浜ビブレ店 イベントスペース

2017年2月26日(日)
会場:北海道 HMV札幌ステラプレイス イベントスペース

2017年3月4日(土)
会場:東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース

2017年3月11日(土)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース

2017年3月25日(土)
会場:愛知県 名古屋パルコ西館 エントランスイベントスペース

『Echo Night Release Tour 2017』

2017年4月8日(土)
会場:静岡県 浜松 窓枠

2017年4月15日(土)
会場:北海道 札幌 Bessie Hall

2017年5月19日(金)
会場:広島県 SECOND CRUTCH

2017年5月21日(日)
会場:福岡県 中洲川端 INSA

2017年6月2日(金)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd

2017年6月15日(木)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2017年6月16日(金)
会場:大阪府 心斎橋 JANUS

2017年6月25日(日)
会場:東京都 下北沢 GARDEN

プレイリスト

『ピアノインストまとめ~岸本亮とADAM atが選ぶ、2000年以降のインスト曲』

・THE BAKER BROTHERS / Shack Up
・SOIL&"PIMP"SESSIONS / サフォケーション
・SLEEP WAKER / AI-NO-TABI
・SPECIAL OTHERS / AIMS
・quasimode / oneself - LIKENESS
・Indigo Jam Unit / Be (Instrumental)
・JABBERLOOP / MISSING MY BIRD
・→Pia-no-jaC← / 組曲『』with Taro Hakase
・JABBERLOOP / Behind the wind
・J.A.M / New Things
・mouse on the keys / plateau
・toconoma / Second Lover
・カルメラ / ロックンロールキャバレー
・H ZETTRIO / Neo Japanesque
・fox capture plan / Butterfly Effect
・ADAM at / Echo Night
・ADAM at / 六三四(88Version)

プロフィール

fox capture plan
fox capture plan(ふぉっくす きゃぷちゃー ぷらん)

現代版ジャズロックをコンセプトに、それぞれ違う個性を持つバンドで活動する3人が集まり2011年結成。ジャズピアノトリオ編成を軸にポストロック、ドラムンベース、ダブステップ等の要素を取り込んだ新感覚な楽曲が特徴。2012年10月、タワーレコード限定ミニアルバム『FLEXIBLE』でデビュー。2013年12月にリリースした2ndアルバム『BRIDGE』が、JAZZ JAPAN AWARD2013アルバムオブザイヤーニュースター部門、CDショップ大賞2014部門賞ジャズ賞の2冠を獲得。ドラマ(TBS系『ヤメゴク~やくざやめて頂きます~』)の劇中音楽、CM(ASICS A77)、東京モーターショー(トヨタ プリウス)等多方面への楽曲提供も行う。2016年は、数々の海外ツアー、『FUJI ROCK FESTIVAL'16』『東京JAZZ2016』メインホール出演等、精力的に活動中。2017年1月、5thフルアルバム『FRAGILE』リリース&ドラマ(TBS系『カルテット』)の全編劇中音楽を担当。

ADAM at
ADAM at(あだむ あっと)

キーボーディスト、ADAM atを中心に2011年浜松のライブハウスでセッションバンドとして活動を開始する。ボサノヴァ、ジャズ、テクノ、スカなどの要素を取り込み、ひたすら踊れるバンドとして話題となり、全国のライブハウスからのオファーが殺到。2015年1月には、ビクターエンタテインメントより、1stフルアルバム『CLOCK TOWER』を発売し、iTunesではトップジャズアルバムになり、タワーレコードのジャズチャート1位となった。2015年5月よりNHKプロ野球放送(総合テレビ・BS1ラジオ第1)のテーマ曲を担当。2016年1月には2ndフルアルバム『スウィートホーム』をリリースしiTunesジャズチャート、タワーレコードジャズチャートで1位となる。5月にはシンガポール公演を現地のサポートミュージシャンらと共に成功させている。

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