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sympathy柴田が語る現在地 夢見がちな女子高生はバンドマンへ

sympathy柴田が語る現在地 夢見がちな女子高生はバンドマンへ

sympathy『海鳴りと絶景』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子、山元翔一
2017/03/03

高知県のとある高校のフォークソング部でコピーバンドをやっていた四人の女子高生が、周りの勢いに流されてオリジナル曲を作り、東京でライブをし、そのライブの勢いに流された現・所属事務所に声をかけられて、契約。本人たちも、周りの大人たちも、何らかの「勢い」というものに流されながら動いている――sympathyは、そんな不思議な力を持つバンドだ。

もちろん、その「勢い」の中心には、四人の若き女たちの内面から吐き出される、粘着質でキラキラとした音楽の存在がある。そんなsympathyが、遂にメジャーデビューを果たす。

高校卒業後、進路の違いでメンバーが全国に散らばり、四人での曲作りもままならなくなった。そう簡単にメンバーは揃わない、でも、バンドは生きている――この2年間のsympathyは、「バンド」というものが、いかに不思議な生命体であるかを生々しく実証する存在だったとも言える。唯一東京で暮らし、日本・音楽業界の中心地ともいえるこの地で「sympathy」の看板を背負い続けた柴田ゆうに、メジャーデビューにかける想いを訊いた。

前は、音楽はメンバーみんなと一緒にいるための手段だったんです。でも今は、音楽のために集まっている四人でもある。

―前回のCINRA.NETでの取材(女子高生はなぜ輝ける? 冷静に大人を裏切る現実主義なsympathy)のとき、柴田さんはまだ短大生だったんですよね?

柴田(Vo,Gt):そうですね。あのときは、短大に入って1年目でした。卒業してから、もうすぐ1年経ちますね。

柴田ゆう
柴田ゆう

―この1年間を、柴田さんはどんなふうに過ごしてきたんですか?

柴田:他のメンバーは地元の高知や京都で4年制の大学に通っているので、今、東京でsympathyとして動けるのは私だけなんです。なので、一人でラジオに出たり、ボイトレに行ったり、修行の1年間という感じでした。メンバーは次で大学4年生なので、あと1年、みんなが東京に来てくれるまでの地盤作りっていうイメージですね。

―他の三人も、大学を卒業したら東京に出てくることは決まっているんですか?

柴田:というか、「上京しない」とか言い出したら引っぱたきます(笑)。メンバーが東京に来たときは私の家に泊まるんですけど、深夜の暗い道を通って練習スタジオに行く途中、不動産屋さんの前で立ち止まって、「この家よくない?」みたいな話をしていて。一軒家を借りて一緒に暮らそうよ、という話はしていますね。「掃除は誰がするの?」みたいなルールも既に作り始めていて(笑)。

sympathy
sympathy

―前回のインタビューでは、「卒業後はたぶん就職する」「音楽1本を決意できる人はすごい」とおっしゃっていましたよね。実際、就職という選択は選ばなかったんですか?

柴田:選びませんでした。私は歯科技工士として就職する予定だったんですけど、医療系ってなかなか休みが取れないんですよ。おばあちゃんの入れ歯って、ないと困るものじゃないですか(笑)。だから、絶対に納期どおりに終わらせなきゃいけない仕事で、バンド活動とは両立ができないなと思ったんです。今はバイトをしながら音楽メインで生活しているんですけど、結局、こっちが楽しいからいいやって思っています。

―他の三人も卒業後は就職せず、バンド活動に専念する予定ですか?

柴田:私から「就職はやめて」って言っています。「上京したらなんとかなるから、お願い~」って。東京って、アルバイトでめっちゃ稼げるし、地方とは生活の感覚が違うから、とりあえず、こっちに来て一緒に暮らそうよって。

―「音楽で生きていくことは難しい」と言っていたスタンスから、明らかに変わりましたね。

柴田:そうですね。この1年の間にツアーを回ったりして、ライブに来てくれる人の表情を見ると、考えがすぐに変わりました。これまでは、音楽はメンバーのみんなと一緒にいるための手段だったんですけど、今は音楽のために集まっている四人でもあるし、関係性も「同級生」から「よき理解者」に変わったと思います。

「終わり」があるからこそ、女子高生であることに執着していたし、すがれたんだと思う。

―sympathyは四人の同級生としての繋がりが強かったし、特に柴田さんのなかには「女子高生でい続けたい」という気持ちも強かったわけですよね。そこから抜け出した後、それでも四人でバンドを続けていくことって、もう一度バンドを始めるぐらいの覚悟が必要だったんじゃないですか?

柴田:どうだろう……「もう一度始める」っていうことではないと思う。今だから思うんですけど、「終わり」があるからこそ、女子高生であることに執着していたし、すがれたんだと思います。感傷的になれる物事がないと、私たちは何もできなかったんです。

柴田ゆう

―なるほど。

柴田:でも、今は音楽をやっている「今」に執着しています。もちろん、「感傷」は私の本質だし、人間の本質って、そう簡単に変わらないとも思うんです。女子高生だったころに対して感傷は抱かなくなったけど、いつでも私は青春で、明日になったら「昨日はこうだったな」って、また違った種類の感傷に浸りながら生きていくんだと思う。

その感覚自体は変わらないかもしれない。でも、今はもう、普通に生きているだけで「虚無感」は潜んでいるものなんだって気づいたし、もし、自分が過去に抱いたのと同じ感情を抱いている人がいるなら、「私が、君の消化しきれない、その感情を曲にしてあげるよ」って思うんです。

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リリース情報

sympathy『海鳴りと絶景』
sympathy
『海鳴りと絶景』(CD)

2017年2月22日(水)発売
価格:1,944円(税込)
VICL-64719

1. 泣いちゃった(4人ver.)
2. ドロップキック・ミッドタウン
3. 深海
4. 海辺のカフェ
5. SNS
6. 二十路
7. 魔法が使えたら

イベント情報

『海鳴りのはじまり~駐輪場で待ち合わせツアー~』

2017年3月24日(金)
会場:高知県 高知X-pt.

2017年4月1日(土)
会場:大阪府 阿倍野ROCKTOWN

2017年4月2日(日)
会場:東京都 渋谷STAR LOUNGE

プロフィール

sympathy
sympathy(しんぱしー)

女の子4人でできている高知県産、超絶無名バンドsympathy。高校の部活の小さな部室から生まれ、初ライブのコンテストでたまたま優勝、地元のライブハウスでライブをしながらオリジナル曲を作り始め、かくかくしかじかを経て1stミニアルバム『カーテンコールの街』を発表。絶賛遠距離中にもかかわらず、いつの間にやらレーベル・事務所と契約……! そして2ndミニアルバム『トランス状態』が出来上がり、あれよあれよと言う間になんとメジャーデビューが決定。もうウカウカしてらんない! 遠距離バンドはメジャーの舞台でどう生き残るのか! 乞うご期待! よそ見しないでね☆「sympathyは『揺れるロック』を推進します。」

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