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新宿LOFTと下北沢SHELTERの店員が危惧するライブシーンの焦り

新宿LOFTと下北沢SHELTERの店員が危惧するライブシーンの焦り

The Floor『ウェザー』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人 編集:山元翔一

1976年10月にオープンし、はっぴいえんど、坂本龍一、山下達郎、BOØWY、スピッツ……そんな錚々たる顔ぶれがホームグラウンドとし、日本のロックを黎明期から支え続けるライブハウス、新宿LOFT。1991年10月にオープンし、Hi-STANDARDなどを中心とするパンクシーンや、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどを中心としたギターロックシーンの隆盛を支えたライブハウス、下北沢SHELTER。このふたつの歴史あるライブハウスが、日本の音楽史において果たしてきた役割の大きさは計り知れない。きっと数え切れないほど多くの人々が、これらの空間で何かを学び、感じ、得てきたのだろう。

今回、CINRA.NETでは、新宿LOFTで長年ブッキングマネージャーを務める樋口寛子と、下北沢SHELTERで店長を務める義村智秋の対談を実施。今のバンドシーンが抱える問題点や、お互いのおすすめバンドも含め、人と音楽と歴史と文化が共に生きる空間「ライブハウス」のあるべき姿について、とことん語り合ってもらった。

ライブハウスで働けば、原石にいち早く出会えるんじゃないか? っていうミーハーな気持ちがまずはありました(笑)。(樋口)

―まず、それぞれがどのようにして今のライブハウスで働かれることになったのか、教えていただけますか?

樋口:専門学校を卒業するとき、アルバイトでもいいから、音楽に関わる仕事に潜り込みたいなって思ったのがきっかけです。ライブハウスで働けば、将来スピッツやTHE YELLOW MONKEYのようなスターの原石に、いち早く出会えるんじゃないか? っていうミーハーな気持ちがまずはありましたね(笑)。

義村:僕は最初、横浜のF.A.Dっていうライブハウスで働き始めたんですけど、学生時代にバンドをやっていたので周りが就職活動を始めたときも、「バンドやりたいな」って気持ちがあって。スーツを着る仕事はしたくなかったし、でもバンドで売れるわけもないし、どうしようかなぁって思っていたとき、「ブッキングやる?」って誘われて、働き始めたんです。

新宿LOFT(住所:東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2)
新宿LOFT(住所:東京都新宿区歌舞伎町1-12-9 タテハナビルB2)

下北沢SHELTER(住所:東京都世田谷区北沢2-6-10 仙田ビルB1)
下北沢SHELTER(住所:東京都世田谷区北沢2-6-10 仙田ビルB1)

―そこからSHELTERで働き始めるに至ったのは?

義村:F.A.Dを辞めて、真っ当な昼の仕事をしようと思っていたんです。でも当時、LOFTグループがマネージメントをやっていたa flood of circleのマネージャーの方にSHELTERの店長として働かないかと誘われて(下北沢SHELTERはLOFTグループの系列店舗)。SHELTERだったら、Hi-STANDARDも出ていたし、いいなって思っちゃったんですよね。

―LOFTグループは新宿LOFTや下北沢SHELTERをはじめとする、6つのライブハウスを運営する一方、アーティストのマネージメントを手がけ、レーベル運営も行っていたんですよね。

樋口:そうです。私、本当はLOFTじゃなくてSHELTERで働きたかったんですよ(笑)。私は1997年に入社したんですけど、まだ新宿LOFTが西新宿にあった時代で(新宿LOFTは1999年に歌舞伎町に移転)、正直LOFTって、一番働きたくないライブハウスでした。「The ライブハウス」っていう感じで、怖いし、汚いし、先輩も偉そうっていう勝手なイメージが強かったから(笑)。

義村:そうなんですね(笑)。西新宿時代のLOFTは、たしかになぁ……。僕も、実際に行ったことはないですけど、恐ろしい場所だったとは聞いています(笑)。

左から:義村智秋(下北沢SHELTER)、樋口寛子(新宿LOFT)
左から:義村智秋(下北沢SHELTER)、樋口寛子(新宿LOFT)

―西新宿時代のLOFTと言えば、東京ロッカーズのような日本の初期パンク世代との繋がりが伝説的に語られたりしますよね。

樋口:「みんなで楽しくライブハウスを作っていこうぜ!」っていうイメージは、西新宿のLOFTにはなかったんですよね。でも結局、事務所のデスクワークの人がちょうど辞めるから、それでよかったらっていうことで、西新宿のLOFTで働き始めたんです。

「あの時代がよかった」と言う人もいるかもしれないけど、新しいものを作っていくことしか、僕らにはできないですから。(義村)

―ライブハウスは、時代に応じて出演するアーティストが変わっていくものだし、どの時代に足繁く通ったかによって、出る人、来る人の間にも様々なイメージが生まれる場所だと思うんです。なかでも、LOFTやSHELTERは、その時代に応じて、多種多様なアーティストを受け入れているイメージがあります。

樋口:新宿LOFT自体、私が入った時点でもう20年以上の歴史がありましたけど、LOFT系列のライブハウスは、オールジャンルでやっていますね。何かに特化するというよりは、アイドルやサブカルも出れば、ギターロックもメロコアもヴィジュアル系も出るし。そこまでやれるのはLOFTグループしかないなっていうのは、他店舗を見ても思いますね。カルチャー全般、いろんな人たちを網羅している印象があります。

樋口寛子(新宿LOFT)

―確かに、ロフトプラスワン、阿佐ヶ谷ロフトAでは日々トークイベントを行っていますし、カルチャー全般というのはおっしゃる通りかなと思います。義村さんはいかがですか?

義村:僕はSHELTERに関わっている期間が短いし、これまでSHELTERがやってきたこともわからないから、逆に、新しい風をどんどん入れていこうっていう感じなんですよね。

僕が入った当時のSHELTERは、Less Than TV周りのオルタナ系が出ていたり、ちょうどBiSをはじめとしたアイドルも出始めた時期だったんですけど、あまりカラーを決めようとは思っていなかった。「あの時代がよかった」と言う人もいるかもしれないけど、新しいものを作っていくことしか、僕らにはできないですからね。

―おふたりともライブハウスで働きながら、数々のバンドを目にしてきたと思いますが、2010年代に入ってからは、バンド音楽を取り巻く状況も大きく変わっていった印象があるんです。音源が売れなくなって「ライブの時代」と言われたり、ライブハウスのステージにもアイドルが立つようになったりもした。そういったなかで、おふたりが体感しているバンド音楽の変化ってありますか?

樋口:流行についていくのが大変になったなぁ、とは思います。どんどんとサイクルが早くなって、今では、メジャーデビューして2~3年で武道館に立つ人たちもいるじゃないですか。でも、武道館ってそんなに早く立てる場所ではなかったと思うんです。

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リリース情報

The Floor『ウェザー』
The Floor
『ウェザー』(CD)

2017年6月21日(水)発売
価格:1,728円(税込)
LILC-1001

1. 灯台
2. ノンフィクション
3. Cheers With You
4. ウィークエンド
5. はたらく兵隊さん
6. ラブソング
7. DRIVE

イベント情報

『The Floor Presents 「天井知らずワンマンツアー」』

2017年7月21日(金)
会場:北海道 札幌 COLONY

プロフィール

樋口寛子(ひぐち ひろこ)

ライブハウス新宿LOFTを中心に様々な企画、バンドブッキングを担当。LOFT入社以降、ブッキングのほかロフトグループ内のレーベル『SONG-CRUX』より、フジファブリック、メレンゲ、音速ラインなどの音源リリースやコラボCD等の企画を担当し、音速ラインはメジャーレーベル進出時にマネージャーも務めた。レーベル関連業務、ライブツアー帯同、マネージメント等の経験を活かし、多面的・多角的な視点でブッキングを行う。

義村智秋(よしむら ともあき)

下北沢SHELTER店長。2007年より横浜F.A.Dにてブッキングを担当する。2012年、下北沢SHELTERの店長に就任。2013年、SHELTER発の新レーベル『SHELTER UNITED』を立ち上げ、Half-Lifeを3タイトルリリース(現在充電中)。また、下北沢のサーキットフェス『KITAZAWA TYPHOON』、推しバンドを招聘した『THE REAL THINGS』などのイベントを制作。

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