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台風クラブが語る、シンプルだからこそ奥深いロックと日本語の話

台風クラブが語る、シンプルだからこそ奥深いロックと日本語の話

台風クラブ『初期の台風クラブ』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:馬込将充 編集:山元翔一
2017/09/07
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「日本語ロックの西日」と自ら称する京都の新鋭・台風クラブの1stアルバム『初期の台風クラブ』が素晴らしい。関西のライブハウス界隈を中心に徐々に注目を集め、最近ではクリープハイプの尾崎世界観やスカートの澤部渡も賛辞を贈るなど、知名度を広げつつあったが、本作をきっかけにより多くの人がこの才能を知ることになるだろう。

彼らの音楽には、特別なギミックがあるわけではない。「3コードのロックンロール」という制約から解き放たれた結果生まれた、芳醇なロックの歴史の川下に位置する「2017年の日本語ロック」、シンプルにただそれだけ。しかし、ソングライティング、リリック、アレンジメントの三拍子がこれだけ揃った作品というのは滅多にお目にかかれるものではない。

なかでも今回注目したのは、リリックの部分。石塚淳(Vo,Gt)の生活に根差した言葉の数々は、リアルとポエティックの中間を行き、市井の人の心情を繊細に描き出しつつ、消えない倦怠感を笑い飛ばしてみせる。はっぴいえんど、村八分、Theピーズ、サニーデイ・サービス……日本語ロックの歴史を振り返りながら、石塚の作家性に迫った。

自分らの街の言葉で、西洋のロックをねじ伏せてる感じがめちゃくちゃいいなって思ったんです。

—石塚さんの日本語ロックの原体験について話してもらえますか?

石塚:中学校のときに大流行した、THE HIGH-LOWSとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが原体験です。「言いたいことを歌ってるの、めっちゃええな」って思ったんですよね。それで自分でもバンドをやるようになって、同じ時期に流行っていたメロコアの人たちは英語で歌うのが普通だったけど、自分は特に疑いもなく日本語でした。

石塚淳
石塚淳

—日本語で歌うことの何が魅力的だったのでしょうか?

石塚:もともと英語で歌われていたロックンロールが日本に入ってきて、日本語を乗っけたことで「ズレ」が生じるじゃないですか? 「そこでそれ言う?」みたいな。それがめちゃめちゃ快感だったんですよね。

で、中学校を出たあとガレージパンクを見つけてしまって、最初は海外のバンドの再発盤を買いまくってたんです。でも、そのうちTHE NEATBEATSや、ちぇるしぃを知って、「日本語で海外のガレージと同じ熱量出してる人おるやん!」と。そこからは、より明確に「やっぱり日本語やな」って思うようになりました。

—Green Dayの“Basket Case”(1994年)などの日本語カバーも、ときどきライブでやっているそうですね。

石塚:カバーポップスの頃とか、GS(グループサウンズ)の人らがやっていたことって、欧米のロックを日本語で歌ったことで生じる「ズレ」の最たる例だと思うんです。アメリカのロックンロールに、いなたい日本語が乗ってる感じがめっちゃ好きなんですよ。“Basket Case”とか、実際何を歌っているのか全然知らないんですけど…悪びれた様子もなくって感じです。そういう軽いノリもバンドの一環やと思っているんで。

—大阪から京都の大学に進学したのは、先ほど名前の挙がった、ちぇるしぃや、その祖先というべき村八分への憧れが大きかったそうですね。

石塚:日本語のロックンロールのなかでも、京都は革ジャンや女の子の歌じゃないロックを鳴らしてる人らがいっぱいおるイメージだったんです。「ローラー族」(ロカビリースタイルで踊る、1980年代の若者たちの呼称)の人らもめちゃくちゃ好きなんですけど、僕がやっても決まらないですからね。実家住まいやったし、フォーク的な、「自分の暮らしに嘘をつかない」みたいな気持ちは最初からあったかもしれないです。

—たしかに、「日本語のロックンロール」と一言で言ってもいろいろな形がありますよね。そのなかでも石塚さんが求めたのは、それこそフォーク的な、華やかというよりは実直さのあるものだったと。

石塚:そうですね。その一方で、自分のなかに「東京」のイメージというのも漠然とあって。東京の街に対する憧れもあります。サニーデイ・サービスの『東京』(1996年)のジャケットとかモロだし、西東京のビートバンドにある切なさも昔からめっちゃ好きなんですよ。The Beforesというバンドの(諸岡)賢二さんがやってるThe Blouseってバンドとかめちゃめちゃよくて。

僕は生まれも育ちも大阪やし、イモっぽいんですけど、賢二さんのあの感じがめっちゃかっこいいなって常に思ってて。「そんなかっこつけてるわけじゃないのに、でもシュッと決まってんなあ」みたいな。

—「東京」ということでいうと、台風クラブの歌詞は季節や風景描写もポイントになっているので、はっぴいえんどを連想させました。

石塚:もちろん、はっぴいえんどは好きです。でも僕らが、いきなり明治とか大正の仮名遣いにしてもサブいじゃないですか(笑)。だから、明らかな形では出てないと思うんですけど、影響は100%受けています。松本隆さんの『風のくわるてつと』(1972年)という本で、麻布らへんの三角地帯を歩く描写があるんですけど、そこはしょっちゅう読み返すくらい好きですね。

—なぜ松本隆さんの日本語に惹かれるのでしょうか?

石塚:適度に湿っぽい感じとかですかね。あと、自分らの街の言葉で、西洋のロックをねじ伏せてる感じがめちゃくちゃいいなって思ったんですよね。

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リリース情報

台風クラブ『初期の台風クラブ』
台風クラブ
『初期の台風クラブ』(CD)

2017年8月23日(水)発売
価格:2,052円(税込)
LNCM-1211

1. 台風銀座
2. ついのすみか
3. ずる休み
4. ダンスフロアのならず者
5. 相棒
6. 春は昔
7. 42号線
8. 処暑
9. 飛・び・た・い
10. まつりのあと

プロフィール

台風クラブ
台風クラブ(たいふうくらぶ)

山本啓太(Ba)、石塚淳(Vo,Gt)、伊奈昌宏(Dr)によるスリーピースバンド。京都を拠点に活動を行う。2016年11月、本秀康主宰の「雷音レコード」から7インチアナログ『ずる休み/まつりのあと』をリリース。2017年4月22日、7インチアナログ『相棒 / 飛・び・た・い』を、同年8月23日、初の全国流通盤フルアルバムとなる『初期の台風クラブ』を発表した。

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