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おにぎり文化をどう盛り上げる?おにぎり屋 宿六店主の思い

おにぎり文化をどう盛り上げる?おにぎり屋 宿六店主の思い

キリン
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:鈴木渉 編集:久野剛士、野村由芽

キャビアのおにぎりは、2時間で完売しました。

―先ほど、新しい具材については、いつも考えているとおっしゃっていましたが、それを実験的にお店で出したりもするのですか?

三浦:この店で出すことはあまりないですね。一度、他のお店のアシストをしたことがあって。それは原宿のお店で、そこではいろいろ実験的な具材も出してみたんですけど、あんまり上手くいかなかったですね。さっきも言ったように、おにぎりは安心感が大事な食べ物なので。だから、日常で出すお店では、なかなか難しいところがあると思います。ただ、イベントとかで特別に高級な食材を使ったおにぎりを出すのはありだと思うんです。

以前、丸の内のイベントで、1個7,000円のキャビアを使った高級おにぎりを5個限定で出したんですけど、2時間で売り切れました。でも、それを普段から販売しても、売れないと思うんです。日常的に高級なおにぎりを提供する土壌は、まだまだ日本にはないですから。

―というと?

三浦:寿司屋では、大間のマグロを一貫1,000円で売ることも普通にあると思うんですけど、ひとつ1,000円のおにぎりとなると、やっぱり「高い」って感じる人が多いじゃないですか? おにぎりも寿司も、手間の部分は似ていると思うんですけど。

おにぎりを作る様子
おにぎりを作る様子

―確かに。寿司も、もともと庶民的な食べ物だった歴史がありますね。そう考えると、おにぎりも、寿司のようにイメージがシフトする可能性はあるんでしょうか。

三浦:こっちが知りたいですよ(笑)。ブランディングのノウハウを教えてもらいたいです。寿司には、回転寿司もあれば、ひとり3万円の高級店もある。そういう住み分けができれば、おにぎりの文化も楽しくなると思うんです。

その土地、その文化に合ったおにぎりが存在したら面白い。

―三浦さんは2015年の食の祭典『ミラノ万博』でおにぎりの紹介も行ったそうですね?

三浦:そこで「ミラノ風おにぎり」を出したんですけど、それも基本的に、「子どものときから食べているもの」というのが、キーワードだったんですよね。ミラノに行ったら、イタリアの人が子どもの頃から慣れ親しんだものを組み合わせて、おにぎりを握ろうっていう。

―具体的には、どんなものを用意したのですか?

三浦:もちろん、日本のトラディショナルなおにぎりも喜ばれるんですけど、それとは別に、ミラノだったら「ミラノ風カツレツが入っていたら、もっと美味しいんじゃない?」という意見もあって。

あと、水を一切使わず、ワインでご飯を炊くチャレンジをやってみたんです。そこにパルミジャーノとか生ハムとかオリーブを入れてみて。「日本のトラディショナルなものと、どっちが美味しい?」って聞いたら、「パルミジャーノ」って言うんですよ。僕からしたら、パルミジャーノのおにぎりは、そんなに美味しく感じないんですけど(笑)。

三浦洋介

―なるほど(笑)。

三浦:チーズのねっとり感が米とくっついて、僕らがイメージするおにぎりとは、かけ離れたものができあがる。ただ、それが向こうの人にとっては慣れ親しんだ味なんですよね。だから、そういう点でも、やっぱりおにぎりに求められているのは、安心感なんです。

そういえば、ミラノの人におにぎりを食べてもらったら、「これはパニーニみたいなものだね」と言う人がいて。つまり、おふくろの味なんですよ。パッと家で作れて、ワンハンドで食べられて、おやつでもいいし昼飯でもいいしみたいな食べ物だっていう。

―その話は、おにぎりの本質を表しているのかもしれないですね。

三浦:そうですね。だから、仮に世界展開するのであれば、ローカリゼーションは絶対必要だと思います。その土地、その文化に合ったおにぎりが存在していい。もちろん、トラディショナルなものも必要ですけど、プラスアルファでローカリゼーションも必要だと思います。寿司もそうじゃないですか。トラディショナルなネタに加えて、カリフォルニアロールもある。

―食にかぎらず、その土地に合わせて、あるカルチャーが変化することは確かによくあることかもしれません。

三浦:以前カタールでおにぎりを握ったことがあるんですけど、現地の寿司屋と話したら、「裏巻は絶対必要だよ」と言われて。「裏巻」というのは、海苔を表に出さない巻き方で、同じ味でも表で巻いちゃうと、絶対手をつけない人がいるみたいなんですよ。

三浦洋介

―海外の人は、海苔の黒っぽさに抵抗があるのでしょうか?

三浦:具材としての昆布とかは、人気もあるんですけど、黒いものが前面に押し出されて、黒く覆われたものには、ちょっと抵抗がある人もいて。同じ味でも、そういうビジュアル面のことが、意外と大事かもしれないですよね。

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イベント情報

『NEWTOWN』
『NEWTOWN』

2017年11月11日(土)、11月12日(日)
会場:東京都 デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧三本松小学校)
料金:無料
※雨天決行 / 荒天中止

『大人の学校:おにぎりCRAFT 手作りおむすび×クラフトビールの不思議な縁むすび』

2017年11月12日(日)
会場:東京都 デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧三本松小学校)
時間:12:00~13:30
出演:三浦洋介(おにぎり屋 浅草 宿六)
料金:無料

プロフィール

三浦洋介(みうら ようすけ)

1979年2月1日生まれ。東京都浅草出身。東京で一番古いおにぎり屋「おにぎり 浅草 宿六」の3代目店主。中学1年生からフルートを習い、午前中と夜の時間帯は、フルート教室も開催している。世界におにぎりの魅力を伝える活動を行う「一般社団法人おにぎり協会」の応援大使で、国内外でおにぎりの普及活動を重ねてきた。

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