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古着屋BOY×Spotify対談 最新の音楽文化の発信者が語り合う

古着屋BOY×Spotify対談 最新の音楽文化の発信者が語り合う

King Gnu『Tokyo Rendez-Vous』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:小田部伶 編集:山元翔一 取材協力:BOY

Twitterって結構ノイズもある場所ですけど、音楽に関してはあんまり間違った情報とか偏った意見がない気がします。(野本)

—野本さんはYouTubeの登場をどのように見ていましたか?

野本:ミュージックビデオを見たいときに見られるようになったのは「画期的だな」って思いますよ。でも検索して、その結果を見るっていう仕組みは「音楽の発見」にはつながりにくいと思う。

—YouTubeもレコメンド機能はあるけど、リスナーはある程度能動的になる必要がありますよね。

野本:そう。ラジオみたいな感じで、「お、この曲好き」っていう出会いを提供できるという点では、Spotifyが一番可能性があると思っています。お気に入りのプレイリストをフォローしてもらって、そこで偶然出会ったアーティストが一生好きなアーティストになる。そういうことをどんどん増やしていけたらと。

野本晶

—奥冨さんは近年どんなふうに新しい音楽と出会っていますか?

奥冨:10年以上DJをやってるので、現場で知ることが多いですけど、今となってはお店に来てくれるお客さんとの情報交換もすごく大きいですね。あと僕、SNSがすごく好きで、音楽の情報に関してはTwitterが一番の頼りです。Twitterで知って、SoundCloudやYouTubeで聴いて、すぐに「店にCD置かせてください」ってメールすることも多いです。

奥冨直人

「BOY」で販売されているCD
「BOY」で販売されているCD

野本:確かに、Twitterって結構ノイズもある場所ですけど、音楽に関してはあんまり間違った情報とか偏った意見がなくて、比較的健全な場所になっている気がします。

やっぱり「人のおすすめ」ってすごく説得力があって、そこは昔からずっと変わらない、音楽プロモーションの基本だと思うんです。ユーザーがSNSで楽曲をシェアすることにしても、それがデジタルになったっていうことだと思う。

—リアルな現場とSNSと、当然それぞれに出会いの機会がありますが、Spotifyはイベントも運営されていますよね。

野本:『Early Noise Night』っていう新人をおすすめするイベントをやっています。ストリーミングって、CDで入ってくる収入と同じ収入を得るには少し長い期間がかかるんです。なのでまずは、「Spotifyで知って、ライブに行って、CDやグッズを買う」っていうエコシステムを作る必要があると思っていて。

もっと日本でSpotifyが広まって、たとえば、日本国民全員がSpotifyを使うようになったら、収入的にもそれだけで問題ないんですよ。でも、そこに到達するまでには、ちゃんとエコシステムの一部になりたいと思っています。

左から:野本晶、奥冨直人

(アジアの方でも)J-POPよりも「今、リアルに東京で流行ってる音楽を聴きたい」っていう人のほうが多い。(野本)

—日本の新しい音楽を紹介するプレイリストとしては、「Early Noise Japan」や「Tokyo Rising」がありますね。

野本:「Early Noise Japan」は新人をプッシュするプレイリストなんですけど、「Tokyo Rising」は新人に限らず、日本で今、流行っている曲を世界の人に聴いてもらいたいと思って作ったプレイリストです。実際、いろんな国の人がプレイリストを通じて日本の音楽を聴いてくれていて、たとえば、UQiYOさんとかは、「Tokyo Rising」経由で北欧の人が反応してくれていて。そうやって世界とつながることはどんどんやっていきたいですね。

左から:奥冨直人、野本晶
Spotifyでプレイリストを聴く(「Early Noise Japan 2017」を聴く / 「Tokyo Rising」を聴く

—Spotifyをはじめとしたツールの普及によって、若いバンドの海外に対する意識も変わってきているように思います。

奥冨:同世代のバンドがアジアでライブする機会はすごく増えていて、「向こうのファンのリアクションがよかった」なんて話もよく聞きます。そういう声が聞こえてくると「俺たちもやってみたい」って思いますよね。だから、「海外でCDを出したい」っていうよりも、まずは「実際にライブをして、リアクションを見てみたい」っていう若いアーティストは増えている気がして。そういう意味では、YouTubeやSpotifyの存在は大きいですよね。

野本:ちょっと前までは、「台湾の人は日本の音楽が好き」って聞くと、J-POPが好きなんだと思っていたんです。でも実際はそうじゃなくて、「今、リアルに東京で流行ってる音楽を聴きたい」っていう人のほうが多いみたいで。BOYにはアジアからもお客さんが来たりしますか?

奥冨:外国のお客さんはほぼ毎日来るんですけど、欧米の方が多いですね。渋谷駅にある海外旅行者向けのガイドに、「音楽を教えるお店」としてうちが載っているので、向こうのバンド関係の人もちょこちょこ来てくれます。

野本:そうやって街自体変わってきたのもいいことですよね。僕が子どもの頃は、外国の人が歩いてたら、それだけで小学生が騒ぐくらいの時代だったけど(笑)、今はもういろんな国の人がいるのが普通だから、若い子の意識も変わっているんだろうなって。

左から:野本晶、奥冨直人

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リリース情報

King Gnu『Tokyo Rendez-Vous』
King Gnu
『Tokyo Rendez-Vous』(CD)

2017年10月25日(水)発売
価格:1,800円(税込)
UXCL-128

1. Tokyo Rendez-Vous
2. McDonald Romance
3. あなたは蜃気楼
4. Vinyl
5. 破裂
6. ロウラヴ
7. NIGHT POOL
8. サマーレイン・ダイバー

イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume103』

2017年11月30日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
King Gnu
Newspeak
SUSHIBOYS
踊Foot Works
4×4=16

プロフィール

奥冨直人(おくとみ なおと)

平成元年・埼玉県生まれ。渋谷にあるFASHION&MUSICをテーマにしたカルチャーショップ『BOY』のオーナー。DJ活動も地域・ジャンル問わず精力的に行う。インディーシーンに詳しいことで知られ、TOMMYの愛称で親しまれている。

野本晶(のもと あきら)

1970年生まれ、愛媛県出身。スポティファイジャパン株式会社でライセンス&レーベルリレーションズディレクターを務める。ソニーミュージック、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現・ソニー・インタラクティブエンタテインメント)、ゾンバ・レコーズ・ジャパン、ワーナーミュージック・ジャパンを経て、2005年からiTunes株式会社にてミュージック担当としてiTunes Storeの立ち上げに参加。2012年9月より現職。

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