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94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉

94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉

The Songbards『Cages in the Room』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:渡邉一生 編集:矢島由佳子
2018/01/30
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僕たちの世代は、欲しいものはすぐ買えるし、情報はなんでも入ってくるという状況から逸脱したいみたいな気持ちが、みんなどこかにあるのかもしれないですね。(岩田)

—バンドから出家っていうのは、また極端な話ですね。

松原:極端ですよね(笑)。実は、仏教を信仰しているとかではないんですけど、あくまで学問として、大学生活のなかでずっと皓平と話していたんです。自分たちが歌詞を書いて表現する上で、仏教のストーリーを掘り下げることも多くて。ちょうどバンドに対して真面目になってきた時期だったし、皓平の歌声を無駄にしたくないなと思いながら、すごく皓平を説得しました。

松原有志
松原有志

—上野くんはなぜ「出家したい」と考えたんですか?

上野:高校までサッカーに熱中したり受験を経験したりしていて……大学に入って自由を得て、バイトして、欲しいものを買って、またお金を貯めて、他のものが欲しくなって、また買って……結局その繰り返しやなって思うと、「これ、最終的になにになるん?」って思い始めたんです。渇望して、満たされて、また求めての繰り返しに、嫌気が差したんですよね。

そういうことから解き放たれたい、根本的な原因を知りたいなと思っていたときに、たまたま本屋で仏教の本を見つけて。宗教として捉えるとかではなく、単純に「生活の助けになるかな」と思って読み始めました。

上野皓平
上野皓平

松原:自分たちが人生を通じてなにかを学んで、「そのあと、どうすんねん?」って思うと、今度はそれを世の中に返すというか、自分たちの学びを他の人にも伝えていけたらいいなと思うんです。

そのための手段として、音楽は憧れでもあったし、今の自分たちが一番できることだと思うんですよね。自分たちが音楽から力を感じたように、今度は自分たちが音楽を手段にして、社会に返していく。皓平を説得するときにそういう話をしてから、バンドに対して本気度が増してきて、だんだん音楽で生活していきたいと思うようになりました。

—上野くんの「出家したい」という考えの背景には、消費社会に対する疲弊があったわけですね。

松原:そういうのって、少なくとも、みんな感じてることだと思うんです。最小限で必要ないものを捨てるとか、皓平がやりだしたら、影響されてみんなやり始めたんですよ。皓平が、生きていくのに支障ないところまで物を少なくしようとしていた時期があって、それに対して単純に「いいな」と思ったから、僕もいろいろ必要ないものを捨てたりして。

柴田:皓平とはもともと中学時代からの友達で、メンバーになる前にライブを観に行くこともあったんですけど、最初に仏教の話を聞いたときは、一瞬「ヤバいんかな?」って思いました(笑)。でも、そういうことではなくて、僕も学問として読み始めると、いろいろ考えさせられることが多くて。

今って100年前とか200年前の大金持ちよりもいい暮らしをしてるんだけど、みんなが不満を持ってる。つまり、どう時代が変わっても、不満を持ってしまうのは人間の性で、その不満って結局自分自身の心の問題なんですよね。そう考えると、欲が出て満たされての繰り返しっていうのに、答えはあるのかな? と思って。

柴田淳史
柴田淳史

—実際に、上野くんは禁欲的な生活をしてるわけですか?

上野:そこまでではないですけど、お酒やタバコはしないですね。でも、それは禁欲というよりも、お酒を飲むと体調があまりよくないっていうのが理由で(笑)。その延長で、ライブ前は小麦粉も食べないし、お菓子とかジュースも買わないですけど、別に「禁欲してます」って感じではなくて。

松原:皓平はいろんなことを学んでいくなかで、そもそも過剰な欲を持つこと自体なくなってきて、自分をすでにコントロールできてるんですよ。だから今言ったように、体調管理をしてるだけというか、やせ我慢とか無理してやってるわけでも、周りに強要するでもなく、自然にやってるんですよね。

—いわゆるハードコアの「ストレートエッジ」の考え方でもないわけですよね? 享楽的な生き方に対するアンチテーゼみたいな。

岩田:ちょっと類は違うと思うんですけど、メンバーみんな天邪鬼みたいな感じはあって。社会に柔らかく馴染んでる感じで見られるんですけど、わりとみんな反体制的というか……さっきのサークルの話とか、あくまで一部分ですけどね(笑)。

ちょうどこの前、映画『LIVE FOREVER』(2002年製作、ジョン・ダウアー監督。1990年代のロンドンカルチャー、OasisやBlurなどのブリットポップに迫ったドキュメンタリー映画)を(松原)有志から借りて見たんですよ。当時のイギリスはドラッグと失業保険で浮かれていて。

もちろん今の日本とは全然違うんだけど、僕たちの世代は、ある程度欲しいものはバイトすればすぐ買えるし、情報はなんでも入ってくるという状況から、もしかしたら逸脱したいみたいな気持ちがみんなどこかにあるのかもしれないですね。

岩田栄秀
岩田栄秀

—Oasisが労働者階級の意思表示としての役割を担ったように、The Songbardsも社会に対する意思表示が基盤にある?

松原:それは少なからずあると思います。僕らは階級の話をできないですけど、アメリカのNirvanaに対してイギリスからはOasisが出てきて、Nirvanaが「死」だったとすれば、Oasisは「生」だったわけですよね。

ノエル・ギャラガー(Oasis)は未だに「音楽には愛や希望がないとダメだ」と言っていて、僕はそれがすごく嬉しいんです。彼は基本的に口が悪いから、アティチュードの部分で悪く見られがちですけど、本来表現したいのは愛や希望、生きることだっていうのは、すごく共感します。僕らも、希望や意味があるものを提示したい。そういう世の中へのカウンター精神はあると思いますね。

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リリース情報

The Songbards『Cages in the Room』
The Songbards
『Cages in the Room』(CD)

2018年1月31日(水)発売
価格:1,500円(税込)
NWWCD-002

1.太陽の憂鬱
2.ハングオーバー
3.Philadelphia
4.街
5.春の香りに包まれて

イベント情報

『「Cages in the Room」リリース記念 弾語りライブ』

2018年2月9日(金)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店

2018年2月14日(水)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店

※上野皓平のみの出演

『The Songbards&ムノーノ=モーゼスWレコ発「月と太陽のロマンス」』

2018年2月20日(火)
会場:大阪府 心斎橋 Pangea
出演:
The Songbards
ムノーノ=モーゼス
Easycome
POP ART TOWN
and more

2018年3月4日(日)
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR
出演:
The Songbards
ムノーノ=モーゼス
and more

『The SongBARds』

2018年2月26日(月)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

『「Cages in the Room」リリースツアー Final』

2018年3月27日(火)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.
出演:
The Songbards
YAJICO GIRL
and more

プロフィール

The Songbards
The Songbards(ざ そんぐばーず)

2017年3月より地元・神戸を中心に活動を開始。バンド名「The Songbards」は、「Songbird=さえずる鳥」と「bard(吟遊詩人)」の意味。メンバーは松原有志(Gt.&Vo.)、上野皓平(Vo.&Gt.)、柴田淳史(Ba.&Cho.)、岩田栄秀(Dr.&Cho.)の4名で構成。UKロックなどに影響を受けた作詞作曲を手掛けるツインギターボーカルと、疾走感あるライブパフォーマンス、息の合った4人のコーラスワークが魅力。自主レーベル「Nowhere Works」を立ち上げ、2018年1月31日に、初の全国リリース決定!

関連チケット情報

2018年2月23日(金)
プププランド
会場:広島・4.14(広島県)
2018年3月17日(土)〜3月18日(日)
HAPPY JACK 2018
会場:熊本B.9 V1/熊本B.9 V2/熊本B.9 V3/Django/ぺいあのPLUS’(熊本県)
2018年3月27日(火)
The Songbards
会場:神戸VARIT.(兵庫県)

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