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三浦崇宏×古賀崇洋 広告クリエイターはアートをどう変化させる?

三浦崇宏×古賀崇洋 広告クリエイターはアートをどう変化させる?

『呑むアート展』
インタビュー・テキスト
杉原環樹
撮影:八田政玄 編集:川浦慧、宮原朋之

アーティストが「インスタ映え」とか言い出したら終わり(笑)。(三浦)

—広告の専門家から見て、アート業界の人を呼び込むための努力やPRについて、感じられることはありますか?

三浦:いろいろトライされてて興味深いですけどね。ただ、それはあくまで周囲が考えることで、作家やアーティストがそれを狙いすぎると気持ち悪い気がします(笑)。

古賀:ギャラリーでも、お客さんの顔ぶれがいつも同じことはよくありますよね。基本的にアーティストはPRが苦手だし、喋れない人が多いと思います。

三浦:だけど、古賀さんが「インスタ映え」とか言い出したら嫌ですよ(笑)。「三浦さん、これインスタ映えしませんか?」みたいな。

一同:(笑)

—たしかに、陶芸作家からはあまり聞きたくない言葉かもしれないです(笑)。

会場の壁に並ぶ作品
会場の壁に並ぶ作品

三浦:たとえば、このコースターも僕らが企画したのですが、器を置くときれいにハミ出すように設計されている。僕はそういう仕掛けを作る仕事なので、「インスタ映え」も考えますよ。

でも、そこまでアーティストに背負わせるのは酷だし、そんなことを考え始めたら肝心な作品がブレてしまう。純粋に作る人と、広める人はわかれていてもいいのかなと。

『呑むアート展』のコースター
『呑むアート展』のコースター

—なるほど。

三浦:広告クリエイターとアーティストは何が違うの? とよく聞かれます。でも、僕からすると全然違う。広告クリエイターの仕事はつまるところ「問題解決」だと考えています。良い商品が届くべき人に届いていない、その状況を解決するためのアイデアを考える。

一方、アートの価値は「問題発見」だと思っています。アーティストは、多くの人が気づかない時代の風をもっとも敏感に感じている存在。

人間の言葉は20万語くらいしか単語がないと言われてますが、きっと言葉で表現できないことがたくさんある。そういうものが、作品を通じてかたちとして現れてくるんです。

古賀:アーティストの側も、作品でその言語化できない部分を感じてもらいたいので、言葉にしようとする意識は弱いと思います。

僕は、千利休へのリスペクトも込めて、反利休的な器を作ってみたいなと。(古賀)

—それで言うと、古賀さんの作品を見て、岡本太郎の『坐ることを拒否する椅子』を思い出したんです。座面に顔が描かれた固い椅子で、座りにくいですが、その体験を通して合理主義への疑問を投げかけている。古賀さんの器もあえて飲みにくい、用途を逸脱したフォルムをしていますが、こうした造形性にいたったのはなぜなのでしょう?

『SPIKY CUP』
『SPIKY CUP』

『SPIKY SAKE CUP』
『SPIKY SAKE CUP』

古賀:僕はお茶が好きなのですが、そこを突き詰めていくとどうしても千利休が出てくるんです。「妙喜庵」と言うお寺に利休が美意識を詰め込んだ国宝『待庵』と言う茶室がありますが、壁材に藁が使われていて、湿った感じで薄暗い。

面白いのは、彼がそこで「黒茶碗」という黒い抹茶碗を使うことです。当時、黒は死の象徴の色で、美を見出されることはなかった。でも利休は、薄暗い部屋で黒茶碗を使うことで、まるで手でお茶を掬っているかのような無の境地を目指した。器の機能を消す装置として、黒を使ったわけです。

古賀崇洋

—器は「あってないかのごとし」と。

古賀:さらに利休は、その器に一国の城よりも高い値段を付けて売っていた。それ以前は信長の時代で、唐物のきらびやかな器が主流でしたが、ここで一気に「わびさび」の文化が普及したわけです。

その利休の仕事は、ひとつの研ぎ澄まされた究極だと思って。だから僕は、彼へのリスペクトも込めて、反利休的な器を作ってみたいなと。つまり、無の装置としての器ではなくて、むしろ視覚的にもビカビカで、触覚的にも鋭く迫ってくる器。それで抹茶を楽しんだら、と思ったんです。

『SPIKY CUP』

—実際に器を持たせていただきましたが、トゲが痛いほどです。

古賀:「痛い」という感覚を通して、味の体験はどう変わるのか。僕は、焼き物というのは、体験を通して腹を割った交流が生まれる、一種のコミュニケーションアートだと思うんです。

その器に、僕のこれまでの経験や、時代から咀嚼してかたちにした考え方を詰め込んで、人の体験の質を変えたり、何かを感じさせたい。そんな器を通した異化作用こそ、企業で作られた器ではなくて、個人で作る器の面白さかなと思います。

三浦:この器も、持ちにくいですが使えるんです。一見しただけでは、使えるものかどうかわからない、用途を超えた冒険がある。そういうものが、この時代にあるというのは、それだけで価値があることだと思うんです。ルールのなかで、最大限の遊びをするのが面白いと思っていて。

—この器も、底に穴が空いていたら「ルール違反」なわけですよね。

三浦:そうそう。それは、広告の世界にも通じることなんです。たとえば、テレビCMではこういうことを言っちゃいけないとか、いろいろありますよね。古賀さんの器にはそんなルールのなかのギリギリの遊びを感じて、意気投合したんです。

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サービス情報

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株式会社GOは、全く新しい思想・システムのPR/広告/マーケティングの会社です。企業・自治体・個人のチャレンジを、事業開発からプロモーションまで全般的にサポート、成功まで導きます。

サイト情報

古賀崇洋 公式ECサイト

イベント情報

『呑むアート展』
『呑むアート展』

2018年1月13日(土)、14日(日)
会場:六本木ヒルズ 森タワー Cafe THE SUN
ドリンクプロデュース:
お酒のプレミアムセレクトショップ「未来酒店」

プロフィール

三浦崇宏(みうら たかひろ)

1983年生まれ。PR /クリエイティブディレクター。2007年博報堂入社。同社およびTBWA\HAKUHODOにて、ストラテジックプラニング、PR、クリエイティブを歴任。カンヌライオンズ、『日本PR大賞』、『グッドデザイン賞』ほか受賞多数。2017年、福本龍馬さんと共同代表としてThe Breakthrough Company GO設立。

古賀崇洋(こが たかひろ)

陶磁器作家。1987年生まれ。福岡県出身。陶芸作家。ストリートから伝統文化を革新し続ける。2013〜2016年、Contemporary Japanese Design & Arts | Fuori Salone (MILANO SALONE / Italy)。2014年、H.P.FRANCE gallery 初個展『陶磁器 古賀崇洋』(南青山 / 東京)。2015年、NEW DESIGN of TEA(GOOD DESIGN STORE Gallery / 香港)。2017年、Ceramic Dedication(OTOGI / 福岡)。2018年、MAISON & OBJET(メゾン・エ・オブジェ)(PARIS / France)。

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