特集 PR

ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ『淼のすみか』『HARVEST』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人 編集:山元翔一

左から:田渕ひさ子、ナツノムジナ(粟國智彦、仲松拓弥、久富奈良、窪田薫)

人間的に、真っ当に生きて、いろんな経験を積んでいけば、自ずといい音は出るんじゃないかなぁって。(田渕)

—改めて今日、ナツノムジナと「音」で対話してみていかがでしたか?

田渕:やっぱり、会ってその人と話すよりも、一緒に音を合わせたほうが、その人を信用できるかどうかの判断になるもので。今日、一緒に演奏して、ナツノムジナはあの頃から、いいところを全く失わずにここまで来たんだなって思いました。

音がキラキラしているんですよね。そういう音って誰でも出せるわけではないし、どうやったら出るのか、答えがあるわけでもない。ただ、ナツノムジナの音には、沖縄という生まれ育った場所も含めて、自分たちが生まれてから全部のものが注がれている感じがして。それはあの頃から変わっていないです。

—人生が、音になっているというか。

田渕:そう。「その人」が音に出ていると、いい音だなって思うんです。やっぱり私自身、音自体に感情を乗せるっていう点に関しては、NUMBER GIRLの頃から鬼コーチに訓練されてきましたし(笑)。私、ぺらっとした音とか、キンキンした音は好きじゃないんですよね。艶があるというか、色気があるというか……ふくよかさがある音が好きなので。

仲松:ブッチャーズに限らず、toddleにしろ、ひさ子さんが関わってきたバンドって、どれも音が映像的ですよね。粒子が細かくて、綺麗だなって思います。

窪田:いくらバンドスコアを見ても、絶対に1割くらいしか載ってないだろうっていうくらい、ひさ子さんのやられてきたバンドは全体の鳴りが複雑だし、一言で言えないものがそこにあると思う。

田渕ひさ子
田渕ひさ子

窪田:ひさ子さんのピッキングで音が鳴るタイミング、それに他のメンバーの合わせるタイミング……そういう部分も単純ではなく、すごく情報量が多いんですよね。ミクロな部分ですごく発見がある、というか。だからこそ、CDでもライブでも、何度も繰り返し聴きたくなるし。

田渕:おぉ~、嬉しい(笑)。きっと、自分の好きな音を純粋に選択していった結果だと思うんですけどね。でも、人間的に、真っ当に生きて、いろんな経験を積んでいけば、自ずといい音は出るんじゃないかなぁっていう気もするんです。

toddle『Vacantly』(2016年)収録曲

田渕加入後に初めてリリースされたbloodthirsty butchers『birdy』(2004年)を聴く(Spotifyを開く

田渕:私は、音楽を辞める / 辞めないの境目はないと思っていて。きっとばあさんになってもポロポロとギター弾いていると思うんです。「聴いておくれよ、今日ね~」ってギターをスリスリしながら(笑)。

四人:ははははは(笑)。

田渕:私、他のことをやっていても「なんか、すいません」って思っちゃうんですよ(笑)。他に特技もないし。でも、ギターを弾いているときは「すいません」って思わなくていいし、ライブで、デカい音でメンバーと一緒に「ドンッ!」って鳴らすときが最高に高揚するし、感情の振れ幅を表現できるんです。ギターを弾いていると、「生きているぞ!」っていう感じがする。

仲松:それ、僕も一緒です。自分の好きな音を追求するのが好きだし、とにかくギターを弾くのが大好きだし。

粟國:僕も、自分に一番身近な楽器がギターで、他の楽器と比べても一番混じりけのないもののように感じています。だから、ギターを弾きながら歌えるけど、もし僕がピアノを弾きながら歌おうとすると、いままで聴いてきた他の音楽の要素がもっと強くなってしまって、自分のものではないような感覚に陥ってしまうんじゃないかと思うんです。

粟國智彦
粟國智彦

後々まで影響を与えられるものって、最初に触れたときには「わからない」って思うものが多い。(窪田)

—演奏する人が生まれ育つなかで見た景色や心象風景が、ギターミュージックの音像として表現される……この点はやはり、NUMBER GIRLやブッチャーズ、そしてtoddleのような、田渕さんが関わられてきたバンドに共通する部分であり、ナツノムジナが受け継いでいる部分だと思うんです。具体的に、ナツノムジナの音楽的なルーツとして、そうしたバンドたちの存在は大きいのでしょうか?

窪田:そうですね。四人それぞれが普段聴いている音楽はバラバラだけど、共通項として持っているのは、1990年代~2000年代の日本のオルタナティブロックなんです。なので、そこはかなり血肉化していますね。最初の頃は、くるりや七尾旅人さんのカバーもやっていたし。

粟國:僕と奈良が仲良くなったのは小学4年生くらいだったんですけど、どちらもくるりを知っていて、それがきっかけだったんです。で、小学5年生の頃にNUMBER GIRLのベスト盤(2005年リリースの『OMOIDE IN MY HEAD 1 ~BEST & B-SIDES~』)が出て、いろんな感情を教えられた気がするんです。

あの頃、世界の見え方がガラッと変わったというか。そこからずっと、成長とともに音楽があったので、そのぶん、何重にも塗り重ねられて、音楽に対する憧れは色濃くなり続けていると思います。それはいまもそうだし。

粟國智彦
粟國智彦

ナツノムジナ『淼のすみか』収録曲

—ナツノムジナは全員、小学生の頃から日本のオルタナティブロックを自然と聴かれていたんですか?

窪田:僕も聴いていましたね。

仲松:僕は、小学生の頃はORANGE RANGEとHYばっかりでしたね。やっぱり、地元なので(笑)。オルタナティブロックに出会ったのは、中学に入って、奈良がゆらゆら帝国の『Sweet Spot』(2005年)を貸してくれたのがきっかけだったんですよ。そこには、ドロドロとした、全然触れたことのない音楽があって……「全然わかんない!」っていう衝撃がありました(笑)。でも、奈良はこれを「めっちゃいい!」って言っているし。「なんでだろう?」って繰り返し聴いていくうちに、ハマっていったんです。

ゆらゆら帝国『Sweet Spot』を聴く(Spotifyを開く

—久富さんは、どうして最初に『Sweet Spot』を貸したんですか?

久富:なんでだろう……なんとなく、家にあったから。

仲松:なんだよ、それ(笑)。

窪田:(笑)。……でも、やっぱり後々まで影響を与えられるものって、最初に触れたときには「わからない」って思うものが多いよね。

仲松:そうだね。正直、NUMBER GIRLやブッチャーズも、最初に聴いたときはわからなかった。でも、気になって繰り返し聴くうちに、生々しく色が見える瞬間があって。その瞬間がくると、ハマっていくんですよね。

田渕:私もその感覚はわかります。音楽の向こう側に「この人たちはどういう人たちなんだろう?」とか、「なにを聴いてこうなったんだろう?」っていう興味を持てるバンドが、いいバンドの基準だと私は思っていて。ナツノムジナも、曲の構成とかアレンジから、そういうことを思わせるバンドだなって思う。

ナツノムジナ『淼のすみか』収録曲

Page 3
前へ 次へ

イベント情報

『HARVEST』
『HARVEST』

2018年3月24日(土)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
ナツノムジナ
CHIIO
GRASAM ANIMAL
ベランダ
料金:前売2,000円 当日2,500円 『淼のすみか』LP&ポスター付限定チケット4000円(全てドリンク別)

リリース情報

ナツノムジナ
『淼のすみか』(LP)

2018年3月28日(水)発売
価格:¥3,000(税込)
トーキョー=コミューン / FSJM2

[SIDE-A]
1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀

[SIDE-B]
1. 深海
2. 辷る
3. 天体
4. 伴侶
5. 渚にて

ナツノムジナ『淼のすみか』
ナツノムジナ
『淼のすみか』(CD)

2017年9月6日(水)発売
価格:2800円(税込)
FSCT-1008

1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀
6. 深海
7. 辷る
8. 天体
9. 伴侶
10. 渚にて

toddle
『Vacantly』(CD)

2016年7月27日(水)発売
価格:2,808円(税込)
KICS-3397

1. Disillusion
2. Beat Rotates
3. Branch in the Road
4. Parallel Lanes
5. Bitter Hours
6. Cloud Eater
7. Stirrer
8. Right-Hand Drive
9. Where the Alley Ends
10. Round Arrow
11. Vacantly
12. Illuminate

プロフィール

ナツノムジナ
ナツノムジナ

2010年、沖縄にて、高校の入学を目前に粟國智彦の呼びかけにより小学校の頃の同級生でナツノムジナを結成。同年の10月ごろにベーシストが抜け、現メンバーの窪田薫が加入。2011年7月、bloodthirsty butchersのライブのオープニングアクトを務めたことをきっかけに音源作成を決意。同年10月、に山本精一のオープニングアクトを務めたライブで2曲入りの音源『黒点/渚にて』を販売開始。2012年、窪田が一足先に東京に上京することになり活動休止。2013年、メンバー全員が上京をし、東京で活動を再開。2015年、自主製作音源の『natsunomujna-ep』を4月にリリース。同年にLAMAやbonobosと共演。2016年、自主企画『Pale』を定期的に開催。同年9月に2曲入りカセット『Driftage vol.1【艀・凪】』を会場限定でリリース。2017年、3月に2曲入りの7inchレコード『Driftage vol.2【天体・月の裏側】』を会場限定でリリース。9月に初の全国流通版1stフルアルバム『淼のすみか』をリリース。

田渕ひさ子(たぶち ひさこ)

福岡県出身。1975年12月9日生まれのO型。13歳でギターを始めて以来、途切れることなくギャルバンでギターを弾き続ける。19歳でNUMBER GIRLに加入し、98年に上京。2002年に解散し、toddleを始める。03年bloodthirsty butchersにメンバーとして加入。寝た子も起こす強烈なギターが印象的だが、toddleでは初めてのボーカルも担当し、これまでとは違った一面を見せる。忙しい毎日を送りつつ、色んなことを日々イメトレ中。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

カネコアヤノ“祝日”

カネコアヤノの来たる新作『祝祭』より、屈指の名曲“祝日”のPV。ディレクションを務めた木村和平は真の鬼才だと思う。<できないことも頑張って/やってみようと思ってる>と歌われる、まっすぐで繊細な楽曲にこの映像をあてるか! と、鋭利な感性が描きとった画にまたも唸らされる。(山元)

  1. 乃木坂『セーラームーン』セーラー5戦士の写真公開 白石麻衣が映像出演 1

    乃木坂『セーラームーン』セーラー5戦士の写真公開 白石麻衣が映像出演

  2. 安室奈美恵×H&M 全アイテム着用ビジュアル&撮り下ろしポートレート公開 2

    安室奈美恵×H&M 全アイテム着用ビジュアル&撮り下ろしポートレート公開

  3. 実写映画『がっこうぐらし!』キャストに阿部菜々実、長月翠ら4人 3

    実写映画『がっこうぐらし!』キャストに阿部菜々実、長月翠ら4人

  4. 最上もがヌード展を語る。アートかエロか?議論自体がナンセンス 4

    最上もがヌード展を語る。アートかエロか?議論自体がナンセンス

  5. 是枝裕和『万引き家族』予告編 リリー、安藤サクラらの「許されない絆」 5

    是枝裕和『万引き家族』予告編 リリー、安藤サクラらの「許されない絆」

  6. 映画『パンク侍、斬られて候』特報公開 綾野剛の殺陣や北川景子のダンスも 6

    映画『パンク侍、斬られて候』特報公開 綾野剛の殺陣や北川景子のダンスも

  7. ヒグチユウコ、ヨシタケシンスケら5作家の原画約200点 『MOE』40周年展 7

    ヒグチユウコ、ヨシタケシンスケら5作家の原画約200点 『MOE』40周年展

  8. 木皿泉の5年ぶり新作小説本『さざなみのよる』刊行 装画は荒井良二 8

    木皿泉の5年ぶり新作小説本『さざなみのよる』刊行 装画は荒井良二

  9. 宇多田ヒカル新曲“初恋”5月配信 『花男』新章『花のち晴れ』イメージ曲 9

    宇多田ヒカル新曲“初恋”5月配信 『花男』新章『花のち晴れ』イメージ曲

  10. 国府達矢の苦闘の歴史。空白の15年を埋めるべく七尾旅人と語る 10

    国府達矢の苦闘の歴史。空白の15年を埋めるべく七尾旅人と語る