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編集とは何か? 柴那典がイシス編集学校で体感し学びつづける理由

編集とは何か? 柴那典がイシス編集学校で体感し学びつづける理由

イシス編集学校
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:鈴木渉 編集:宮原朋之

「編集のスキルが身につきましたか?」と問われると、簡単にイエスと言えない自分がいるんです。(柴)

:センスや感性をどう身につけるかというのも難しい問題ですよね。

深谷:そうなんです。技術や接客は、それなりのマニュアルがあれば培うことができる。じゃあ感性は教育することができるのか?

センスや感性ってそもそも誰もが持っているものなんですね。でも、とりわけ美容師は、感性が商材である限り、それをトレーニングして高めていく必要がある。それをスタッフにどう伝えていくか、自分がどう高めていくかは、すごく切実なテーマです。それをしない限り、AIに負けちゃうんですよ。

で、どこから取り組んだらいいかは、ひとつはやっぱり察知力なんですね。どこに何の情報が潜んでいるかに気付くためには、注意のフォーカスをどこに置くかを訓練する必要がある。そこに関してはイシス編集学校の初期でやるお稽古がとっても有効だと思います。

:加藤師範代はいかがですか? 編集という考え方がご自分の仕事においてどう役立ったか。

加藤:私は、仕事内容が頻繁に変わるんですね。ベンチャー企業では珍しいことではありませんが、部署はもちろん、担当するサービスも職種も変わりますし、転勤もしました。慣れないところに常に飛び込んでいくので、どうしても行き当たりばったりになりがちだったんです。

イシス編集学校に入ってからは、今自分が情報をインプットしているのか、何かと関係づけようとしているのか、それともアウトプットする段階にいるのかーー自分が何をしようとしてるかが、一歩引いて考えられて、パターンとして捉えられるようになりました。後ろの自分が指令を出してくれるようになったような。

加藤めぐみ(師範代)
加藤めぐみ(師範代)

:深谷師範は美容師でしたが、加藤師範代はどんなお仕事をやられてきたのでしょうか。

加藤:私は大学1年生の時に入った学生ベンチャーにそのまま就職して今にいたるので、転職も就活もしていないんです。はじめは7、8人だった会社が数百人になっていく過程で、仕事上の価値観やルールがどんどん変わっていったんですけど、そういう今の会社しか知らなかったので、イシス編集学校に入って「別の世界が開けた」感じがありました。社会と自分を結ぶもうひとつのパイプができたというか。柴さんはどうでしたか?

:僕自身の体験と感想を正直に言うと、「守」のコースが終わった今、「編集のスキルが身につきましたか?」と問われると、簡単にイエスと言えない自分がいるんです。

それは、そういった二元論に落とし込めないものを得た実感があるからなんですけど、こういう学びの機会って、多くの人は英会話とか資格とか、「何かのスキルを身につける」というイメージで捉えている人が多いですよね。でも、イシス編集学校で得るものはそういったものだけではない気がしているんです。

柴那典
柴那典

編集というのは、すごく動的なもの。常に動いている場の中に自らの身を置くことでしか体験することができない。(深谷)

:イシス編集学校には「花伝所」という師範代になるためのコースがありますよね。加藤さんが「守」のコースを始めてから師範代になるまでは何年くらいかかりましたか。

加藤:1年半ですね。最初は「できるのかな?」って思いましたが、何とかなりました。

深谷:実は、師範代が一番学ぶ側の立場なんです。最初の「守」というのは全体像が見えない中、ある意味わけもわからずお題に返答していくんですね。でも、それを一通り経験した後で「守」の師範代をやると、ジグソーパズルのピースが組み合わさるように「ああ、こういうことだったのか!」と、おぼろげながら見えてくる。編集というのは、すごく動的なものなんですね。常に動いている場の中に自らの身を置くことでしか体験することができない。師範は、その一連をコーチングする役です。

第64回感門之盟での40期「守」卒門式にて
第64回感門之盟での40期「守」卒門式にて

:深谷師範、加藤師範代にとっての「守」のコースはどういう体験でしたか?

深谷:「守」は誰もがイシス編集学校に入ると最初に通過する基礎コースですが、これがとにかく楽しかったんです。お題への回答に何を言っても、どんな変化球を投げても、師範代というコーチが受け止めてくれる。それまでの私はどこに行ってもアウトサイダーみたいな立場で人生を過ごしてきたので、居場所を見つけた感じがあった。とにかく幸せだったし、楽しくてしょうがなかったです。

加藤:私はとにかく考え込むタイプだったんですが、やっぱり楽しかったですね。私も師範代に恵まれたんです。お題に対してどれだけ長い回答を書いても、きっちり返してくれる。その度量に憧れました。

加藤めぐみ(師範代)
加藤めぐみ(師範代)

:イシス編集学校に関わるようになって、物事の見方や捉え方は、どう変わりましたか?

深谷:本当に何かを掴んだと思ったのは、師範代の経験をしてからですね。私は「守」「破」「離」のコースを一直線に進んだのですが、全てを修了しても編集とは何であるか、型とは何であるか、わからないという想いが残った。それで自主的な居残り稽古のつもりで「花伝所」に入って師範代を始めたんです。

加藤:私はちょうど「破」が終わった時に東京から宮崎に転勤が決まって、ITスキルの研修のコーチをすることになったんです。だからマネージメントやコーチングに興味があって師範代をやろうと思ったんですね。

—師範代をやって気付いたことはありましたか。

加藤:気付いたのは、原因と結果というものは、はっきり分かれるものじゃないということ。常に最中だという感覚になりました。

深谷:その通りですね。いいこと言うね(笑)。

左から、深谷もと佳(師範)、加藤めぐみ(師範代)、柴那典

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イベント情報

イシス編集学校
第41期[守]基本コース

入門:2018年4月16日(月)
稽古期間:2018年4月23日(月)~8月19日(日)
定員:200名
受講資格:どなたでも受講していただけます。
受講料:108,000円(税込)

プロフィール

深谷もと佳(ふかや もとか)

イシス編集学校師範。ユニークなファッションセンスと浩瀚な知識、自在な編集力に校長の松岡正剛の評価も高い。美容師にとどまらず、ラジオパーソナリティ、イベント出演など多彩な顔の持主。相手の文章を読むだけで、ヘアスタイルや髪の毛の長さを言い当てることができる。アトリエミーム主宰。

加藤めぐみ(かとう めぐみ)

2016年春入門後、一直線に師範代をつとめたイシス編集学校期待のホープ。言葉や発想の柔軟さを活かし、編集学校のアワードでも最優秀賞を受賞した。インターネットメディアを手がけるベンチャー企業に学生時代に参画し、上場後も継続し業務プロセス改善、人事研修等を手がけている。

柴那典(しば とものり)

1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。雑誌、WEB、モバイルなど各方面にて編集とライティングを担当し、音楽やサブカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。主な執筆媒体は「AERA」「ナタリー」「CINRA」「MUSICA」「リアルサウンド」「NEXUS」「ミュージック・マガジン」「婦人公論」など。「cakes」にてダイノジ・大谷ノブ彦との対談連載「心のベストテン」、「リアルサウンド」にて「フェス文化論」、「ORIGINAL CONFIDENCE」にて「ポップミュージック未来論」連載中。著書に『ヒットの崩壊』(講談社)『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)がある。

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