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King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内

King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内

King Gnu『Flash!!!』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:YAMA 山添雄彦 編集:山元翔一

こういう映像を同世代のクルーで作れたというのは、これから5年先、10年先を見たときに、夢があること。

—その責任から逃れたがる人もいると思うんですよ。でも、常田さんにとって、責任を負うということは、心地のいいことでもある?

常田:そうですね。責任を負うことは自然なことだし、責任を負っていないと逆に不安になります。たぶん、人に依存できない体質なんです。もちろん、人に身を預けるような生き方もひとつの生き方だし、たとえばKing Gnuの理(井口理)はそういうタイプの人間なんですよね。よく言えばあいつは心から人に身を預けることができる。悪く言えば無責任。そういうタイプの人間も絶対に必要だと思います。

ただ、俺個人としては、責任を負うことが好きなんです。最近、会社を辞めてでも俺たちと一緒に働きたいと言ってくれる人がいたりするんですけど、そういう求心力のあるチームになってきたのも、自分で責任を負ってものを作ってきたからなのかなって思います。

常田大希(King Gnu)

常田:“Flash!!!”のビデオ、見ましたか?

—見ました。演奏シーンとCGっぽい部分のコントラストとか、映像全体が纏っている狂気的な質感とか、すごく刺激的でした。

常田:あれは、余計なストーリーはなくして、演奏シーンと言葉を強く出そうと思っていて。あのビデオ、「CINEMA 4D」というソフトを動かすためにPERIMETRONで150万円くらいするパソコンを買って作ったんですよ。他にもアニメーションのMADなんかを、ちょっと洗脳的に差し込んでみたりして。こういう映像を同世代のクルーで作れたというのは、これから5年先、10年先を見たときに、夢があることだなって思うんですよね。

俺は昭和の歌謡曲……たとえば、井上陽水さんの歌詞とかがかっこいいなと思うし、憧れる。

—この夏、2曲の新曲が配信リリースされますが、まず“Flash!!!”は、最近のライブでは1曲目として演奏されることが多い楽曲ですよね。そして“Prayer X”は、アニメ『BANANA FISH』のエンディングテーマに決まっている。どちらも、この先、より広くKing Gnuが認知されていくにあたっての扉の役目を果たすような曲だと思いました。

常田:そうですね……特に“Flash!!!”は、俺にとってはKing Gnuを象徴する曲っていう感じなんですよね。なので、去年の『Tokyo Rendez-Vous』のリリースがあって、レコ発も終わったこのタイミング、次の段階に進む一発目にふさわしい曲だと思いますね。

—“Flash!!!”がKing Gnuの象徴たりえるのは、どういった理由によるのでしょうか?

常田:「この先、俺たちがどうなっていきたいのか?」っていうことが詰め込まれている曲だと思うんです。曲自体の勢いも、ちょっと頭が悪そうなシンセが入っているのもそうだし、あと、歌詞も俺はすごく気に入っているんですよ。歌っていてしっくりくる、というか。

常田大希(King Gnu)

—<それでも主役は誰だ? お前だろ>というラインが象徴的ですけど、聴き手に対して強く言葉を発していますよね。

常田:そもそもは、仲間内のことを歌った曲だったんです。仲間にヤバいことがいろいろあったんですけど、「それでも突っ走っていこうぜ」ということを言おうとした曲で。でも、そのエネルギーは誰しもが欲している普遍的なものだと思うので、聴き手にとってもパワーワードとなるように意識して書きましたね。

—根幹にあるのはパーソナルなものだけど、受け手が限定されるような形にはしていないと。

常田:想像の余地が残るように、というか。King Gnuの歌詞は基本的にそうやって、あまり具体的になりすぎないように、誰しもに共感し得るような広がりを持つ言葉のチョイスしているんです。全体としての文章は抽象的でも、一つひとつの単語は強いというか。俺は昭和の歌謡曲……たとえば、井上陽水さんの歌詞とかがかっこいいなと思うし、憧れるんです。ああいうパンチの出し方ができればいいなって思ってます。

King Gnu(左から:井口理、新井和輝、常田大希、勢喜遊)

「人」そのものに感動するのが大衆なんじゃないかって、俺は勝手に思っていて。

—先ほど“Flash!!!”のシンセを「頭が悪そう」と表現されましたけど、「軽薄さ」のようなものは、King Gnuにとって重要なポイントですか?

常田:うん、すごく重要ですね。多くの人は音楽を聴いて、「このブレイクがかっこいいよね」とか、「このコード進行がかっこいいよね」っていうことで感動しているわけではないと思うんですよ。「大衆を動かす力」って、そういうことではないと、いまは思ってるんです。

King Gnuにおいて言うと、たとえば理よりもっと個性の強い声質だったりスキルのあるシンガーは他にもいるんですよね。まぁ、最近はあいつも「歌が上手い」とか言われていますけど。

—いや、めちゃくちゃ上手いと思いますけど……。

常田:上手いとは思いますよ、最低限は。

—厳しい(笑)。

常田:でも、ポイントはそこじゃないんですよ。理は、歌の上手さや声のよさよりも、なにより人間としてのパワーがめちゃくちゃあるヤツなんです。人って、そのエネルギーに惹きつけられるものなんじゃないのかなって思うんですよね。「人」そのものに感動するのが大衆なんじゃないかって、俺は勝手に思っていて。

だから、もし理より歌が上手いヤツがいても、上手いだけではKing Gnuにとってまったくよくない。他のメンバーで言うと、ドラムの遊(勢喜遊)は、叩き姿から生まれるグルーヴの魅力が素晴らしい。それは音楽におけるフレーズのチョイスと同じくらい重要なことだし、人を高揚させるものだと思うんです。ベースの和輝(新井和輝)は音楽家として、とても真摯に音楽と向き合ってますし、King Gnuの音楽のアレンジにおいて一番の相談相手です。そういう意味でも、King Gnuにはいろんなタレント性を持ったヤツらが揃っているんじゃないかと思いますね。

King Gnu(左から:井口理、新井和輝、常田大希、勢喜遊)

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リリース情報

King Gnu
『Flash!!!』

2018年7月13日(金)配信リリース

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  • プロフィール

    King Gnu(きんぐ ぬー)

    東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター・常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt.Vo.)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Key)の4名体制へ。『SXSW2017』、『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

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