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King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内

King Gnu常田大希の野望と目論み 次の時代を見据える男の脳内

King Gnu『Flash!!!』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:YAMA 山添雄彦 編集:山元翔一

社会との結びつき、時代とのリンク……そういうものがないと、ポップミュージックは意味をなさないし、面白くない。

—いま「大衆」という言葉が出てきましたけど、King Gnuは、大衆を巻き込むポップアクトとして存在を担おうとする野心が強くありますよね。

常田:そうですね。King Gnuに関しては、「ポップスを作る」ということに特化していると思います。社会との結びつき、時代とのリンク……そういうものがないと、ポップミュージックは意味をなさないし、面白くないと思うので。

—その考えに至ったのは、なぜだったのでしょうか?

常田:10代の頃は、もっと崇高なものを目指していたんです。時代とは関係のない、普遍的な美しさやかっこよさを目指すタイプの人間だった。でも、考えを突き詰めていって思ったのは、結局、時代性を纏ってない音楽が大衆的な熱狂を生むのは不可能なんだ、ということだったんですよね。

たとえば、Led Zeppelinがいまの時代に、1970年代の、全盛期だった頃の彼らと同じことをやっても、当時ほどの熱狂はおそらく生まれないですよね。時代の流れや熱に乗ったからこそ、Led Zeppelinはあの域に到達したんだから。いまの俺の考えは、そういうところにあるんです。

Led Zeppelin “Immigrant Song”(1970年)

—常田さんが求める音楽の輝きは、博物館に飾られる類のものではなく、あくまでも時代性と密接に繋がるもの……同時代を生きる人々の人生のなかに着地することによって生まれるものだった、ということですよね。

常田:もちろん、それが音楽のすべてだとも思っていないですけどね。ただ、ポップスとはそういうものだし、King Gnuではそれをやろうとしている、ということですね。

King Gnu『Tokyo Rendez-Vous』収録曲

—常田さんは、ご両親が音楽をやられていて、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ったんですよね?

常田:はい、音楽一家でした。

—大学在籍中は小澤征爾さんの楽団に在籍されていた経歴もある。常田さんがいまポップスを目指すのは、ご自身を育てたアカデミックな音楽の磁場に対する自己否定、という側面もあるのかもしれないと思ったのですが、どうでしょう?

常田:いや、中学生の頃からMTRで自分の曲を作っていましたし、もっと客観的にアカデミックというか西洋音楽を捉えていたと思います。「このストラヴィンスキーのオケのドープさと、ジミ・ヘンドリックスの“Machine Gun”のフィードバックのスピリチュアル感をぶつけてみれば、すげぇ合うんじゃねぇ?」みたいな(笑)。

—いまの話は、常田さんの音楽観を表していますよね。ストラヴィンスキーやジミヘンを過去の遺産として額縁に入れて愛でるのではなく、両者の音楽を聴いた、いまを生きる自分がなにを感じ、なにを生み出すのか? ということが重要というか。

常田:この時代の、この流れのなかで、俺はこの音楽を作った……そういう、自分の文脈を持って、そのなかで自分に腑に落ちるものを作ることが、俺にとってはなにより重要なんです。

常田大希(King Gnu)

「バランス」は、すごく重要だと思う。それがないものには面白さを見いだせない。

—「時代を意識する」ということは、流行に乗ることではなく、「いま、自分はどう在るのか?」ということを明確にするため、ということですよね。

常田:そう。だから、このタイミングでKing Gnuとして“Flash!!!”をリリースできるのは、「売れるか / 売れないか」とか、周りからどう思われるか、ということは二の次で、「俺の精神衛生上、必要なこと」という感じもするんです。

最近、俺らの周りでは特に、チルな感じのアーティストが多い気がするんですよね。音楽が細分化してしまって、もはや個人的な楽しみになってしまっているような気もするし、昔は音楽が大きく担っていた熱狂が、いろんなカルチャーに散ってしまっている感じもする。

—たしかに、そういう状況はありますよね。

常田:でも“Flash!!!”は、俺が子どもの頃に憧れたロックバンドのかっこよさや熱狂を自分という現代のフィルターに通している曲なんです。そういう曲を世に出すことは、自分にとってすごく重要なことだし、King Gnuが今後どういう曲を作っても、「King Gnuっていうのはこういうバンドだぞ」って帰ってくることができる曲だなって思う。

—うん……すごく納得できました。

常田:ただ、もし周りが暑苦しいヤツばっかりだったら、俺はチルな音楽を作りはじめるかもしれない(笑)。

常田大希(King Gnu)

—ははは(笑)。でもそれが、その時代に立っている常田大希という人間なんだ、ということですよね。

常田:最初にも言ったように、俺は根本的に周りに馴染めない人間だし、本能的に「人と違う」ということを求めてしまう人間だから。どこにも馴染めない人間だからこそ作れるものがあると思うので。

—その常田さんの感覚って、本能的なものであれ、すごく優れた「バランス感覚」と捉えることもできるのかな、と思いました。

常田:あぁ、そうかもしれないですね。「バランス」っていうのは、すごく重要だと思います。それがないものには面白さを見いだせないし、聴いたことがないバランス感覚のものを作りたいです。

常田大希(King Gnu)

常田:King Gnuで言うと、理のきれいなボーカルがあって、それを汚す俺っていう対比も1つのバランスだし。単純に、綺麗な音と汚い音をぶつけるっていう話ではなくても、俺らみたいなコアな音楽家畑にいたミュージシャンがポップスをやろうとするのもバランスだし、黙ってかっこつけてりゃいいのに、理がふざけた動画をTwitterで上げ続けるのも、バランスだし(笑)。バランス感覚っていうのは、音楽だけじゃなく、生き方にも求めるものですね。

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リリース情報

King Gnu
『Flash!!!』

2018年7月13日(金)配信リリース

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  • プロフィール

    King Gnu(きんぐ ぬー)

    東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター・常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt.Vo.)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Key)の4名体制へ。『SXSW2017』、『Japan Nite US Tour 2017』出演。2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

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