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アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

Analogfish『Still Life』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:久野剛士、山元翔一

「戦争反対」という気持ちを曲にしようと思ったときに、それを直接書くという選択肢ってあまりないですね。(下岡)

—呂布さんのオリジナリティーが、周りが変わっていく中で自分は変わらなかったからこそ生み出されたものだ、という点は、もしかしたらアナログフィッシュにも通じる部分なのかなと思いました。社会に対する批評的な視点が反映された歌詞表現というのは、かつては多くのロックバンドがやっていたことだったけど、いつの間にかそういった表現が減っていく中で、アナログフィッシュはそれをやり続けている。

下岡:確かに、僕が聴いていた音楽はずっと社会的なことを歌っていたし、僕はロックバンドってそういうものだとずっと思っていたんだけど、いつの間にか、そういう歌を歌うと面倒くさくなる世の中になってきていた、というのはあるかもしれない。みんな、あまり触れたがらなくなってきましたよね。

呂布:俺は『荒野/On the Wild Side』(2011年)をめっちゃ聴いていたんですけど、あのアルバムには、社会的なメッセージが込められた曲がたくさん入っているじゃないですか?

下岡:うん。

左から:呂布カルマ、下岡晃(アナログフィッシュ)

Analogfish『荒野/On the Wild Side』(Apple Musicはこちら

呂布:でも、たとえばモロに「戦争はダメだ」とは言わないんですよね。ダイレクトなワードが出てくるんじゃなくて、あくまでも「周り」を描いている。日々の生活の中に、戦争の悲惨さがちょっと混じっているような……そういう描き方が、俺は好きで。逆に、政治的なプロパガンダを直接的に書くような曲に対しては、「金払ってまで、そんなもん聴きたくねぇよ」って思っちゃうから。

下岡:確かに、「戦争反対」という気持ちを曲にしようと思ったときに、「戦争反対」って直接書くという選択肢ってあまりないですね。直接的に書きたくなる人の気持ちもすごくよくわかるんだけど。

呂布:ヒップホップは結構やっちゃうんですよ。政治家の名前を直接リリックに出したりして、事実を羅列していくっていうやり方をやる人も多いです。でも俺は、「それは短絡的なんじゃないか?」と思っていて。それだと、「いま」にしか当てはまらないじゃないですか? でも、もっと普遍的に「戦争は悲惨なんだ」っていうことを伝えたほうがいいと思う。そっちのほうが長く聴けるし。

呂布カルマ

—呂布さんにとって「戦争」のような主題は、限定的なものではなくて、普遍的なものとして存在しているわけですね。

呂布:そうですね。戦争、不公平、不平等……そういうものって、絶対にあるから。俺の場合は、それに対して「やめよう!」っていうよりは、それとどう向き合っていくのか? っていう視点だと思います。諦めじゃないけど、「それはあるものなんだ」と受け入れて書く。肯定するわけではないけど、否定するというよりは、景色の一部として扱っている感じですね。

下岡:僕も呂布くんと同じように、戦争や差別を事実として受け止めて書くことはやりますね。そして、それを投げて、聴いた人に考えてもらう。「戦争反対」っていう言葉を書いて見せただけだと、「戦争反対」であることがわかっているだけで、それ以外のことはなんにも伝わっていないんじゃないかと思うんですよ。

それなら、周りにある日々をドラマとして描くほうが、そこにある空気は明確に伝わるんじゃないかって思う。「戦争反対」という言葉だけがぼんやりと伝わってしまうよりも、そっちのほうがいいと思うんですよね。

下岡晃(アナログフィッシュ)

呂布:下岡さんのその書き方には、すごく影響を受けています。『荒野/On the Wild Side』での書き方もそうだし、“最近のぼくら”もそうですよね。人身事故があって、でも、帰りにはそれをもう忘れている……あの描写はすごくリアルだなと思いました。

多くの人は、忘れてしまったら、もう忘れたことは書かないんですよ。事件の悲惨さだけを書いて終わってしまう。でも、それとは別にある生活のことも、アナログフィッシュは歌うから。俺らの普段接する距離感そのままで書いてあるから、伝わるなあって思う。鈍い人たちにはわからないかもしれないですけどね(笑)。

Analogfish“最近のぼくら”(Apple Musicはこちら

下岡:ははは。まあ、そこは常に問題だね。

呂布:直接言ってやらなきゃわかんない連中もいっぱいいるんだなって、最近よく思います。

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リリース情報

Analogfish『Still Life』
Analogfish
『Still Life』(CD)

2018年7月25日(水)発売
価格:2,916円(税込)
PECF-1157

1. Copy & Paste
2. With You (Get It On)
3. Sophisticated Love
4. Dig Me?
5. 静物 / Still Life
6. Ring
7. Uiyo
8. Time
9. Pinfu

イベント情報

『Tour “Still Life”』

2018年9月9日(日)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月15日(土)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 3rd
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月17日(月・祝)
会場:大阪府 心斎橋 Music Club JANUS
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

2018年9月24日(月・祝)
会場:東京都 渋谷 WWW X
料金:前売3,800円(ドリンク別) 当日未定

プロフィール

Analogfish
Analogfish(あなろぐふぃっしゅ)

3ピースにして2ボーカル+1コーラス。唯一無比のハーモニーを響かせる希代のロックバンド。下岡晃(Gt,Vo)が問題提起する社会的なリリックと佐々木健太郎(B, Vo.)の情熱的な人間賛歌が見事に交差する楽曲群が魅力。それを支える扇の要、斉藤州一郎(Dr,Cho)のしなやかでファットなプレイと垢抜けたコーラスワークが高い評価を得る。共演ミュージシャンはもとより、映画、小説、漫画等、各界クリエイターからのラブコールは止みません。

呂布カルマ(りょふかるま)

日本のヒップホップMC。愛知県名古屋市を拠点に活動している。JET CITY PEOPLE代表。大阪芸術大学建築学科出身の父親のもとに生まれ、小学校時代を大阪府で過ごす。中学校に入ってから愛知県名古屋市に引っ越し、中部大学の附属高校を卒業後、名古屋芸術大学美術学部に入学。大学を卒業後も、フリーターを続けながら小学生からの夢であったプロの漫画家を目指すも挫折し、本格的にラップを始める。2018年5月9日に、5枚目となる最新アルバム『SUPERSALT』をリリースした。

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