
ロイ-RöE-が歌う、1990年代歌姫の「ケンカを売る感じ」の音楽
ロイ-RöE-『ウカ*』- インタビュー・テキスト
- 黒田隆憲
- 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
あいみょんやtofubeats、ジェニーハイなど異端な才能を輩出し続けるレーベルunBORDEから、期待のニューカマーがデビューする。
彼女の名前はロイ-RöE-。本作が「初プロデュース作」となるちゃんMARI(ゲスの極み乙女。)が手がけた1stデジタルEP『ウカ*』は、aikoやChara、椎名林檎にも通じるような、ヒネリの効いたコード進行とメロディーを基軸としつつ、昭和歌謡のケレン味も随所に散りばめられた異色のサウンド。当て字を多用した歌詞の世界観もユニークで、その真っ白なアートワークが象徴するように、荒削りながらも手つかずの才能に溢れている。
実際に会ってみると、時おり見せる笑顔にはあどけなさが残り、その歌声と同様にまっ直ぐで物怖じしない発言の数々がとても眩しかった。今後、どんなアーティストへと成長を遂げていくのかとても楽しみだ。
WANIMAやORANGE RANGEに憧れてて。あんな風にあっけらかんと下ネタとか言えないじゃないですか。
—ダウンタウンに憧れて、彼らに会うことが上京する大きなモチベーションになったそうですね。
ロイ-RöE-:はい。小学生の頃から、特に浜ちゃんが大好きで。浜ちゃんに会うにはまず何か才能を身につける必要があるし、そのためには漫画家かシンガーソングライターになるしかないと思ったのが、ミュージシャンを目指すきっかけでした(笑)。
—その話を聞いて、写真家の梅佳代が「イチローに近づくためにはスポーツキャスターか、スポーツ担当のカメラマンになるしかない」と思って写真学校へ進学したというエピソードを思い出したんですよ。
ロイ-RöE-:全く一緒です!(笑) 梅佳代さんは、イチローさんに会えたんですかね? 私は浜ちゃんに会ってど突かれるのが目標です。
—(笑)。漫画を描くのも好きだったんですね。どちらかというとインドアだったんですか?
ロイ-RöE-:運動も好きでした。体育と音楽と図画工作の成績だけが良かったという(笑)。体育の時間は、勝手にライバルだと思っていた子がいて、「絶対コイツより速く走ってやる」「絶対コイツより点を入れてやる」という風に燃えていましたね。しかも、そういうヤツらって目立つじゃないですか。それも悔しくて(笑)。
—負けず嫌いだし、目立ちたがり屋だったのですね。
ロイ-RöE-:そうです。昔はヒップホップダンスをやっていたんですが、それも単に目立ちたかっただけだったかもしれない。
—「シンガー」ではなく「シンガーソングライター」になりたかったのは、シンガーだと自分が好きじゃない曲も歌わなければならなくて、それが嫌だったからだとか(笑)。
ロイ-RöE-:人が作った歌を歌うイメージが全然湧かなくて。だったら努力して作曲能力を身につけるしかないなって。でも、理想のシンガーソングライターや、コンポーザーが特別いたわけでもないんですよね。とにかく、「逆らえない」という状態が嫌なのかもしれない。
バイト先でも、店長がおったら逆らえないじゃないですか。だから、そういう立場から脱して、ちゃんと自分で物を言うためにも「才能を身につけていこう」という考え方になっていきましたね。
—「こうなりたい」と思えるような、憧れの存在はいました?
ロイ-RöE-:人間性と音楽が完全にマッチしている人たちには憧れますね。私、WANIMAやORANGE RANGEにものすごく憧れてて。普通は、あんな風にあっけらかんと下ネタとか言えないじゃないですか。もし陰キャなバンドマンがやっても「おいおい、無理すんなよ」ってなると思うし(笑)、私も絶対似合わないんです。だから、明るい楽曲と人柄とが完璧にハマっている人を見ると、羨ましく思うんです。サンボマスターとかもそうかな。私は結構、浮き沈みが激しくて。その時の気分で歌える曲もコロコロ変わるんです。明るさを保てなくて。
—まだ「自分らしさ」みたいなものが、定まっていない感じがあるんですかね?
ロイ-RöE-:そうなんだと思います。やりたいことが山ほどあり過ぎて、一途になれずにいろいろ試したくなっちゃうんです。
リリース情報

- ロイ-RöE-
『ウカ*』 -
2018年10月19日(金)配信
1. 泡と鎖*
2. Heart Beat*
3. そそらるる*
イベント情報
- 『ロイ-RöE- presents first ONEMANSHOW at CIRCUS —ウカ*—』
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2018年12月6日(木)
OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 CIRCUS TOKYO
料金:前売1,500円(ドリンク別)
プロフィール

- ロイ-RöE-
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頭から離れないメロディーと個性的な歌詞を紡ぎ出す、“ディストピア系”シンガーソングライター。中学卒業後から独学で作曲を開始。2017年夏に行われた、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル<unBORDE>が主催するライブイベント<unBORDE Summer Xmas Party 2017>において、レーベルへの所属を発表。2018年、<unBORDE LUCKY 7TH TOUR>に出演。10/19、1st Digital EP「ウカ*」をリリース、unBORDEよりデビューを果たす。