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alcottが語る、カツセマサヒコらと作った「愛」にまつわる結晶

alcottが語る、カツセマサヒコらと作った「愛」にまつわる結晶

alcott『あまのじゃくし』
インタビュー・テキスト
沖さやこ
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2018/12/04

日本のバンドの活動といえば曲を作り、音源を制作し、それを持ってツアーを回り、その経験をもとに曲を作り、音源を制作し……というルーティーンが一般的だ。だが神戸出身のalcottというバンドは、そこにプラスアルファを加えて活動し続けている。2018年の春には、楽曲×短編小説×映像による4か月連続3要素同時配信リリースプロジェクト「LOVE LETTERS」を立ち上げ、11月14日にリリースされた最新アルバム『あまのじゃくし』のリード曲はクラウドファンディングの参加者に決めてもらうという企画を打ち出した。

関西人らしくサービス精神旺盛かつユニークな企画やサウンドメイクを行う彼らが『あまのじゃくし』でフィーチャーしたテーマは、これまで彼らが多く綴ってきた「ラブソング」。alcottはなぜラブソングを作り続けるのか? なぜ楽曲制作とライブ以外の活動を精力的に行うのか、そしてその結果見えるものとはどんなものなのか? alcottの持つ哲学をメンバー全員に訊く。

カツセマサヒコさんはすごく素敵な男性と女性を描く人だし、僕と考え方が似ているなとも思いました。(貴田)

—最新作『あまのじゃくし』のキャッチコピーは「何度だって恋したくなる –あなたを好きだって気付いたのはalcottのせいだ-」。ラブソングを書き続けてきたalcottだから掲げられる文言だと思うと同時に、なかなか度胸がないとつけられないキャッチコピーではないかと思いました。

貴田(Vo,Gt):あははは、たしかにちょっと攻めてますね(笑)。恋人だけでなく家族、メンバー、スタッフ、友達や親友……大切な人に向けた愛情を綴った楽曲を「ラブソング」だと思っているんです。

去年、初の全国流通盤『YELL』をリリースして、なかでも最も認知されて受け入れられた楽曲が“さくらの麓”で。そのあと、「alcottを聴いたら恋がしたくなる」「自分が忘れていた想いに気付けた」という声をもらうことが多くて、今回は特にラブソングにフィーチャーして楽曲制作をしていきました。

左から:谷里志、貴田宰司、内田将之、小浦哲郎
左から:谷里志、貴田宰司、内田将之、小浦哲郎

—リスナーの期待に応えたということですか?

貴田:楽曲は聴いてくれる人のなにかのきっかけになればいいなと思っているんです。“さくらの麓”がきっかけで付き合った人と結婚して、子どもさんと一緒にライブに来てくれたお客さんがいて。『あまのじゃくし』もそういう「一歩踏み出す勇気」みたいなものになればな……と思って作っていきました。

その制作の最中に「もっとalcottを知ってもらうにはどうしたらいいかな?」とチームみんなで考えて、ライターのカツセマサヒコさんと映像制作チームのisai Inc.とタッグを組んだ「LOVE LETTERS」という企画を立ち上げたんです。

—alcottが恋愛をテーマに制作した楽曲をもとに、カツセさんが小説を書き下ろし、isai Inc.がドラマを制作したプロジェクト「LOVE LETTERS」。4か月連続でウェブにて3媒体同時配信されただけでなく、書籍化、映画館上映もされました。

貴田:楽曲にミュージックビデオをつけることは多いですけど、音楽・小説・映像の三位一体で表現できたらもっと曲の世界が広がるな、という発想から始まったんです。カツセさんはすごく素敵な男性と女性を描く人だなと思ってオファーさせていただいたんですけど、失礼ながら僕と考え方が似ているなとも思いました。

カツセマサヒコによる小説は、こちらから

第1話のもととなった楽曲“告白記”

—ミュージシャンがドラマや映画などの物語に対して書き下ろすことはありますが、楽曲をもとに物語を書き下ろしてもらうなんてなかなかなく、レアで贅沢な経験だと思います。

貴田:カツセさんに「この箱のなかで踊ってください」って言うようなものだから、本当に贅沢な経験だし……失礼ですよね(笑)。恐れ多い!

そんな状況にもかかわらずカツセさんは4曲すべて曲にある行間をブワッと広げてくださったんですよね。カツセさんから「これはどんな気持ちを込めた曲なの? どういうふうに作ったの? すべて包み隠さずしゃべって。汚い部分も見せて」と言ってもらって長文のLINEのやり取りをしていって、そのうえで書き下ろしてくださったんです。

貴田宰司
貴田宰司

—「ラブレターズ・ポストマン」を軸にして、それぞれ趣向の異なる愛が描かれています。第3話の“予報外れのラブソング”は愛する人との過去の記憶をロマンチックに美化してしまう男性が主人公で、映像作品はその抽象性の高さも印象に残りました。

貴田:“予報外れのラブソング”という曲は、もともと僕の姉の結婚がもとになっていて。姉は僕が音楽をやっていることに、あまり協力的ではなかったんです。でも結婚のタイミングで「宰司、よかったら曲作ってくれへん?」と言ってくれて、びっくりして。でもまさか姉が結婚するとは思ってなくて……だからタイトルが「予報外れ」なんです(笑)。

—ははは。貴田さんの私的な出来事や感情が反映された楽曲にカツセさんが小説を書き下ろしたことで、“予報外れのラブソング”のパラレルワールドが生まれたんですね。

貴田:どの曲も自分の気持ちや経験がもとになっているんですけど、この曲は特に私情が込められていることもあってか、カツセさんにも「歌詞の偏差値が一気に下がったね」と言われて(笑)。「でもそれがいい」とも言ってもらえましたね。“予報外れのラブソング”は楽曲としても自由度が高かったし、第3話という位置的にもカツセさんも遊んでくださったし、映像も面白いものになったなと思っています。

カツセマサヒコによる小説は、こちらから

第3話のもととなった楽曲“予報外れのラブソング”

—「LOVE LETTERS」はalcottの楽曲ありきでスタートしつつも、小説、映像、それぞれの表現性も出たうえで完成したものであると。

貴田:「LOVE LETTERS」は僕らにとって宝物ですね。「LOVE LETTERS」の4曲は配信もして、本と一緒にCD化しているので、『あまのじゃくし』に入れるかはメンバー内で悩んだりもしたんですけど、実際に入れてみたらおなかいっぱいに感じることも全然なくて。『あまのじゃくし』という作品にこの4曲が入ったのは、とても大切なことだったと思います。

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リリース情報

alcott『あまのじゃくし』
alcott
『あまのじゃくし』(CD)

2018年11月14日(水)発売
価格:2,484円(税込)
LNCM-1271

1. スーパーノヴァ
2. つがいの蝶
3. ドールポップ
4. 告白記
5. 春へ
6. あまのじゃくし
7. 与太郎
8. またたび
9. 予報外れのラブソング
10. FUN
11. 小火

イベント情報

『alcott “あまのじゃくし” ツンデレラ・ストーリー TOUR 2018』

2018年12月1日(土)
会場:石川県 金沢 AZ

2018年12月7日(金)
会場:宮城県 仙台 MACANA

2018年12月14日(金)
会場:福岡県 Queblick

2018年12月16日(日)
会場:愛知県 名古屋アポロベイス

2018年12月18日(火)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-Crest

2018年12月20日(木)
会場:大阪府 心斎橋 Music Club JANUS

プロフィール

alcott
alcott(あるこっと)

2010年8月結成。神戸出身のロックバンド。全てのソングライティングを担うVo&Gt貴田宰司の冒頭から結びまで丁寧に綴る歌詞とメロディーは、年齢や性別を問わず多くのリスナーの支持を受け、過去多数のタイアップを獲得。アーティストやアイドルなどの著名人もオススメバンドにalcottの名前を挙げるなど、リスナーだけでなく業界関係者にも絶大な支持を誇る。地元神戸で毎年開催する自主企画のサーキットイベント『BUTAFES』は年々規模を拡大し、昨年は1000人SOLD OUT。2017年5月にリリースした初の全国流通アルバム『YELL』は収録曲「さくらの麓」が全国FM13局のパワープレイを獲得!!好セールスを記録し話題に。そして、2018年「代々木ゼミナール」のCMソングに書き下ろしにて楽曲提供した「スーパーノヴァ」が決定。TVCMが全国で多数オンエアされるさらには3月から4か月連続で恋愛をテーマに制作した楽曲を配信リリース。「LOVE LETTERS」と題し、ありそうでなかった楽曲×小説×ドラマがコラボラレーションしたプロジェクトを立ち上げる。人気ライターのカツセマサヒコや森崎ウィンなど豪華キャストを起用し各所で話題に。自身初となる東京、大阪ワンマンも大成功に終え、サポートドラマーの小浦哲郎が正式メンバーとして加入、4人体制になり、満を持してMastard Recordsからアルバム『あまのじゃくし』をリリース。

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