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SALUとKvi Babaが語る、作品のためにどんな人間になるかが大事

SALUとKvi Babaが語る、作品のためにどんな人間になるかが大事

Kvi Baba『19』
インタビュー・テキスト
鳴田麻未
撮影:木村篤史 編集:久野剛士、矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/04/04

大阪・茨木市出身、19歳の新鋭ラッパー・Kvi Baba(クヴィ・ババ)。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表しキャリアをスタートさせた彼は、トラップ、クラウドラップ、オルタティブロックから影響を受けたメロディックなフロウと、痛みや愛を表現するエモーショナルなリリックで、いまシーンを賑わす注目の存在だ。

今回は、3月22日にリリースされた2nd EP『19』に参加したSALUを迎えてKvi Babaにとって初の対談企画を実施。約半年前に知り合った2人は、かねてから互いの楽曲に自分と似た価値観を感じており、わずかな時間と言葉数で打ち解けたという。繊細な感覚から情感あふれるラップを放つ2人。そのクロストークは、リリックの書き方、周囲からの評価、そしてこの国の「RAP GAME」の行方まで、多岐にわたった。

ラップでも弾き語りでも声を音楽として聞かせる上で一番大事なのは「感情を声に乗せる」ってことだと思ってる。(SALU)

—Kvi Babaさん、対談をするのって……。

Kvi Baba:初めてです。

SALU:いいのかな、俺で(笑)。

Kvi Baba:ありがたいです。

SALU:Kvi Babaくんのことは、去年の5月くらいに知り合いづてに「大阪に住んでる18歳のヤバいラッパーがいる」と聞いて、曲を聴いて5秒ぐらいでピンときたんですね。で、勝手にKvi Babaくんのことをいろんなところで勧めていたら、昔の僕のディレクターとA&RがいまKvi Babaくんに関わってることがわかったんです。初めて会ったのは去年9月でした?

Kvi Baba:はい、そうですね。

SALU:でも12月ぐらいには一緒に曲を作りはじめて。仲良くなるのに時間はかからなかったですね。

左から:Kvi Baba、SALU
左から:Kvi Baba、SALU

—どういうところにピンときたんでしょう?

SALU:最初に聴いたのは“Feel the Moon”かな。僕は感情がちゃんと入ってる音楽でないと心に響かないんですけど、Kvi Babaくんは心がめちゃくちゃ通ってる声だった。聴いた瞬間に心臓まで届いて、自分の中のなにかと共鳴したんですね。

ラップでも弾き語りでも声を音楽として聞かせる上で一番大事なのは「感情を声に乗せる」ってことだと思ってるんですけど、Kvi Babaくんを聴いたときはその点がすごかったです。それは本当にリリックに書いていることを思ってないとできないし、なかなかできることじゃないので、天才だなと思ったんですよね。

Kvi Baba: もう今日は、いまの言葉だけで十分満足です(笑)。心のこもった声を出す、その部分に関してはいつもどうすればいいか考えてるし勉強しますし、意識してやってますね。

SALU:あとKvi Babaくんの曲から、いままでどういうことを考えてきたのかなんとなく感じられて、実際会ったらその通りの人だったから。Kvi Babaくんのことを100%知ってるわけじゃないし理解できるわけじゃないけど、感覚は似てるんじゃないかなと思ってて。

Kvi Baba:僕もSALUさんの曲を聴いてて、自分と近い考え方でものごとを捉えてるなって感じてました。基本的には自分とは程遠い存在、スクリーンで見るような別世界にいるけど、なんか自分に近い人だと思ってました。

Kvi Baba(くゔぃ・ばば)。大阪・茨木出身のラッパー / シンガーソングライター。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、クラウド・ラップ、オルタティブ・ロックから影響を受けたというメロディックなラップスタイルと、内省的かつ鬱屈した心情を歌ったリリックが特徴。エモーショナルという言葉がジャストにフィットしたアーティストである。
Kvi Baba(くゔぃ・ばば)。大阪・茨木出身のラッパー / シンガーソングライター。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、クラウド・ラップ、オルタティブ・ロックから影響を受けたというメロディックなラップスタイルと、内省的かつ鬱屈した心情を歌ったリリックが特徴。エモーショナルという言葉がジャストにフィットしたアーティストである。

デビューしてから自分の音楽がいろんな人に届くようになった反面、自分の思惑とは違う受け取り方をされることもすごく多かった。(SALU)

—Kvi Babaさんは、デビューEPからApple Musicの「今週のNEW ARTIST」でピックアップされたり、その前にリリースされたDJ TATSUKIさんの客演参加曲“Invisible Lights”もiTunesのヒップホップチャートで1位を獲ったりと、なにやら注目されてるなって実感はあります?

Kvi Baba:いや、特にないです。相変わらずです。

SALU:僕もそういう感じだったらよかったんだけど(笑)。

—SALUさんもかつて「注目度の高い新人」でしたよね。

SALU:はい、注目していただきました。デビューした頃を思い返すと、ラップだけやってきた田舎の子どもが急に東京の大人の人たちに取材とかテレビとかラジオとかいろいろ組んでもらって、自分の音楽がいろんな人に届くようになった反面、自分の知らなかった自分の見え方をいろんな人から教わりましたし、自分の思惑とは違う受け取り方をされることもすごく多かった。

まあ捉え方は人の自由なんですけど、2012年に出した1stアルバム(『IN MY SHOES』)は、制作当時2011年の僕からしたら全然遅れたものをやってたつもりがみんなには違ったみたいで、2014年、2015年ぐらいから本当の意味で評価されはじめて。聴いてくれる人と自分の感覚に3年くらいズレがあって、なんなんだろうこの差は、みたいな気持ちだった。

SALU(さる)。1988年札幌生まれ、神奈川育ち。BACHLOGIC総指揮のもと、2012年3月にリリースされたファーストアルバム『In My Shoes』は、23歳にして得た濃厚な人生経験と、初期騒動に裏付けされたSALUが “In My Shoes(= 僕の立場から)”から見た世界について歌った作品で、J-HIP HOPのフィールドでは異例のスマッシュヒット。翌年6月にはミニアルバム「In My Life」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューし、2014年5月に2ndアルバム「COMEDY」を、2016年4月にKenmochi Hidefumiや中島美嘉ら多数のゲストを迎えた3rdアルバム「Good Morning」をリリースした。2016年10月にSKY-HIとのコラボレーションアルバム「Say Hello to My Minions」を発表したのち、2017年5月に4thアルバム「INDIGO」をリリースした。
SALU(さる)。1988年札幌生まれ、神奈川育ち。BACHLOGIC総指揮のもと、2012年3月にリリースされたファーストアルバム『In My Shoes』は、23歳にして得た濃厚な人生経験と、初期騒動に裏付けされたSALUが “In My Shoes(= 僕の立場から)”から見た世界について歌った作品で、J-HIP HOPのフィールドでは異例のスマッシュヒット。翌年6月にはミニアルバム「In My Life」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューし、2014年5月に2ndアルバム「COMEDY」を、2016年4月にKenmochi Hidefumiや中島美嘉ら多数のゲストを迎えた3rdアルバム「Good Morning」をリリースした。2016年10月にSKY-HIとのコラボレーションアルバム「Say Hello to My Minions」を発表したのち、2017年5月に4thアルバム「INDIGO」をリリースした。

SALU:進化論に基づいて話すと、ヒップホップも変わっていく必要があったと思うし、10年後を見据えて提供しないと残れないから。当時はそういうつもりでやってたんですけど「こんなのヒップホップじゃない」「ラッパーじゃない」みたいな声がたくさんあって、最初の3年くらいは正直ふてくされてましたね。「全く正当な評価を受けてない」って。

そもそも評価されたくてはじめたわけじゃないのに、いざ評価してもらったら急にそういう気持ちになったっていうのが、僕のデビュー時の唯一の失敗かな。自分の心の中の話ですけど。

—急に「正当に評価されたい」という欲求が出たということですか?

SALU:自分が好きではじめた音楽だけど、評価されたら自分が思ってた評価じゃなかったからふてくされたっていうのは、いま思えば子どもだったかなって。逆にあのときはしょうがなかったかな、 とも思うんですけど(笑)。Kvi Babaくんは、周りからの評価や自分を取り巻く環境に関してどういうふうに思ってる?

Kvi Baba:僕も評価されたくてはじめたわけじゃないですけど、いま、正当な評価を受けてるとは思いません。もっと評価されるべき存在であると自分では思ってます。ただ、人それぞれ価値観は違うし、その中でお客さんに価値観を合わせて提示したところでお客さんは喜ばないだろうし、自分にとって健全じゃない。

そういうことを悩んだ瞬間がいままでもあります。もちろん「売れたい」って思いもあるし、誰かの耳に届けたいっていう思いで音楽やってる部分もあるから。でもニーズに対して媚びるつもりは一切ないし、そしたら自分のよさがなくなっちゃうと思う。それを理解した上でいまやってますね。

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リリース情報

Kvi Baba『19』
Kvi Baba
『19』

2019年3月22日(金)
1. A Bright feat. SALU
2. Stoic feat. Minchanbaby, KLOOZ & BACHLOGIC
3. Cold World
4. Planted in Problem

Kvi Baba
『Natural Born Pain』

2019年2月22日(金)
1. Fee the Moon
2. Mama
3. Bad End
4. Leave Me Alone

プロフィール

Kvi Baba

大阪・茨木出身のラッパー / シンガーソングライター。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、クラウド・ラップ、オルタティブ・ロックから影響を受けたというメロディックなラップスタイルと、内省的かつ鬱屈した心情を歌ったリリックが特徴。エモーショナルという言葉がジャストにフィットしたアーティストである。

SALU

1988年札幌生まれ、神奈川育ち。BACHLOGIC総指揮のもと、2012年3月にリリースされたファーストアルバム『In My Shoes』は、23歳にして得た濃厚な人生経験と、初期騒動に裏付けされたSALUが "In My Shoes(= 僕の立場から)" から見た世界について歌った作品で、J-HIP HOPのフィールドでは異例のスマッシュヒット。翌年6月にはミニアルバム「In My Life」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューし、2014年5月に2ndアルバム「COMEDY」を、2016年4月にKenmochi Hidefumiや中島美嘉ら多数のゲストを迎えた3rdアルバム「Good Morning」をリリースした。2016年10月にSKY-HIとのコラボレーションアルバム「Say Hello to My Minions」を発表したのち、2017年5月に4thアルバム「INDIGO」をリリースした。

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