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失くした恋を歌に彫るosage。ダサさを反転させる歌の魔法

失くした恋を歌に彫るosage。ダサさを反転させる歌の魔法

osage『ニュートラルe.p』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:木村篤史
2019/04/15

なにしろ声とメロディの力に富んでいるバンドである。SUPER BEAVERやsumika、マカロニえんぴつ、Amelieなどが所属するプロダクション・eggmanが行った『murffin discs audition 2018』でグランプリを獲得し、このたび『ニュートラルe.p』でデビューを果たした4ピースが、osageだ。

失った恋への皮肉と強がりを綴りながら、まるで赤子が初めて発する泣き声のように大きな歌を響かせる山口ケンタ(Vo,G)。その声と歌謡的なメロディの力にグッと惹きつけられるのだが、喪失の悲しみと苛立ちを燃焼させて、恋への執着を転覆させていく歌にはどんな背景があるのか? 悲しみを抱きしめながらも笑おうとする歌の表情は、一体なんなのか? これまでに何度も鳴らされてきた悲恋の歌達とも通ずる湿り気を持ちながらも、その奥に佇んでいる違和感と異物感。その核心と背景を徹底的に探るインタビューになった。

山口の曲には「普通こういうことはやらないよね」っていう部分があって面白い。僕はそれをさらに外していきたいんです。(松永)

左から:松永祐太朗(Gt,Cho)、山口ケンタ(Vo,Gt)、田中優希(Dr)、金廣洸輝(Gt,Cho)
左から:松永祐太朗(Gt,Cho)、山口ケンタ(Vo,Gt)、田中優希(Dr)、金廣洸輝(Gt,Cho)

—ハイトーンで泣きを感じる声、歌謡から連なるJ-POPの起伏に富んだメロディ、だけど音楽的には綺麗に整えることのない異様にザラついたところも多い。いろんな特徴を感じるんですが、ご自身は、osageはどういうバンドだと捉えられてるんですか。

山口(Vo,Gt):「うわ、こんなことあったなあ」っていうノスタルジックなものを過去から引っ張ってきて歌と音楽にしているバンドなんだと思います。で、それが自分達の強みだとも思っていて。

もちろん、誰かの背中を押すような曲や表現もいいと思うんです。だけどそれ以上に、今まで起きたことや昔の思い出を音楽にすることで、人の「あの時は楽しかったな」っていう時間に寄り添えるものにもしたいと思ってますね。

osage“エンドロール”MV

—ノスタルジックなものを過去から引っ張り出す歌を書きたいのはどうしてなんですか。

山口:僕は人よりも昔に未練を持っていたり、消化できなかったものを抱えたりしてるんじゃないかっていう気がしていて(笑)。それがクセというか……気づいたら過去のことばっかりを歌にしていることが多いんですよ。これはなんなんだ? って自分も思うんですけど。

松永(Gt,Cho):今のところ、音楽的にハッキリ指針があるバンドではないと思うんです。ただ、山口が好きなものやハマっているものを反映した曲には、「普通こういうことはやらないよね」っていう部分があって、それが面白いんです。で、僕はそれをさらに外していくようなアイディアを入れていきたいと思っていて。

松永祐太朗
松永祐太朗

イントロだけ聴いたとしても感情に訴えかけてくるのが山口の曲のいい部分だなって、高校の頃からずっと思ってますね。(田中)

—一聴すると、1990年代のJ-POPの影響が色濃い譜割やメロディが印象的で。ただ、びっくりするようなところでサウンドがザラついたり荒ぶったりする。そういうところが重なっていくのが面白いということですか。

松永:そうですね。

山口:松永が弾くギターのメロディやサウンドも、僕の持っていないものなんですよ。カラーの違う球を投げ合って曲を作っていくと、不思議といろんな飛び道具とエッセンスが入ったものになる。そういう意味で、バンドらしい面白さを自分自身も感じられていて。

田中(Dr):そうやって作っていくと、ロックが好きでもポップスが好きでも聴けるものになっていくなあと感じていて、その両方に届くと思えるのが強みだと思うんです。個人的な表現欲求としては、松永とほぼ同じように、山口の曲に対してどうアプローチするのかに全力を尽くせるバンドだなって思いますね。

—純粋に山口さんの曲が求心力になっていると。山口さんの曲のどういうところが素敵だなって思います?

田中:まず第一にあるのは、その場で聴いた人がすぐ歌い返せるくらい歌のメロディが耳に残るところ。イントロだけ聴いたとしても感情に訴えかけてくるのが山口の曲のいい部分だなって、高校の頃からずっと思ってますね。

田中優希
田中優希

山口:そうそう。元々、高校の軽音部の同級生4人なんです。で、高校を卒業してから大学で組んだ僕のバンドの雲行きが怪しくなってきて、活動を止めようと思ってたところで松永が「一緒にやろう」と提案してくれて始まったのがosageで。まあ、さらに厳密に言うと、僕がいないところでこのバンドは結成されたんですけど(笑)。

松永:山口が曲のデモをネットに上げているのを知っていて、彼がライブでやっていない曲とか、ボツになった曲達を聴いている時に「俺、この曲やりたいなあ」って思ったんですよ。それで、金廣と飲んでいる時に「山口の曲をやるバンドを組もうよ」っていう話を勝手にしたんです(笑)。そのまま、山口に「やろうよ!」って。

金廣(Gt,Cho):そうだったよね。その時はまだどんなふうに人に届けるかっていうのは考えてなかったけど、とにかく山口の曲が魅力的だからこれを弾きたい、っていう気持ちだけで集まったんでしょうね。たとえば……先ほど、山口のメロディに1990年代のJ-POP感があるとおっしゃいましたけど、それって僕らの年代からしたら通ってはいないものじゃないですか。

—そうですね。

金廣:その年代を知っている人からしたら「懐かしい」と思えるものなんだろうし、琴線に触れるものがあるのかもしれない。それはつまり、その年代を通っていない僕らの年代の人が聴いたら、新しいと思えるものな気がするんですよ。

osage(おさげ)<br>下北沢を拠点に活動する4ピースバンド。SUPER BEAVER、sumika、マカロニえんぴつなどが所属する「murffin discs」による新人オーディション「murffin discs audition 2018」でグランプリを受賞。murffin discs内に発足された新レーベル「murffin Lab.」より『ニュートラル e.p』でデビューを果たした。
osage(おさげ)
下北沢を拠点に活動する4ピースバンド。SUPER BEAVER、sumika、マカロニえんぴつなどが所属する「murffin discs」による新人オーディション「murffin discs audition 2018」でグランプリを受賞。murffin discs内に発足された新レーベル「murffin Lab.」より『ニュートラル e.p』でデビューを果たした。
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リリース情報

osage『ニュートラルe.p』
osage
『ニュートラルe.p』(CD)

2019年4月10日(水)発売
価格:1,080円(税込)
MDLB-0001
※タワーレコード限定発売

1. エンドロール
2. 追憶
3. スニーカー
4. vega

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    osage(おさげ)

    下北沢を拠点に活動する4ピースバンド。SUPER BEAVER、sumika、マカロニえんぴつなどが所属する「murffin discs」による新人オーディション「murffin discs audition 2018」でグランプリを受賞。murffin discs内に発足された新レーベル「murffin Lab.」より『ニュートラル e.p』でデビューを果たした。

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