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The Wisely Brothersが、モヤモヤした過去の自分に手紙を贈る

The Wisely Brothersが、モヤモヤした過去の自分に手紙を贈る

『さよなら、退屈なレオニー』
インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
撮影:タケシタトモヒロ 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

友達が「晴子ってこういう人だよね」って俯瞰していってくれると、ちゃんと自分にも個性があるんだって思えるようになりました。(真舘)

―レオニーはカナダの田舎町に住んでいて「ここじゃないどこかに行きたい」という感情を持っていますが、それとみなさんの「なんでもいいからいつもと違うことを始めたい」っていう感情は似ているのかなと思いました。

真舘:そうですね。でも私は東京に住んでいる気持ちしか知らないからこそ、「どこかに行きたい」ってずっと思っています。ずっとここで暮らさなきゃいけない意味ってあるのかな? って考えることもあって。なんとなく東京で暮らさなきゃいけないみたいな考えが勝手に降りて来てそれに縛られるんですけど、別にここにいなくても自分で場所を選んで変えていいんですよね。

The Wisely Brothers

―実際に行動を起こそうとは思わなかったんですか?

真舘:大学生のとき、頭の中がバンドとバイトと大学の宿題と予習でパンパンになりすぎて、大学の駅で降りるのが不可能になったことがあったんですよ。その日はそのまま電車に乗り続けて鎌倉に行って。楽器を担いで海まで歩いて、ギターを枕にして寝ていたんです。そのときに、私の「なにかをやりたい気持ち」ってこういうことだ! って。人に迷惑がかかってしまうこともあるけど、それよりも自分がどうしたいかが大事だって気づいたんです。好きなものをちゃんと好きといえるようになったのも高校生くらいで、それまでは本当に周りのことばかり気にしていたんですよね。

真舘晴子
真舘晴子

―そのときからどんどん自分というものを優先させるように考えがシフトしていったんですね。

真舘:学生時代って節目節目で周りの人や環境がわかりやすく変わるじゃないですか。そのたびに新しい人と出会って「こういう人もいるんだ。それなら自分はこういう人かもしれない」って気づいていきました。それに友達が「晴子ってこういう人だよね」って俯瞰していってくれると、ちゃんと自分にも個性があることを確認できるし、それが人と違ってもいいんだ、人のことは気にしなくていいんだって思えるようになりました。

『さよなら、退屈なレオニー』場面写真 / ©CORPORATION ACPAV INC. 2018
『さよなら、退屈なレオニー』場面写真 / ©CORPORATION ACPAV INC. 2018

バンドか就職か悩んだときに、「いましかできないことを選択したほうがいい」ってすんなり気づいて、そこからはすごく楽になりました。(和久利)

—漠然と何者かになりたいけど具体的にはわからない、みたいなフラストレーションと、でも将来のことを不安に思う時期ってありますよね。

真舘:そうですね。将来に対する不安ももちろんあったんですけど、そのときはその瞬間その瞬間のことを考えるのに精一杯で、頭が将来のほうに向いていかなかったです。インターンとか就職説明会とかたくさんあったけど、具体的に興味は持てずに、自分のできることを仕事にできたらいいなって、漠然とですけど前向きには考えていて。でもそれがどういう名前の職業で、どういう会社で、どういう仕事なのかっていうのはわかっていなかったです。

渡辺:晴子と泉は進学するっていってたけど、私は興味のある分野とか勉強したいことが全然なかったから高校を卒業したら就職しようと思っていたんです。そんな中で、バンドを辞める辞めないみたいな将来の話は全くないまま卒業に向かっていて。もし私がここで就職しちゃったらバンドが崩れるなと思ったから短大に進学しました。逆に、「これを学びたい!」みたいな自分の意思で選択したわけじゃないからするっと進めた道だと思う……って考えたら、私全然自分でなにも選んでないなって気づいた……。

和久利:そんなことないでしょ!

真舘:うん、そこまで私と泉を気にして選んでたようには見えなかったよ。

渡辺:でも、就職を普通に視野に入れてしまうくらい、私はやりたいことが特になかったんだよ。ていうか、そのときの私はバンドだけで満足していたんだと思います。バンド以外にやりたいことが思いつかなかったし、バンドをやっている自分を最優先して、ふたりがこういう状況なら私はこうしよう、っていう考え方で選択してました。

渡辺朱音
渡辺朱音

和久利:私は高校生のときに将来の夢を明確に決めてリハビリの専門学校に行ったんです。宮城で長期の実習があったんですけど、そのときに自分のやりたいことを改めて考える時間ができて、バンド、学校、職場……いろんなことを考えたんですよ。そうしたら、本当にこの仕事がしたいのかなって疑問が生まれて。

東京でライブしてまた実習に戻ることがあったんですけど、やっぱりどうしてもライブが楽しいので、実習に戻ってからなにも手につかなくなっちゃって。でも、もともと誰かのためになる事を選択する生き方を大切にしてきたから、自分が楽しいと思えるという理由だけでバンドを選ぶことがどうしてもできなかった。

—一度ゆっくり考える時間ができたからこその岐路ですね。

和久利:そうなんですよ。そのときに「なんで私はこんなに早く将来の夢を決めて固執しちゃったんだろう? もっと自由に考えればよかった」って思ったんです。仕事もおもしろそう、でもバンドのほうがもっとおもしろそう、でも資格取って仕事したほうが親は喜ぶよなとか、いろいろ考えて。資格自体は取ったんですけど、就職するかどうか本気で悩んで。

そこで初めて「実はどうしようか悩んでる」って話をふたりにしたんです。そしたら話しているうちに、いましかできないことを選択したほうがいいってすんなり気づいて。そこからはすごく楽になりました。もともと気を遣うタイプで、昔から周囲の人のことを気にしてしまうタイプだったので。でもあまり気にしていると自分が崩れてしまうこともわかったから、それ以降は意識的に無神経にするようにしています。

和久利泉
和久利泉

真舘:なんか泉が変わったなって時期があったよね。言葉にはしなかったけど、人って変わっていくんだなって思いました。

和久利:あのときは自分でもわかるくらい変化したと思う。自分の好きなことを理解したり、なにが嫌でやりたくないことかって表現したり、表現はできなくてもその意識があるだけで自分ができることが広がっていくんだなと思います。

The Wisely Brothers
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作品情報

The Wisely Brothers『Captain Sad』
『さよなら、退屈なレオニー』

2019年6月15日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で順次公開
監督:セバスチャン・ピロット
出演:
カレル・トレンブレイ
ピエール=リュック・ブリラント
上映時間:96分
配給:ブロードメディア・スタジオ

リリース情報

The Wisely Brothers『Captain Sad』
The Wisely Brothers
『Captain Sad』(CD)

2019年7月17日(水)発売
価格:2,800円(税込)
COCP-40901

1. 気球
2. テーブル
3. つばめ
4. はなればなれピーポーズ
5. イルカの背中
6. 柔らかな
7. Hobby
8. いつかのライフ
9. ナイトホーク
10. River
11. Horses/馬たち

プロフィール

The Wisely Brothers(わいずりーぶらざーず)

都内高校の軽音楽部にて結成。真舘晴子(Gt.Vo)、和久利泉 (Ba.Cho)、渡辺朱音(Dr.Cho)からなるオルタナティブかつナチュラルなサウンドを基調とし 会話をするようにライブをするスリーピースバンド。 2014年下北沢を中心に活動開始。 2018年2月キャリア初となる1st Full Album「YAK」発売。 同年11月7inchアナログ「柔らかな」発売。 2019年7月17日に2nd Full Album「Captain Sad」をリリース予定。

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