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SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiNが歌う、優しさのための「不関与」

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:永峰拓也

「今ここに自分の居場所はない」っていう諦めから始まったからこそ、その中で通じ合える人と出会う心の旅を音楽にしている。

―“So Young”で<別のとこへ行け><与えられた景色を捨てて / 青色に塗り潰すんだ>と、今ここではない場所への憧憬が蒼さとして表出しているし、“サンライズ”では、「まだ見ぬ方」みたいに聞き慣れた言葉ではなく<誰もが 見ない方>に陽が昇ると歌っていますよね。誰もが見ない方に光を見ようとするのが面白いなあと思って。

ヤブソン:うわ……言われみたら、確かにそうだ(笑)。まだ見ぬ方とか、光射す方とかじゃなくて<誰もが 見ない方>……! 今言われて気づきました。もう、根本的な感覚で書いてるからこそ自覚できてなかったんでしょうね(笑)。ある意味、話してきたことが全部出てる歌っていうか。それこそMINOR THREATの『Out Of Step』のジャケット写真みたいなイメージですよね。

―飛び出した羊と同じ方向を向いている羊は、あの絵の中にいないですよね。

ヤブソン:おおー…………! いい話を聞きましたね。

MINOR THREAT『OUT OF STEP』ジャケット写真
MINOR THREAT『OUT OF STEP』ジャケット写真(Amazonで見る

―いや、そうじゃなくて(笑)。ご自身ではどうですか。

ヤブソン:(笑)。“戦争は終わりにしよう”が起点になった作品だからこそ、自分を取り巻いている世界のことや、その環境に自分の思うこと……全部出てきたんだろうなって。結局、僕が<誰もが 見ない方><別のとこへ行け ここでも良いけど>という言葉で歌いたいのは、選択肢はたくさんあるんだっていうことなんですよ。自分次第、選ぶのは自分。オルタナティブっていうのも、そもそもそういう意味じゃないですか。

物理的にも精神的にも行きたいところがあったとして、だけど99%の人がそんなところには行けないから悩んでる。でも考え方ひとつで、この場所でも景色が変わるっていうことを歌いたいんです。僕自身が「今ここに自分の居場所はない」っていう諦めから始まったからこそ、その中で通じ合える人に何人出会えるのかなっていう心の旅を音楽にしていると思うんですよ。

ヤブソン

―まさに、自分の場所、自分だけの聖域、誰にわかられなくても自分にとって大事なものをとても丁寧に包む音であり、歌ですよね。

ヤブソン:できるだけ多くの人に伝わってほしいという想いももちろんありますけど、僕個人の実感や体験を納得いく形で表したいという気持ちがやっぱり強いです。それこそ最後の“記念日”という曲がそうなんですけど――僕は、東京の大田区で生まれて今も大田区に住んでるんですね。そこで、毎年8月15日に花火大会があって。その花火を歌った曲でもあるし、終戦記念日のことを思って歌った曲でもあるし、僕の祖母を思って書いた曲でもあるんですよ。

去年、祖母が急にバスに乗ってる最中に倒れてしまい。お医者さんからもかなりシビアな状況だと言われ続けていて。その後本当に奇跡的になんとか退院できたんですけど、「このまま私は死ねればよかった」って祖母が病室で言ってるのを聞いた時があったんです。そう言っている病室には、親戚全員が集まった写真が飾ってあって……それを見た時に、全部そこに、写真にだって写ってるよ、って思ったんです。というか思いたかった。

そういう祖母に対しての気持ちと、終戦記念日と、毎年終戦記念日に行われる祖母の家からも見えた花火が全部ない混ぜになったのが“記念日”なんです。

ヤブソン

―悲しいことだったり、大事なものを失う恐怖だったりを知るからこそ、何を愛して生きていくべきかが見えてくるということですか。

ヤブソン:きっと、そういうことなのかもしれないですね。

―どう生きてどう死ぬのか、現状での答えを言うとすればどういう言葉になりますか。

ヤブソン:……憎しみや争いを知れば知るほど、そこから、それに抗うためのヒントを得られるんじゃないかって思うんですよ。だから、歴史上の戦争のこととか、人間がどんな経験をしてきたかとか、そういうところから優しさや愛みたいなことを知ることができるんじゃないかなって――そういう意識があったんじゃないかって、今日話していて改めて思いました。

パンクって一見バイオレンスなもの、あるいは反社会的な表現として部分的に切り取られることが多いかもしれないですけど、寛容さを持って一人ひとりを尊重する生き方を肯定する姿勢のことだと思うんですよ。今いる場所の居心地がもし悪いなら、自分が選んだ好きな場所へ抜け出せばいいんだよって。

ヤブソン

―その本質を改めて見つめ直せる話を今日は聞けたと思っています。

ヤブソン:まだまだ僕はパンクに憧れていて、その本質がなんなのかを知るための志半ばだから、大それたことは何も言えないんですけど。でも、争いやネガティブな感情が可視化されて、溢れているかのように見える今の世界だからこそ、この作品を作ったんじゃないかなって思ってますね。愛という言葉の意味を、いまだに僕は全然分かっていないですし、言葉にするのも照れてしますし、とても恥ずかしいんですけど。だけど、それを知るためのヒントも、もしかしたらそこにはあるのかもしれないなって思うんです。

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リリース情報

SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
SEVENTEEN AGAiN
『ルックアウト』(CD)

2019年7月10日(水)発売
価格:2,160円(税込)
KKV-074

1. ピリオド
2. サンライズ
3. ルックアウト
4. Don't Know Why
5. So Young
6. Calling Dark
7. 悲しい顔しないでよ
8. 意味はないなんて強がらないで
9. 戦争は終わりにしよう
10. 記念日

イベント情報

『ルックアウト レコ発ツアー』

2019年9月21(土)
会場:宮城県 仙台FLYING SON

2019年9月22日(日)
会場:山形県 酒田hope

2019年9月28日(土)
会場:神奈川県 横浜F.A.D

STARVINGMAN & LINK split CD『ichigo』
SEVENTEEN AGAiN『ルックアウト』
発売記念 合同企画ライブ

2019年10月12日(土)
会場:宮崎県 宮崎ぱーく

2019年10月13日(日)
会場:佐賀県 佐賀大学校内

2019年10月14日(月祝)
会場:福岡県 博多・四次元

2019年10月19日(土)
会場:大阪府 大阪 NOON

2019年10月20日(日)
会場:愛知県 名古屋zion

2019年10月22日(火祝)
会場:東京都 某所 ツアーファイナル

プロフィール

SEVENTEEN AGAiN(せぶんてぃーん あげいん)

2000年代中旬に活動を開始。ヤブソン(Vo,Gt)、ロッキー(Ba)、スズキカズ(Dr)による3ピースパンクバンド。ライブハウスを起点にアンダーグラウンドで広域に亘るネットワークを構築し続ける。投げ銭制の自主企画『リプレイスメンツ』を主催するなど、人それぞれの価値観を問いながらD.I.Y.な活動を展開。ギターポップからインディーロック、オルタナティブロックまでを消化した音楽性を持つ。2019年7月10日に、3rdフルアルバム『ルックアウト』をリリースした。

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