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渡會将士が塗り替えた自分。強がりを脱いで出会えた人の温かさ

渡會将士が塗り替えた自分。強がりを脱いで出会えた人の温かさ

『NEWTOWN 2019』
インタビュー・テキスト・編集
中田光貴(CINRA.NET編集部)
撮影:山川哲矢(Showcase)

聴き手と自分とを双方で上げることは、自分がやってきた作詞の中で大事な要素。

―そのマスターピースって、自分自身で言葉にするとどのようなものだと思いますか?

渡會:うーん……1つとは限らないと思うんですけど。例えば、俺はずっと自分が聴き手だと思って曲を作っていて。だから自分がファンとして感情移入して聴いたときに、気持ちを下げられるような曲は嫌だと思っています。聴き手と自分とを双方で上げることは、自分がやってきた作詞の中で大事な要素ですね。

―それに気付かされた瞬間って、あったりしますか?

渡會:ベイビーレイズJAPANさんに“Pretty Little Baby”っていう曲を提供したときがそうで。この曲には、ちょっと弱気な男性と、それをユーモアでフォローする女性が登場するんですけど、その中で<そうよ、私がついてるわ / ユーモア思い出して>という歌詞を書いたんですね。

この曲は、それまで自分が関わってきた人たちと全く違うファン層の方が聴いてくださって。そのファンの方が「ユーモアを持ちなさいと怒られるのではなくて、元々あったんだから思い出してっていう歌詞に、『そっか、俺にも元々ユーモアはあるんだ』というふうに勇気付けられました」と言ってくれたんです。具体的に挙げると、そこで再認識させられたって感じですかね。

渡會将士

FoZZtone時代は、本来の自分から逃げ続けて火星まで着いたみたいな感じはあるかもしれない。

―FoZZtoneの頃の渡會さんは「過剰さ」っていうところに安心を求めている方だった印象があって。

渡會:そうですね。それは思います。

―だから毎作実験だった気もするし、だからこそFoZZtoneに対して「隠れ蓑」という言葉を使われたと思うんですけど。逆に隠れ蓑を脱いだ自分ってどんな人間だと思われました?

渡會:それこそ最近見つめ直して、自分はすごく人のせいにしてきたやつだなと思いました。それを守ってもらっていたのがFoZZtoneのときで。今それがなくなって、あの頃の無茶も強がりもしなくなってきたみたいな。

FoZZtoneは、メジャーとの契約が切れたあと、どうやっていこうかとすごく考えた時期があって。それで色々考えていった結果、過剰にやった最初のアルバムが『NEW WORLD』(2011年)だったんです。そこで『CDショップ大賞』にノミネートされたり、ひとつ評価されたことが「過剰さ」に対して安心を求めてしまうことにも繋がったんだと思います。

渡會将士
FoZZtone『NEW WORLD』(2011年)収録曲

―先ほど「バンドは隠れ蓑だった」「その頃はオラオラなやつだった」とおっしゃいましたけど、渡會さんは本来の自分から逃げるようにして壮大さと過剰性を求めて、その象徴のひとつが「火星」だったのかなという気がしていて。

渡會:そうだと思います。認められたかったですし、とにかくどうやったら売れるだろうって考えてたのに、売れ線をやらなかったってことはそういうことなんですよね。本来の気持ちとしては売れたいのに、一方では「人と違うこと」「自分を武装すること」を目的にしていたところがある。そこが乖離していたというか。そういう意味で、本来の自分から逃げ続けて火星まで着いたみたいな感じはあるかもしれないです。

―その上で今の話に戻って来るんですが、FoZZtoneでは「過剰さ」に安心を求めていたのに対して、今の自分が安心を感じられるものってどういうものだと思いますか?

渡會:安心を感じられるもの……。すごく地味な話ですけど、今弾き語りのツアーを回っていて、各地で「ご当地替え歌」をやってるんです。そのために県の「あるある」をめっちゃ調べてるんですよ。笑えるネタを引っ張ってきて、ディスらないように、でもちょっと軽いディスが入ってるほうが笑えるよな、とか。

毎回ドキドキですけど、聴き手のことを考えて、準備をして、それがウケたときが一番安心しますね。

―その地域のことを調べて歌うということは、そこで生きている人たちの生活と向き合う行為だとも言えますよね。その意味で、自分と人とが向き合って生まれる接点をどういうところに感じられるようになりましたか。

渡會:そうですね……。ソロになって、いい歳して人に怒られたときに、接点を感じたというのはありますね。バンド時代は、頑張りが報われないことに腐っていた部分があって。その原因をたぶん全員がわかっていたのに、誰も怖くて口を出せなかった。なので、バンドの中でそういう会話を避ける空気があったんです。

だけどソロになってから会う人たちは、それを平気で「そういうの本当によくないと思うよ!」って言ってくれて。

―大きな意味での「愛」ですよね。

渡會:そうですね。そこでようやく、怒ってくれる人に会えたし、怒ってもらえる俺になれた気がしたんですよね。

自分がこれまで避けていた、思った意見を真摯に伝えることが、いつのまにか行われていて。今の自分の環境に「色々間違えてはきたけれど、間違えてないこともあったんだな」って、再確認でき始めたという感じです。

渡會将士
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リリース情報

渡會将士
『ウォーク アンド フーズ』
渡會将士
『ウォーク アンド フーズ』

2019年5月1日(水)
価格:3,000円(税抜)
PML-2003 / PML-3001

[CD]
1. カントリーロードアゲイン
2. モーニン
3. ビューティフルガール
4. 前夜祭
5. 区役所に行こう
6. カーディガン

[DVD]
1. Ride on Tide(MV)
2. Squall(MV)
3. Tomorrow Boy(MV)
4. モーニン(MV)
5. Weather Report(MV)

イベント情報

『JAPAN? TOUR』

2019年10月11日(金)
会場:大阪府 LIVE Bar 酔夏男

2019年10月19日(土)
会場:北海道 musica hall café
※昼公演、夜公演あり
※夜公演はSOLD OUT

2019年10月26日(土)
会場:宮崎県 ぱーく
ゲスト:カワサキイタロ、棘侍まる

2019年10月27日(日)
会場:佐賀県 ROCK RIDE
ゲスト:シャケトリップ

2019年11月2日(土)
会場:青森県 cafe bar ATOM
ゲスト:洞口隆志(SWANKY DOGS) / 小林康平

2019年11月3日(日)
会場:岩手県 Club Change
ゲスト:SWANKY DOGS

2019年11月4日(月・祝)
会場:栃木県 ASHIKAGA SOUNDHOUSE PICO

2019年11月10日(日)
会場:岡山県 城下公会堂

2019年12月1日(日)
会場:石川県 もっきりや

2019年12月8日(日)
会場:東京都 晴れたら空に豆まいて
※SOLD OUT

2019年12月14日(土)
会場:京都府 紫明会館

2019年12月15日(日)
会場:島根県 松江B1
ゲスト:後藤謙 / 日向時間

『ONIWARA TOUR』

2019年11月9日(土)
会場:大阪府 OSAKA MUSE
ゲスト:鶴

2019年11月16日(土)
会場:東京都 SHINJUKU BLAZE
ゲスト:LUNKHEAD

2019年11月30日(土)
会場:愛知県 名古屋 E.L.L.
ゲスト:the quiet room

『NEWTOWN 2019』
『NEWTOWN 2019』

2019年10月19日(土)、10月20日(日)
会場:東京都 多摩センター パルテノン大通り、パルテノン多摩
東京都 多摩センター デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧 八王子市立三本松小学校)

プロフィール

渡會将士(わたらい まさし)

2002年、FoZZtoneを結成。2007年にEMIミュージック・ジャパンよりメジャーデビュー。全作品のアートワークと歌詞を手掛け、ほとんどの楽曲を作曲する。枠にとらわれないさまざまなアプローチで活動を展開するが、惜しまれながら2015年2月にバンド活動を休止。その後ベイビーレイズJAPANの10thシングル“Pretty Little Baby”を楽曲提供し、2016年にはソロミュージシャンとして初となる1stフルアルバム『マスターオブライフ』をリリース。2017年には1stミニアルバム『After Fork in the Road』、2018年10月に2ndフルアルバム『PEOPLE』をリリースし、全国ツアー『渡會将士 TOUR 2018 PEOPLE』を行う。2019年5月に2nd ミニアルバム『ウォーク アンド フーズ』をリリースし、東名阪+埼ツアーを行う。今現在、全国弾語りツアー『渡會将士 JAPAN? TOUR』を開催中。

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