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ハルカミライ、躍進の理由。ヒーローすら必要ない領域へ行きたい

ハルカミライ、躍進の理由。ヒーローすら必要ない領域へ行きたい

ハルカミライ『PEAK'D YELLOW』
インタビュー・テキスト
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:嶋本丈士 編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)

バンドメンバーがいるから、俺はどんなに切ない歌もバコーンと前向きなものにして打ち上げられるんです。

―自分の思う理想に辿り着きたいっていうのは、昔からの癖みたいなものなんですか。それともきっかけがあるものなんですか。

橋本:ずっと変わらない癖みたいなもんだと思います。小学校の図工の授業でも、上手く描けないだけで泣いてて。有名な人の絵を見たり、綺麗な風景画を見たりして、「こういうふうに描きたいんだ」ってイメージするわけですよ。でも小学生の絵の技術なんてたかが知れてるじゃないですか。なのに、「こういうふうにならない」って言って、提出しなかったりとか。

―たとえば歌を始められたのも、これは自分が一番になれると思えたからだったりするんですか。

橋本:そうですね。昔から家族に歌が上手いねって言われてたのもあって、ボーカルスクールに入ったんですよ。そこでゴスペルに出会ったんですけど、ゴスペルってセンターがわかりやすいじゃないですか。上手い人が、真ん中に立って歌える。その「主役」が自分にとって最高に気持ちよかったんです。

なににおいても不完全なことが人間の美しさなのも知ってるんです。だけど自分は完璧だと思える瞬間をずっと追い求めてきた気もしていて。その揺れを超えていくようにして、バコーンと花火を打ち上げていくライブがしたいんですよね。バンドメンバーがいるから、俺はどんなに切ない歌もバコーンと前向きなものにして打ち上げられるんです。自分1人でやったら、間違いなく切ない歌になるから(笑)。

左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊
左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊

―学くんがロックバンドやパンクロックに惹かれたのも、今お話いただいたことが大きいんですか。

橋本:そうなのかもしれないですね。なんにせよ、答えなんて出ないってわかっているものでも、考えて追い求めていくところが人間ってカッコいいじゃないですか。だから説明は要らないと思うし、それこそパンクって、とにかく自分自身で考えて強く生きていくための音楽だと思うので。その、ゴタゴタ説明するよりも自分で考えて進んでいく姿に惹かれたと思うんです。「そういう人間になりたい」っていう願いみたいなものだと思うんですけどね。

めっちゃ思ったんですよ、「歯ブラシが2つ並んでる」みたいな言い方はもういいよって。

―そうして自分自身を振り返ったり、弱さを自覚したり、いろんなタイミングの上で今作『PEAK’D YELLOW』を作られたことはよくわかりました。『永遠の花』以降のキックオフでもあると思うし、幕張メッセという大きな舞台を前にしてのストレートパンチでもあると思うんですけど、それ以上にご自身の内面を改めて掘って、ただ圧倒的に突き抜けるしかないんだという答えだけを置いていくような歌になっていると感じました。

橋本:これはちょっと違う話になるかもしれないんですけど……簡単な歌モノとか、それこそ「愛してる」だけの安易なラブソングとか、あるいはただ上手な言い方を狙うだけの歌とか、そういうのは聴き飽きた! っていう感覚が強烈にあって。

そういう「もういい!」っていう気持ちも手伝って、とにかく自分の真実と欲望だけをドーンと歌った曲にしようと思ったんです(笑)。めっちゃ思ったんですよ、「歯ブラシが2つ並んでる」みたいな言い方はもういいよって。

―ははははは! つまり、言い方や言い回しじゃない部分――自分の内面をどれだけ歌に乗せられて言葉にできるのかが歌なんだっていうことですか。

橋本:上手いこと言う合戦みたいな歌が増えて、それが「私たちの気持ちを代弁してくれてる」みたいな感じになっていく――そんな共感はどうでもいいんですよ。それよりも、歌って表現している限りは誰だって唯一無二になりたいわけじゃないですか。代弁よりも、自分を歌うことが大事なんじゃないのかって思うわけです。

左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊
左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊

―<誰よりも光って見せたら / 消えねえ傷さえ意味を持つんだな>っていうところがパンチラインだと思って。ただひたすらに自分の思う理想像にたどり着けたら、今もがいてることも肯定できる道のりになるんだっていう。まさにハルカミライの今と、学くんの目指すものが端的に表されているラインですよね。

橋本:そう、本当にそうなんですよね。今日話してきたことと矛盾するように聞こえるかもしれないですけど、ヒーローとか赤レンジャーの存在すら必要ない領域まで行きたいんですよ。そのために、自分の中の新しいガソリンを探してる……この“PEAK’D YELLOW”の中ではなにも答えは出てないんですけど、でも、もっともっとあるんじゃねえかって思うので。

―一見ストレートなパンクロックですが、その実は全然一筋縄でいかない曲で。一直線に聴こえるけど、サビで微妙にテンポが落ちていたり。2番でAメロの後にCメロが来て、そこでは<へいへいほー>のシンガロングが飛び出す。ストレートさを意図的にひっくり返して、転覆を繰り返しながら爆発していくというのがこのバンドの音楽の面白さなんですけど、これはご自身のフェチズムなんですか。

橋本:これは(須藤)俊のアレンジの妙ですね(笑)。元々は俺が弾き語りでメンバーに聴かせたんですけど、自分のペースで歌える時はまとまって聴こえたのが、4人で合わせるとなると上手くスムーズなテンポにならなくて。それでアレンジを俊に考えてもらって、各セクションが大きく、一直線に聴こえるような形を探していったという感じですね。

で、今言ってもらったCメロが肝で。<へいへいほー>と言えば北島三郎の“与作”だっていうのを塗り替えたかった(笑)。で、俺らって随所にそういう部分が入ってくるんですよね(笑)。“それいけステアーズ”だったら、桜ソングを塗り替えたかったし。

―“それいけステアーズ”は反骨の歌になってるところが面白かったですよね。桜ソングから連想される「出会いと別れ」的なテーマには沿わず、咲き誇る桜がピンクじゃなくてもそれは綺麗だろうっていう精神性が入っていた。音楽的にも歌の内容的にも一切のセオリーにハマらず、全部に「ひっくり返す」っていう異様な執念が感じられるのが最高だと思うんですよ。

橋本:ほんと、そこはバンドのおかげだと思いますね。俺のメロディも歌も、面白くなるのはバンドがあってこそなので。今は結局自分との闘いだと思うし、なによりも自分自身を強いヒーローにひっくり返したくてロックバンドをやってきたところもあると思うんです。

“これさえあればいい”の通り、自分にとって大事なものだけを持ってステップアップするために、どうしたらいいのか。いろいろ迷ってる時期だけど、それがステップアップのヒントになると思うので。ここでもがき切ってやろうと思います。

左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊
左から:関大地、橋本学、小松謙太、須藤俊
ハルカミライ『PEAK’D YELLOW』ジャケット
ハルカミライ『PEAK’D YELLOW』ジャケット(Amazonで見る
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リリース情報

ハルカミライ『PEAK'D YELLOW』
ハルカミライ
『PEAK'D YELLOW』(CD)

2019年11月13日(水)発売
価格:1,100円(税込)

1. PEAK'D YELLOW
2. 君と僕にしか出来ない事がある
3. これさえあればいい

プロフィール

ハルカミライ
ハルカミライ(はるかみらい)

橋本学(Vo)、関大地(Gt,Cho)、須藤俊(Ba,Cho)、小松謙太(Dr,Cho)によって、2012年に結成。年間150本のライブ活動を行いながらデモ音源を制作し、2017年2月初の全国流通音源『センスオブワンダー』を発売。その後もリリースを重ね、2019年1月、1stフルアルバム『永遠の花』を発売。2月より全国ツアー『天国と地獄』をスタートし、全公演ソールドアウトさせる。12月8日には幕張メッセで360°センターステージ、8,888人動員と、彼らにとって史上最大規模となるワンマンライブの大舞台に立つ。

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