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永原真夏が歌い切る。多様性への目配せより、目の前の君を愛す

永原真夏が歌い切る。多様性への目配せより、目の前の君を愛す

永原真夏『ラヴレター』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:山口こすも 編集:矢島大地(CINRA.NET編集部)
2020/04/02

真逆の人間が集まってひとつのものを作り上げるバンド活動。黒と白だけではない、その中間にあるグレイのグラデーションを表現する言葉。これまで永原真夏が体現し、取材の場で語ってきたのは、常に「多様性」についてだったと言ってもいいかもしれない。そして、特に2010年代後半において「多様性」は時代のキーワードとなり、多くの人にその価値観が浸透したわけだが、それでもなおモヤモヤとした気持ちは消えない。どうやら、僕らはそろそろ次の一歩を踏み出すタイミングのようだ。

ソロ活動で苦楽を共にしてきたSUPER GOOD BANDを解散させ、ピアノトリオを軸とした新編成で制作された新作『ラヴレター』には、そんな「『多様性』のその先」のヒントが詰まっている。昨年配信で発表された“おはよう世界”の<他力本願でいい>という歌詞も、大きなヒントのひとつであり、ここには永原の表現の根幹がよく表れていると言えよう。ジャズやヒップホップといった異ジャンルとの出会いによって、むしろパンクという自らのアイデンティティを掴み直した作品でもある『ラヴレター』について、永原に話を聞いた。

SUPER GOOD BANDが私に教えてくれたのは、「どんな状況になったって、何でもできる」っていう感覚だったんです。

永原真夏(ながはら まなつ)<br>2008年、SEBASTIAN Xを結成(2015年活動休止、のち2017年に再始動を果たしている)。2015年からソロプロジェクト「永原真夏+SUPER GOOD BAND」での活動をスタートし、『BEΔUTIFUL』のツアーを経て2019年11月にSUPER GOOD BANDが解散。SEBASTIAN X結成からの盟友・工藤歩里とのユニット「音沙汰」でも活動する中、2020年3月25日に永原真夏名義でのEP『ラヴレター』をリリース。
永原真夏(ながはら まなつ)
2008年、SEBASTIAN Xを結成(2015年活動休止、のち2017年に再始動を果たしている)。2015年からソロプロジェクト「永原真夏+SUPER GOOD BAND」での活動をスタートし、『BEΔUTIFUL』のツアーを経て2019年11月にSUPER GOOD BANDが解散。SEBASTIAN X結成からの盟友・工藤歩里とのユニット「音沙汰」でも活動する中、2020年3月25日に永原真夏名義でのEP『ラヴレター』をリリース。

―昨年の10月にSUPER GOOD BANDの解散が発表されて、11月にラストライブが行われました。解散を考え始めたのはいつ頃だったのでしょうか?

永原:去年『BEΔUTIFUL』というミニアルバムを作って、そのツアーファイナルが5月に行われて、そのときにSUPER GOOD BANDのメンバーが、「この形でひとつやり切ったな」って感覚を……そのとき言葉にしたわけではないんですけど、あとあと共有したんですよね。それは一個大きなきっかけで、解散を決めたのもその頃、夏前くらいです。

―真夏さん自身も「ひとつやり切った」と感じた?

永原:私自身もそうですね。ソロになって、いつも一緒にいたメンバーがいなくなって、途中で事務所も独立して、今まであったものがなくなったときに、それでも何でも作れる自分にまずはなろうと思って。それがここまでの4年間くらい。私はいろんなものに寄りかからずに創作活動をしていきたいと思っていて、ゼロから何かを作っていくってことがこの4年で掴めたので、またここで寄りかかるものをひとつ減らしてみようと思ったっていうか。バンド出身なので、メンバーが固定でいるっていうのは超安心なんですけど、でももっとどこにでも行けるようになりたいっていう気持ちの表れだと思います。

Spotifyで永原真夏+SUPER GOOD BAND『BEΔUTIFUL』を聴く

―逆に言えば、SUPER GOOD BANDが安心して寄りかかれる存在にまでなったっていうことでもありますよね。

永原:そうですね。バンドって、ルーティーンをどれだけ輝かせられるかだと思ってるんです。それぞれの手癖や性格がそれぞれのプレイヤビリティには入っていて、そこから生まれるいい意味でのルーティーンをどうドライブさせていくか。それが私の中の、長くやっているバンドのイメージ。

でもソロはそうじゃなくて、一個完成したものをもう一回やるっていうのは、違うんじゃないかなって。SUPER GOOD BANDが私に教えてくれたのは、「どんな状況になったって、何でもできる」っていう感覚だったんです。誠実に話せば人は聞く耳を持ってくれる。むしろ、そういうことでしかモノは作っていけない。ギフトのようにもらったその考え方を貫徹するならば、焼き増しはするべきではないなって。

―じゃあ、実際メンバーで解散の話をしたときは、わりとすんなり「そうだよね」っていう感じだった?

永原:んー、みんな「必要だ」って言われたらやるし、やりたいことがあるならやった方がいいと思うっていう、全員ホントにシンプルな答えでした。歩里(工藤歩里 / SEBASTIAN Xから永原とともに活動)だけ「私は次もやりたーい!」って言ったけど(笑)。

永原真夏
永原真夏

―ははははは。

永原:彼らはずっと「必要ならやるよ」ってスタンスからはずれたことがないけど、それぞれの考え方は全然違って、「解散します」って発表するタイミングに関しては超話し合いました。一人は、「解散」って言いながらツアーを回るような終わりの商売はしたくないっていう美学を持っていて、もう一人は、ちゃんと今までお世話になった人とか、好きでいてくれた人が見られる余白を作りたいって言ってて……。

―誰がその発言をしたかも想像できますね(笑)。

永原:で、「どっちもわかる!」と思って、2人の望んだ解禁日の間を取りました。曲作りからプレイに対する考え方まで、すべてにおいて真逆のメンバーが集まってたんですけど、でもそれで一個のものを作れるのは、自分にとってすごく大きなことで。似たり寄ったりの思想で集まって、自分たちの信じるものを濃く作っていくんじゃなくて、相反する人たちの中で、「でも、これはいいよね」ってものを集めていった4年間は、私の考え方そのものだったなって。

―それはきっと、SEBASTIAN Xもそうでしたよね。

永原:そう、「相反する人が常にいる!」みたいな(笑)。でもホントに、全然違う人たちが集まってひとつのものを作れるっていうのは、常に自分のコンパスになってますね。今回の作品も、リズムミュージックの子たちと出会って、「楽器って面白い!」っていう新たなドアが開いたから作れたと思うんですよ。

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リリース情報

永原真夏『ラヴレター』
永原真夏
『ラヴレター』(12インチアナログ盤)

2020年3月25日(水)発売
価格:2,800円(税込)
MNCP-0002

【SIDE A】
1. さよならJAZZ
2. みなぎるよ
3. BLUES DRAGON

【SIDE B】
4. おはよう世界(2020 ver.)
5. 海と桜

【BONUS TRACK】
1. おはよう世界(朗読)
2. 海と桜(朗読)

プロフィール

永原真夏(ながはら まなつ)

2008年、SEBASTIAN Xを結成(2015年活動休止、のち2017年に再始動を果たしている)。2015年からソロプロジェクト「永原真夏+SUPER GOOD BAND」での活動をスタートし、『BEΔUTIFUL』のツアーを経て2019年11月にSUPER GOOD BANDが解散。SEBASTIAN X結成からの盟友・工藤歩里とのユニット「音沙汰」でも活動する中、2020年3月25日に永原真夏名義でのEP『ラヴレター』をリリース。

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