特集 PR

新星・Chapman、混沌とした社会の中で思考停止した脳を揺さぶる

新星・Chapman、混沌とした社会の中で思考停止した脳を揺さぶる

Eggs
インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2020/05/01

これからのご時世、バンドで食っていくのはさらに難しくなる。「誰かになにかを発信している」ということに対して、もっともっと自覚的にならないといけない。(Neggy)

―今話していただいているような社会の話って、バンド内でもよくされるんですか?

NAKADAI:俺とお前で、毎日のようにしてるよな(笑)。

Neggy:そうだね(笑)。僕は本当に、内省しまくりの人生っていう感じなんですよ。毎日毎日、掘り続けているような感覚で。その都度出てくる葛藤を、NAKADAIにはぶつけることができているので、それによって思想やメッセージが磨かれている感じがしますね。

NAKADAI:バンドメンバーとも話すんですけど、特に俺とNeggyは音楽以外の話をする時間も長くて。例えば、星野源の動画に安倍総理がコラボしたときも、すぐにNeggyに電話をかけて「あれ、どう思う?」って話したり(笑)。いちいち、社会のことについて意見をぶつけ合っている感じですね。

Neggy:多分今夜も、NAKADAIに電話してなんか話すと思います(笑)。

―(笑)。いいですね、そういう関係性は。

Neggy:他のメンバーもそうですけど、ビジネスで集まった関係ではまったくないですからね。

Kido
Kido
DOI
DOI
Tee
Tee

NAKADAI:幸せなことだと思います、この関係でバンドをやれているのは。これからのご時世、バンドで食っていくのはさらに難しくなっていくと思うんです。「それでも、音楽をやっていく意味ってなんなんだ?」ということに関しては、僕も内省の繰り返しなんですよね。

その内省の結果、見えてくるのは、「誰かになにかを発信している」っていうことに対して、もっともっと自覚的にならないといけないということで。だからこそ、歌詞は大事になってくるし。その部分がなければ、自分のなかでも音楽をやっていく気持ちはなくなってしまいそうだなと思う。

合理的に判断を下しまくることで、人は成功できるんだろうとは思うんですよ。でも、大成するのは、非合理な決断もできる人。(Neggy)

―『CREDO』収録曲の編曲はすべてNAKADAIさんがクレジットされていますね。

NAKADAI:そうですね。

―編曲をされるときに、Neggyさんの歌詞の世界観も意識されますか?

NAKADAI:Neggyの世界観にあった編曲をすることは、めちゃくちゃ大事にしていますね。例えば、“J.A.M”は「情報」をテーマにした歌詞で。日々、大量に流れてくる情報にうんざりするし、その情報を受け止めきれない自分にも苛立ったりするし。そういう、「とめどなく流れていく情報」っていう歌詞のモチーフに影響を受けて、編曲段階でぶっ壊れたようなギターソロを入れたりしました。そうすることで、情報過多による違和感や狂気を表現できるかなと思って。

NAKADAI
NAKADAI

NAKADAI:この曲は元々、<Stop the radio>っていう歌詞のフレーズから“ラジオ”という仮タイトルがついていたんですよ。そこから「情報が渋滞している」っていう意味で、交通渋滞を意味する「Traffic jam」の「JAM」をタイトルにしたんです。

Neggy:コロナの対策とか政府の方針に関しても顕著ですけど、今は本当にいろんな種類の情報が入ってきますからね。そのなかにはストレスフルで有益じゃないものもあるかもしれないけど、今はもう情報が入ってくることを止めることができないし、自分自身が、その情報を欲してしまう……そういうことが、“J.A.M”の歌詞の前提にはありますね。

Chapman“J.A.M”を聴く(Apple Musicはこちら

NAKADAI:あと、“PILLAR”の途中で環境音が入ってくるじゃないですか。

―なにか、車の音のようなものが入っていますよね。

NAKADAI:あれはミックス段階では入っていなかったんですよ。でも、ミックスの日に立ち合いながら歌詞を見ていたら、<中夜に紛れよう>っていう歌詞が気になったんですよね。「紛れるのかぁ」と思って、それから急いでNeggyに電話して、iPhoneで環境音を録ってもらって。そのままミックスに入れてもらったんです。

Neggy:ちょうど、“PILLAR”を作ったときに頭のなかで描いていた場所があったんですよ。そこにわざわざ、iPhoneで録りに行きました(笑)。

Chapman“PILLAR”を聴く(Apple Musicはこちら

―それは、Neggyさんにとってどんな場所なんですか?

Neggy:御茶ノ水駅の、丸ノ内線とJR線の間に橋があるんですよ。その橋からプラントが見えるんです。その情景をイメージして“PILLAR”の歌詞を書きました。その橋からプラントを見ながら、4年ぐらい前にも、今と同じことを考えていたなと思って。

―どんなことを考えられていたんですか?

Neggy:そもそも、僕は普通に会社員をやりながら『CREDO』を制作していて、そのときに「会社を辞めて音楽に振り切ろう」っていう意識を固めたんです。当時の心情が<Maybe all fine>というフレーズにも表れているんですけど。

それまでも「会社を辞めよう」と考えたタイミングは何度かあったんですよ。でも、辞める利点と辞めない利点を考えると、ずっと「会社を辞める」っていう決断に至れなかったんですよね。それでも『CREDO』を作っている間に決断できたのは、自分のなかに眠っている大切なものって、合理で導き出すことはできないなと思ったからなんです。非合理でも、「なんとなく」でもいいから、「俺はこうするんだ」って決めることが大事なんだなって思ったんですよね。

―本当に、決断することは飛び込むことですよね。

Neggy:そう思います。根拠はなくても、自分が信じるものは必要だなって思う。合理的に判断を下しまくることで、人は成功できるんだろうとは思うんですよ。でも、大成するのは、非合理な決断もできる人だと思うんです。僕は後者を選びたいし、Chapmanはこんな時期に1st EPを出すことになりましたけど、それでも「たぶん大丈夫だ」って言い続けている。

そもそも“PILLAR”は、『CREDO』に入れる予定ではなかったんです。ただ、「CREDO」という言葉の意味や、曲のメッセージを考えたとき、このEPには自分の葛藤が全部詰まっているなと思って。だからこそ、『CREDO』を出す「今」のChapmanの葛藤を描いた曲も1曲、入れるべきだと思ったんですよね。“PILLAR”はそういう想いで作った曲だったんです。

Neggy
Neggy

NAKADAI:この1年ぐらいは、とにかく葛藤が多かったんですよね。Chapmanのメンバーには他にも社会人はいるし、どうやってバンド活動をやっていくのか、どんな規模を目指すのか……そういうところで、すごく悩んだ1年で。

例えば2曲目の“命脈”は、「バンドを辞めた翌日の朝の感情」っていうモチーフでNeggyが書いた歌詞だったんですよ。だから、編曲段階でもすごく現実感を意識して。でも、きっとバンドを辞めた翌日って、まだバンドを諦めきれていないと思う……というか、きっとずっと、僕らはバンドを諦めきれないと思うんですよね。

Chapman“命脈”を聴く(Apple Musicはこちら

Neggy:普通、こんな曲を1st EPに入れないですよね(笑)。「バンドを辞めたときの気持ち」とか、重すぎる(笑)。

―ははは(笑)。でも、そこがChapmanの誠実さですね。

NAKADAI:普通、1st EPはもっと初々しいですよね(笑)。でも、これが俺らのスタンスだなっていう感じです。

Page 3
前へ 次へ

リリース情報

『CREDO』(CD)
Chapman
『CREDO』(CD)

2020年4月15日(水)発売
価格:1,650円(税込)
EGGS-045

1. カーニバル
2. 命脈
3. PILLAR
4. Kind man
5. J.A.M
6. Over the rain

アプリ情報

『Eggs』
『Eggs』

アーティストが自身の楽曲やプロフィール、活動情報、ライブ映像などを自由に登録・公開し、また、リスナーも登録された楽曲を聴き、プレビューや「いいね」等を行うことができる、アーティストとリスナーをつなぐ新しい音楽の無料プラットフォーム。登録アーティストの楽曲視聴や情報は、「Eggsアプリ」(無料)をダウンロードすると、いつでもお手もとでお楽しみいただけます。

料金:無料

プロフィール

Chapman
Chapman(ちゃっぷまん)

2018年8月、中高の同級生らが軸となり結成。平均年齢25歳の5人組バンド。80s~90sのソウルやファンクを軸としながらもジャズ、ヒップホップ、ロック、近年のビートミュージックシーンからの影響をも感じさせる多彩な音楽性に、内省的かつ情緒溢れる詩を掛け合わせた楽曲が魅力。バンド結成1年で『SUMMER SONIC 2019』や、『ツタロックフェス 2019』などに出演し、早耳のリスナーや業界関係者から注目を集めている。4月15日、1stEP『CREDO』をリリース。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

岩井勇気(ハライチ)『ひねくれとか言われても俺はただ自分が進みたい道を選んでるだけ』

ドリームマッチでの『醤油の魔人 塩の魔人』、ラジオで突如披露した推しキャラケロッピをテーマにしたEDM調楽曲『ダメダメケロッピ』など、音楽的な才能に注目が集まる岩井勇気。今回はミツカン「こなべっち」とタッグを組み、自らがマイクを取ってラップに挑戦。しかもこの動画、岩井がこれまでラジオや書籍の中で言及してきた、珪藻土のバスマットや、海苔、メゾネットタイプの部屋、クラウス・ノミなどのネタが詰まっていて、まさか岩井さんの自宅なのでは……? と隅々まで見てしまう。つぎはぜひ、自作のトラックとリリックによる曲が披露されることを待っています。(川浦)

  1. 映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が突きつける、社会に深く根づく性差別 1

    映画『82年生まれ、キム・ジヨン』が突きつける、社会に深く根づく性差別

  2. 横浜流星が「つらいかぜ」を打ち砕く プレコールの新CM「闘い続ける」篇 2

    横浜流星が「つらいかぜ」を打ち砕く プレコールの新CM「闘い続ける」篇

  3. ジョン・レノンが時代に残す闘いの爪痕、ヨーコがもたらしたもの 3

    ジョン・レノンが時代に残す闘いの爪痕、ヨーコがもたらしたもの

  4. 木村拓哉を操上和美が撮影『SWITCH』原宿特集に小泉今日子、池田エライザら 4

    木村拓哉を操上和美が撮影『SWITCH』原宿特集に小泉今日子、池田エライザら

  5. King Gnu井口理が獣医師役 野村不動産「プラウド」ブランドムービーが公開 5

    King Gnu井口理が獣医師役 野村不動産「プラウド」ブランドムービーが公開

  6. 高橋一生主演×荒木飛呂彦原作ドラマ『岸辺露伴は動かない』12月NHKで放送 6

    高橋一生主演×荒木飛呂彦原作ドラマ『岸辺露伴は動かない』12月NHKで放送

  7. カルティエの新作キャンペーンに常田大希、池田エライザ、野田洋次郎ら起用 7

    カルティエの新作キャンペーンに常田大希、池田エライザ、野田洋次郎ら起用

  8. 大滝詠一『A LONG VACATION』40周年記念盤が全音楽記録媒体でリリース 8

    大滝詠一『A LONG VACATION』40周年記念盤が全音楽記録媒体でリリース

  9. YOASOBIがGoogle PixelのCMソングを担当 新曲“アンコール”を起用 9

    YOASOBIがGoogle PixelのCMソングを担当 新曲“アンコール”を起用

  10. スピッツ、全着席のコンサートを11月に東京ガーデンシアターで開催 10

    スピッツ、全着席のコンサートを11月に東京ガーデンシアターで開催