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STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に

STUTSがマイクをとる 数々の音楽家から受けた刺激と経験を武器に

STUTS『Contrast』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:山本華 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/09/23

音楽家としての渇望や希求と向き合った新作──STUTSにとって2018年リリースの2ndアルバム『Eutopia』から2年ぶりのリリースとなるミニアルバム『Contrast』は、その音楽的なスタイルを大幅に更新してみせた1枚だ。

『Eutopia』ではバンドの生音を採取しそれをサンプリングするという手法をベースに構築した1枚だったが、本作ではワンマンライブの音源なども反映しながら、自らの手で組み立てた打ち込みのシーケンスや楽器のフレーズを含め、さまざまな状況から生まれた音を1つのトラック中に融和させている。そんな大胆かつ繊細な制作メソッドを推し進めることで、サウンドもヒップホップとハウスのフィーリングが融和した4つ打ちやダークなダンスホール、アシッドジャズのようなグルーヴを鳴らしているものまで、より多面的な様相を見せている。

そして、全8曲の内2曲ではSTUTSが自らボーカルとラップにトライし、大きな変化を見せた本作の性格を象徴するように存在している。今、彼はSTUTS=MPCプレイヤーというパブリックイメージを能動的に刷新しようとしている。そのマインドチェンジには星野源のサポートメンバーやさまざまなアーティストへのビート提供など、充実した外仕事から享受した刺激も影響しているという。

自粛期間中に制作された本作。「気持ち的に前を向けたらいいなと思いながら作りました」

―スケジュール的に、いわゆる自粛期間は本作の制作に集中していた感じですか?

STUTS:そうですね。ちょうど自粛期間と制作時期が重なってました。曲自体は去年から作っていたものもあるんですけど、本格的に制作に着手したのは今年の2月くらいからでした。

―『CROSSING CARNIVAL'20』をはじめ、自宅からリモートでパフォーマンスするオンラインイベントにもいくつか出演してましたよね。どういう実感がありましたか?

STUTS:不思議な感覚でした。場所は自宅なんですけど、ライブをやった実感はたしかにあって。その感覚が面白かったですね。

STUTS(すたっつ)<br>1989年生まれのトラックメーカー / MPCプレイヤー。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作等を行っている。
STUTS(すたっつ)
1989年生まれのトラックメーカー / MPCプレイヤー。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作等を行っている。
STUTSが参加したオンラインライブ『CROSSING CARNIVAL'20 -online edition-』(2020年5月16日開催)のダイジェスト版

―新型コロナウイルスの状況を鑑みて制作中の楽曲の内容が変化したり、あるいはリリース自体を延期するアーティストもいて。本作には今の世の中の状況が影響した部分があるのか、まったくなかったのかというところではどうですか?

STUTS:意識としてはなるべく普段通りに作りたいとは思ってました。作品のコンセプト自体も世の中がこうなる前から決まっていましたし。でも、制作に充てる時間が増えたことでできることが広がったり、どうしても(今の世の中に対して)考えてしまうこともあったりして。それが無意識のうちに音に反映されている部分はあると思います。

それを具体的に言うのは難しいんですけど、3曲目の“See the Light”は外出自粛の時期にできた曲で。1人で、家でワーッと弾いたシンセをそのまま使っているんです。だから、即興性の高い曲になったなと思います。気持ち的に前を向けたらいいなと思いながら作りましたね。

STUTS『Contrast』収録曲“See the Light”を聴く(Apple Musicはこちら

―“See the Light”はエキゾチックなハウスっぽいアプローチだし、本作は全体的にSTUTSくんの新しいグッドミュージックを提示したいという気概を強く感じます。

STUTS:ありがとうございます。人それぞれの琴線に触れるものがあれば、それがいい音楽なのかなって思うんです。メロディとしてキャッチーではなくても、音として聴いたときにその人がいいと思えたら、それがいい音楽なのかなって。

STUTSが「MPCプレイヤー」から一歩踏み出し、ラップや歌唱に挑戦したわけ

―本作はどういうイメージを浮かべながら着手していきましたか?

STUTS:最初から自分のモード的に、いろんなゲストに参加してもらって作る作品にはならないのかなと思ってました。この1年半くらいのモードが反映されていると思います。

―ビートメイカーでありMPCプレイヤーというよりも、一人の音楽家として次のフェーズに行きたいという欲求を作品全体から感じますね。

STUTS:それはあると思います。自分の軸にMPCプレイヤーとしての側面があるとは思うんですけど、それだけで括られるのも違うなと思っていて。MPCプレイヤーというよりも、もっと大きな意味で「曲を作る人」という面を提示したいということは、けっこう前から思ってました。

もちろん今後もMPCを叩くことで生まれるグルーヴや音のニュアンスを追求したいという気持ちもあるんですけど、自分のやりたいことはそこだけじゃないというか。もともと曲を作りたいという思いからMPCを手にとったので、気持ちとしては作曲する意識がメインにあるんですね。なので、MPCを叩くのは人前で表現する1つの手段として持っているという感覚なんです。

―今作ではSTUTSくん自身がボーカルやラップに挑んでる曲が2曲(M6“Vapor”とM8“Seasons Pass”)あって。これもそういった思いから至ったアウトプットなのかなと。

STUTS『Contrast』収録曲“Vapor”を聴く(Apple Musicはこちら

STUTS『Contrast』収録曲“Seasons Pass”を聴く(Apple Musicはこちら

STUTS:(無言で苦い表情を浮かべる)

―なんでそんな顔するんですか(笑)。

STUTS:まだ自分の声が入った楽曲を発表するということに慣れていなくて(笑)。

―照れもある?

STUTS:照れというよりも不安が大きいですね。これを世に出す不安というか、発表したらどうなるのかなって。

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リリース情報

STUTS『Contrast』
STUTS
『Contrast』(CD)

2020年9月16日(水)発売
価格:2,200円(税込)
PECF-5004

1. Conflicted
2. Mirrors(feat. SUMIN, Daichi Yamamoto & 鎮座DOPENESS)
3. See the Light
4. Contrast, Pt. 1
5. Contrast, Pt. 2
6. Vapor
7. Landscapes
8. Seasons Pass

イベント情報

『STUTS “Contrast” Release Live』
『STUTS “Contrast” Release Live』

名古屋公演
2020年10月17日(土)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN’
1公演目:開場 16:15 / 開演 17:00
2公演目:開場 19:45 / 開演 20:30

大阪公演
2020年10月18日(日)
会場:大阪府 心斎橋 LIVEHOUSE ANIMA
1公演目:開場16:00 / 開演16:30
2公演目:開場19:30 / 開演20:00

東京公演
2020年10月26日(月)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM
開場:18:30 / 開演 19:30

プロフィール

STUTS
STUTS(すたっつ)

1989年生まれのトラックメーカー/MPC Player。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin’』を発表し、ロングセールスを記録。2017年6月、Alfred Beach Sandalとのコラボレーション作品『ABS+STUTS』を発表。2018年9月、国内外のアーティストをゲストに迎えて制作した2ndアルバム『Eutopia』を発表。現在は自身の作品制作、ライブと並行して数多くのプロデュース、コラボレーションやCM楽曲制作等を行っている。

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