インタビュー

Campanellaの共感を求めない姿勢。自分の日常をラップに変える

Campanellaの共感を求めない姿勢。自分の日常をラップに変える

インタビュー・テキスト
宮田文久
撮影:寺内暁 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)
2021/01/07

彼が「いや、普通なんですよ」と言いながら、自身の思いをぽつぽつと語れば語るほど、そこには新たな発見があった。愛知の郊外、桃花台から全国区の存在となったラッパー、Campanella、4年ぶりのフルアルバム『AMULUE』を挟んでのインタビュー。坂本龍一らの楽曲がサンプリングされたトラックに、中納良恵(EGO-WRAPPIN')や鎮座DOPENESS、JJJらの客演――話題性豊かな新作は、コンビニ前で夜空を見上げる彼の日常から生まれている。

ヒップホップは、進化していかないといけない。愛ゆえに、変化を望む

―Twitterで新譜を「傑作!」と呟いていましたね。ご自身でおっしゃる方もなかなか少ない気がしますが。

Campanella:いやあ、いいものになったなあというのと、それぐらいハードルを上げて聴いてもらってもいいんじゃないかなと思えるほど納得できるものになったんで。完成した瞬間に、協力してもらったいろんな人の顔も浮かんだんですよ。……というか、なかなかそこを突っ込まれると思わずに呟きましたけど(笑)。

Campanella(カンパネルラ)<br>1987年生まれ、愛知県小牧市出身のラッパー。名前は宮沢賢治の小説『銀河鉄道の夜』の登場人物に由来。愛称は「CAMPY」。2011年、RCSLUM RECORDINGSのV.A.『the method』に参加。その後、C.O.S.A.とのユニットである「コサパネルラ」名義の作品、フリーミックステープ、CAMPANELLA & TOSHI MAMUSHI名義の作品などを立て続けにリリース。1stアルバム『vivid』(2014年)、2ndアルバム『PEASTA』(2016年)。2020年12月に3rdアルバム『AMULUE』がリリースされた。
Campanella(カンパネルラ)
1987年生まれ、愛知県小牧市出身のラッパー。名前は宮沢賢治の小説『銀河鉄道の夜』の登場人物に由来。愛称は「CAMPY」。2011年、RCSLUM RECORDINGSのV.A.『the method』に参加。その後、C.O.S.A.とのユニットである「コサパネルラ」名義の作品、フリーミックステープ、CAMPANELLA & TOSHI MAMUSHI名義の作品などを立て続けにリリース。1stアルバム『vivid』(2014年)、2ndアルバム『PEASTA』(2016年)。2020年12月に3rdアルバム『AMULUE』がリリースされた。

―すみません……(笑)。制作中の段階から、自信はあったんですか。

Campanella:曲を作っている最中は、正直に言うと、本当になんにも見えないんですよ。曲を並べていった瞬間に、なんとなく見えてくる。アルバムのよさって、そういうところだと思うんですよ。実は、「今やりたいことをすべて詰め込みました」っていうことじゃない、というか。

―どういうことでしょう? 1曲ごとに配信できますから、アルバムという存在自体の意義も問われる状況ですが。

Campanella:けっこう長い時間をかけて作っていったんですけど、自分の感覚も1曲1曲、その都度変わっていくから、アルバムとしてパッケージしたときには「今」じゃない曲もある。アルバムでやった曲だけが自分のやりたいことでもない。でも、それがよさじゃないですか。無理やり全曲くっつけると見えるものがあるのが、アルバムの面白さ。自分自身、アルバム単位で音楽を聴くことが多いです。

―アブストラクトなかっこよさもある新作『AMULUE』ですが、Campanellaさんがラップし始めた頃に好きだったのは、ハードコアなスタイルを貫いたTOKONA-Xですよね。以前に好きな曲として挙げていたトラック群にLL COOL Jが含まれていたのも意外で。

Campanella:入れてましたっけ……(笑)。

Campanella

―その両輪というか、ヒップホップは大好きだけどヒップホップ至上主義じゃない、そんな音を鳴らしている気がするんですが。

Campanella:うーん、それ、難しい話ですねえ。1990年代から現在までのヒップホップを聴いている人だったら、このアルバムを「いい」と言ってくれるんじゃないかと思っていて。自分もそうだったんですけど、1990年代、もしくはその前からずっと今まで(進化し続ける)ヒップホップを聴いているので。「1990年代のヒップホップだけが好き」、というような人だと理解できないかもしれない。このアルバムは一見、ヒップホップのイメージから少し離れているかもしれないけど、音楽としてヒップホップを捉えたときには、絶対に進化していないといけないと思いますし、その結果がこの作品に表れていると思います。

Campanella“Douglas fir”MV

―「進化していないといけない」というのは、1つの思想のようなものですか?

Campanella:単純に、自分が20歳のときと、今の20歳の子たちが聴いている音楽って、そもそも違うじゃないですか。深く考えなくても、やっぱり変わっていくものだから。かっこよく言えば進化だけど、そこに対して食らいつくぐらいのことはしないと、ずっとフレッシュではいられない気がしますね。俺も若くないですから。現場で若い人とコミュニケーションとると、聴いている音楽も当然違うし。

―トラップでさえ、もう古いような感じですか。

Campanella:もちろん、トラップでさえ古いっていう人もいるし……そうそう、リバイバル的なものというか、『池袋ウエストゲートパーク』(2000年放送 / TBS系のドラマ)の雰囲気が、今の10代や20代の人には新しいっぽいんですよ。その感覚とか、もうまったくわからない(笑)。本当にわかんないと思っちゃう自分は、確実に年をとっているわけです。

―その中で、新しい作品を作るわけですね。

Campanella:若い人に合わせたいっていうよりは、若い人もブチ上げたい。もちろん、先輩や年上の人たちにも「いい」と言ってほしいし、自分の同世代にも、全員に「ヤバい」って言われたいなとずっと思ってます。

Campanella

―上も下もみんなに「いい」と言ってもらいたいとすると、そもそもご自身の懐の深さとか、音楽以外も含めた感性の豊かさが問われませんか。Sigur Rósが好きだとか、今作も参加された幼馴染のトラックメイカーであるRamza、Free Babyroniaの2人とFlying Lotusを研究したこともある、といったエピソードもありますが。

Campanella:ああ……そこはもしかしたら、自分個人で今まで聴いてきた音楽の嗜好とかは、実は関係ないかもしれないですね。幼馴染の友だちが、そういう音を作っているんです。幼馴染の音は「近い」から、よく聴くわけじゃないですか。すると、自然とそういう耳になるというか。

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リリース情報

Campanella『AMULUE』初回生産限定盤
Campanella
『AMULUE』初回生産限定盤(CD)

2020年12月23日(水)発売
価格:3,850円(税込)
DDCB-12115

1. AMULUE
2. Bell Bottom
3. Douglas Fir
4. Next Phase
5. Hana Dyson
6. Freeze
7. Minstrel feat. ERA
8. SUMIYOI feat. 鎮座DOPENESS, JJJ
9. Think Free feat. 中納良恵
10. Palo Santo
11. PEARE

プロフィール

Campanella
Campanella(カンパネルラ)

1987年生まれ、愛知県小牧市出身のラッパー。名前は宮沢賢治の小説『銀河鉄道の夜』の登場人物に由来。愛称は「CAMPY」。2011年、RCSLUM RECORDINGSのV.A.『the method』に参加。その後、C.O.S.A.とのユニットである「コサパネルラ」名義の作品、フリーミックステープ、CAMPANELLA & TOSHI MAMUSHI名義の作品などを立て続けにリリース。1stアルバム『vivid』(2014年)、2ndアルバム『PEASTA』(2016年)。2020年12月に3rdアルバム『AMULUE』がリリースされた。

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