主体の錯綜としての自画像、スレイター・ブラッドレー『Perfect Empathy』展

清澄白河のタカ・イシイギャラリーにて、ニューヨークを拠点に活躍するアーティスト、スレイター・ブラッドレーの『Perfect Empathy』展が開催中だ。ブラッドレーは1975年、カリフォルニア生まれ。写真やビデオを用いた作品によって、近年、国際的に注目を集める作家の1人となった。

彼の活動において大きな意味をもつ展示の一つといえるのが、2005年、若干30歳にして開いたグッゲンハイム美術館(ニューヨーク)での個展『The Doppelganger Trilogy(ドッペルゲンガー三部作)』だ。これは、それぞれ悲運の道を辿ることとなるポップ.スター、ジョイ・ディビジョンのイアン・カーティス、ニルヴァーナのカート・コーバン、そしてマイケル・ジャクソンのパフォーマンスを、彼の分身であり、共同制作者でもあるベンジャミン・ブロックに演じさせるものだった。そこにはセレブリティーへの感情移入と、被写体と作者という、主体の二重の錯綜がある。

今回は、ブラッドレー自身を体現する女性のヌード写真に銀のマーカーで色づけをした作品、10数点を展示する。過去のセレブリティーの写真を同様の手法で加工した「Golden」に引き続いて制作された本シリーズは、有名性への問題意識を保ちつつも、被写体と作者の関係が強く浮かび上がる自画像群となっている。

スレイター・ブラッドレー Slater Bradley
『Perfect Empathy』
2008年9月6日(土)~10月4日(土)
会場:タカイシイギャラリー(東京・清澄)
料金:無料

「オープニングレセプション」
2008年9月6日(土)

(画像:Slater Bradley“Perfect Empathy”, 2007 silver marker on c-print 152 x 102cm Courtesy of Taka Ishii Gallery and Team)

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