東洋と西洋で育った映像作家フィオナ・タン個展、古い写真を素材に作られた架空の物語

インドネシア生まれ、オランダ在住の映像作家、フィオナ・タンによる個展『チェンジリング(取替え子)』が、6月15日から東京・初台のWAKO WORKS OF ARTで開催される。

古い記録フィルムや写真を素材として作品を制作してきたフィオナ・タン。彼女の作品に一貫して見られるのは、集団や個人における文化的差異がどのように記録され、どのように人々に記憶されてきたかということへの強い関心、そして記録と物語が互いに浸食し合うことで発生する摩擦や詩性についての文化人類学的な考察だ。

同展の中心となる映像作品のタイトルは、小鬼が人間の子供を取り替えるという古いヨーロッパの伝承を引用したもの。作品の素材には、フリーマーケットで入手した日本人学生の古い写真を使用。いくつもの肖像写真と、静止したままの1枚の肖像写真、それらを覆うようなボイスオーバーのナレーションが、少女、母親、祖母らそれぞれによる自分自身や人生についての独白を語り、作品全体に架空の物語が与えられている。

ドキュメンタリーとフィクションを行き来し、自身の文化的ルーツを探し求めるように彷徨うアーティストの視線は、確固とした記録性を持つ写真や映像がはらむ幻想を露呈させる力を備えているといえるだろう。

フィオナ・タン
『チェンジリング(取替え子)』

2010年6月15日(火)~7月24日(土)
会場:WAKO WORKS OF ART
時間:11:00~19:00
休館日:日、月曜、祝日

(画像:The Changeling 2006 Installation(digital) ©Fiona Tan Courtesy of WAKO WORKS OF ART)

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