美しく神々しい写真作品たち、杉本博司の新作版画展『3 Lithographs』

写真家・杉本博司による新作版画展『3 Lithographs』が、ラムフロム・ザ・コンセプトストアで6月9日から開催される。

杉本は、明快なコンセプトと独自の哲学に基づいたシリーズ写真作品を発表している写真家。昨年は『第21回高松宮殿下記念世界文化賞絵画部門』を受賞し、近年は執筆や設計を手がけるなど活動の幅を広げている。

同展は、1997年から制作を始めた「建築」シリーズから、杉本自身が厳選した3作品の新作版画と、「観念の形」シリーズの版画を展示。旧式大型カメラで撮影されたモダニズム建築の数々は、ぼんやりとした画の中で、よりその本質を浮かび上がらせ、既知の芸術作品を新たな視点で捉え直すという新鮮な驚きに溢れている。また、特別展示として「海景」と「ジオラマ」シリーズから、代表的な作品のオリジナルプリントも展示される。

東京大学総合研究博物館に残されていた明治期にドイツから日本にもたらされたという数理模型を撮影した「観念の形」シリーズは、杉本の「芸術は芸術的野心のないものに宿るのだ」という言葉のように、一見芸術とはかけはなれたところにある美の魂を見事に表現する。美しく、そして、神々しい写真作品から生まれた版画を、ぜひ目にしてみてほしい。

（画像：「Church of the Light, 2009」©Hiroshi Sugimoto）

関連リンク

• lammfromm The Concept Store Official Site（ラムフロム・ザ・コンセプトストア公式サイト）
• Hiroshi Sugimoto