自宅軟禁下で禁じられた映画製作に奮闘、『これは映画ではない』が日本公開

イラン人の映画監督ジャファル・パナヒによる新作映画『これは映画ではない』が、9月から東京・渋谷のイメージフォーラムほか全国で公開される。

パナヒ監督は、アッバス・キアロスタミ監督の助監督を経て1995年『白い風船』でデビューし、同作で『カンヌ映画祭』のカメラドール賞を受賞。2000年の『チャドルと生きる』では『ベネチア映画祭 金獅子賞』、2006年には『オフサイド・ガールズ』で『ベルリン映画祭 審査員グランプリ』を受賞したイランの名匠だ。

『これは映画ではない』は、反体制的なプロパガンダ活動を行ったとして2009年に逮捕され、20年間の映画製作禁止を言い渡されたパナヒ監督が「映画でなければ何を作ろうと違反にならないだろう」と手掛けた作品。共同監督のモジタバ・ミルタマスブがカメラに収めた自宅軟禁中のパナヒ監督の厳しい立場の日常と、脚本を読みながら構想中の映画を再現して行く様子が映し出される。

なお、パナヒ監督は完成した映像データを菓子箱に入れて知人のルートで密かに国外に持ち出し、昨年の『カンヌ国際映画祭』で上映を実現。その後も同作は数々の映画祭で招待上映されるなど、高い評価を受けている。

当局による24時間監視をアート作品に変えてしまった中国人現代美術家のアイ・ウェイウェイのように、どんな状況下でもアーティストは作品づくりを続けていく、というパナヒ監督の覚悟とたくましさを感じることができるプロテストエンターテインメント作品だ。

『これは映画ではない』

2012年9月からシアター・イメージフォーラム他全国順次公開
監督:ジャファル・パナヒ、モジタバ・ミルタマスブ
配給:ムヴィオラ

(画像:『これは映画ではない』 ©Jafar Panahi and Mojtaba Mirtahmasb)

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