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射殺されたイラクの虎が米兵にとり憑く、実話もとにした舞台に杉本哲太、風間俊介ら

舞台『バグダッド動物園のベンガルタイガー』が、12月8日から東京・初台の新国立劇場小劇場で上演される。

同作は、2003年にイラクのバグダッド動物園で実際に起きた、酔ったアメリカ兵によるトラの射殺事件に着想を得て、アメリカの劇作家ラジヴ・ジョセフが創作した作品。射殺されたトラが幽霊となって街をさまよい歩き、自分を殺した兵士に取り憑くという荒唐無稽なシチュエーションを借りつつ、イラク戦争によって引き起こされた人々の狂気、憎しみ、欲望をシュールかつ深く描く。2009年にアメリカで初演され、翌年の『ピューリッツァー賞』にノミネートされている。

日本初演となる今回のキャストには、杉本哲太、風間俊介、安井順平、谷田歩、粟野史浩、クリスタル真希、田嶋真弓、野坂弘が名を連ねている。また、平川大作が翻訳、劇団TRASHMASTERS主宰の中津留章仁が演出を担当する。チケットの会員先行発売は9月26日からスタート。一般発売は10月10日から受け付ける。

平川大作のコメント

『ガラスの動物園』を観劇なさって「あれ、動物が出てこないぞ?」と首をかしげた紳士のみなさま、『動物園物語』を読んで「結局、出てくるのは男二人だけなんだ……」と肩を落とした淑女の方々、お待たせしました。アメリカ発三大「動物園」戯曲の真打ち『バグダッド動物園のベンガルタイガー』をお届けいたします。
どうぞご安心ください。この作品はまさにタイトルに偽りなし、間違いなくトラが登場します。「イメージとしてのトラ」なんて出し惜しみはしません。決して飛ぶことがない鳥の作りもので我慢するしかなかったチェーホフの『かもめ』のことは忘れてください。トラが私たちの前を歩き、語り、その獰猛な本性をむき出しにします。
でも大丈夫。その昔、アテネの公爵が自らの婚礼の余興で吼えたライオンを評してのたまったごとく、こちらのトラも「なかなか礼儀正しいけだもの」で、「分別ももちあわせて」いますから(小田島雄志訳)。
これは、言葉を話すトラの出るお芝居です。だから戦争にまつわる場面がいかに激しく痛ましく描かれようとも、それと同時に芝居ならではの並外れたブラック・ユーモアが弾け、こころ奪われるような幻想が広がり、胸を衝かれるような感情が迸ります。過酷な砂漠のなかに演劇の豊かな時空が生まれる瞬間を、観客のみなさまとともに分かち合えることを心から願っています。

中津留章仁のコメント

アメリカの劇作家、ラジヴ・ジョセフの戯曲。2003年に米兵らが軍用車両で動物園に乗り付け、酒に酔った米兵の一人がベンガルタイガーに食べ物を与えようとしたところ指を噛み切られ、別の米兵が射殺したという実話を元にした作品だと思われる。先日亡くなられたロビン・ウィリアムズが主演している。
ピュリッツァー賞の最終選考に残った程の優れた作品であるが、アメリカでは「近代戦争もの」の集客は難しいという。アメリカ人でも戦争へのメッセージが籠められた作品は重いと感じられるようである。
現代演劇は娯楽的価値と芸術的価値に特化した作品の二つに分類される傾向にある。しかしながら、娯楽=金(経済)という図式が構築される前に、人間は永い年月をかけて芸術=娯楽の関係をつくった。思想に触れる喜びも、ある。
この二つを区別する必要はあるのか? 国立の劇場で、再度、日本人に問う。

イベント情報

『バグダッド動物園のベンガルタイガー』

2015年12月8日(火)~12月27日(日)全18公演
会場:東京都 初台 新国立劇場 小劇場
作:ラジヴ・ジョセフ
翻訳:平川大作
演出:中津留章仁
出演:
杉本哲太
風間俊介
安井順平
谷田歩
粟野史浩
クリスタル真希
田嶋真弓
野坂弘
料金:A席5,400円 B席3,240円 Z席1,620円

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