3.11後の出産を巡る記録映画、女性監督が自らの妊娠と不安を撮影

映画『抱く(HUG)』が、2016年春から大阪・第七藝術劇場、京都・京都シネマほか全国で順次公開される。

同作は、地球温暖化問題をモチーフにした『ビューティフルアイランズ~気候変動 沈む島の記憶~』や 『いわさきちひろ~27歳の旅立ち~』、山田洋次監督と是枝裕和監督を追った『Two Directors : A Flame in Silence』などのドキュメンタリー作品を手掛けてきた海南友子監督による作品。東日本大震災直後に原発から4キロの地点まで近づいて取材を行なっていた矢先に妊娠が発覚した海南監督が、初めて自身にカメラを向けたセルフドキュメンタリーになっている。

作中では、不妊治療の末に妊娠した海南が40歳で初めて出産することや放射能に対する不安と対峙する様子に加え、激しいつわりに苦しむ姿、取材を続けるべきか葛藤する様などが捉えられている。

海南友子監督のコメント

3・11の直後、福島第一原発の事故によって、故郷を奪われた人々の取材を福島で続けるなかで、私は自分の初めての妊娠に気がついた。
不妊治療の末、妊娠はとうに諦めていたのに、新しい生命を授かるなんて...。
水を飲み、大きく息を吸うたびに、赤ちゃんへの放射性物質の影響が心配になる。
取材で出会ったたくさんの母たちの苦しみが、自分の痛みに変わった瞬間だった。
奇遇にも、私の誕生日は福島第一原発の稼働日と同じ日だ。
でも、事故が起きるまで、自分が福島の原発に支えられている事には全くの無知だった。
その自分が、今度は新しい命とどんな未来を生きるべきなのか?を試されていると思った。だから初めて自分にカメラを向けた。
わたしというちっぽけな人間の作品が、たくさんの母たちの想いとつながること、ただそれだけを祈っている。

作品情報

『抱く(HUG)』

2016年春から第七藝術劇場、京都シネマほか全国順次公開
監督:海南友子
配給:ユナイテッドピープル

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