「装幀者」菊地信義の記録映画『つつんで、ひらいて』 監督は広瀬奈々子

ドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』が、今秋に東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

柳楽優弥主演の映画『夜明け』が公開中の広瀬奈々子が監督、編集、撮影を務めた同作は、中上健次や古井由吉、俵万智、金原ひとみら1万5千冊以上の書籍の装幀を手掛けてきた「装幀者」菊地信義を追った作品。手作業で1冊ずつデザインしている菊地の指先から、印刷、製本に至る工程を見つめ、ものづくりの原点を探っていく。撮影は2015年から約3年間かけて行なわれた。

菊地は「紙の本。その装幀という仕事を撮りたいという。言葉を、目から手へ、そして心にとどける仕事。思い掛けない若い監督の、本への思いに絆された。撮られる事で、新たに意識化できることもあるはず。どうあれ、紙の本の魅力を伝えるためにと引き受けた」とコメント。

また広瀬監督は「この映画に映るもの全てが菊地さんとの共作です。今もなお菊地さんへの尊敬の念は深まるばかりですが、これは菊地信義を賞賛するための映画ではありません。本とは何か、自問自答するための映画です」と述べている。

菊地信義のコメント

紙の本。その装幀という仕事を撮りたいという。言葉を、目から手へ、そして心にとどける仕事。思い掛けない若い監督の、本への思いに絆された。撮られる事で、新たに意識化できることもあるはず。どうあれ、紙の本の魅力を伝えるためにと引き受けた。

広瀬奈々子監督のコメント

初めて菊地さんとお会いしたのは、銀座の樹の花という喫茶店でした。「僕は映像は好きじゃない」と言われて意気消沈して帰ってきたのを覚えています。言葉のプロで、ある意味演出家でもある相手に毎回何をどう撮りたいのか説明し、説得するのには大変苦労しました。この映画に映るもの全てが菊地さんとの共作です。今もなお菊地さんへの尊敬の念は深まるばかりですが、これは菊地信義を賞賛するための映画ではありません。本とは何か、自問自答するための映画です。言葉と五感に対する欲求は、作り手にとってだけでなく、誰にとっても重大な問題なのだと思います。

作品情報

『つつんで、ひらいて』

2019年秋にシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開
監督:広瀬奈々子 出演:菊地信義 配給:マジックアワー
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