アニメ映画『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』に今泉力哉、岩井澤健治らコメント

長編アニメーション映画『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』に寄せた著名人コメントが公開された。

村上春樹が日本語訳していることでも知られるレイモンド・カーヴァーの短編小説『シェフの家』にインスピレーションを受けたという同作は、1995年に独立運動が起きたカナダ・ケベック州に舞台を移して、ある元夫婦の過去、現在、未来を全編手描きで描いた作品。監督は、同作が初長編アニメーション作品となるフェリックス・デュフール=ラペリエールが務めた。9月12日公開。

今回コメントを寄せたのは、今泉力哉、岩井澤健治、森泉岳土、セバスチャン・ローデンバック、管啓次郎、町山広美。

今泉力哉のコメント

この映画の男と女の関係がとても好きだ。ためらいも過去も引き連れて心が元気になったらまた始めればいい。そう言われている気がした。絶望の淵の最後の優しさ。そこに流れる音楽のような映画。

岩井澤健治のコメント

中年カップルの儚げな心情を、モノクロームで重なる情景とゆっくりと流れる時間で丁重に紡ぎ、静かな革命のようなアニメーション表現の豊かさを感じさせてくれる。

森泉岳土のコメント

墨の淡いのなかに、波打つ青も、家燃える赤もたしかに見えた。線のゆらぎのなかに、男を照らす光も、女の呼吸もあった。なんて示唆に富んだ映画だろう。かつてしあわせな時間をすごした「新しい街」をふたたび訪れたふたりが見たものに、困難な時代に生きるわたしたちはなにを学ぶのか。

セバスチャン・ローデンバックのコメント

優美で、優しく、自由。これこそが『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』。白と黒で描かれた、壮大なヴィジョン。

管啓次郎のコメント

「新しい」がつく地名は必ず古い。海辺のヴィル・ヌーヴ(新しい街)は、別れた詩人と作家の夫婦の幸福の思い出。二人はどこに帰って行くのか。海、風、星空を描く、白黒アニメーションの驚くべきみずみずしさ。ケベック州の標語「私は忘れない」をそのままに体現する、個人的かつ政治的な、人生をめぐるしずかな省察。

町山広美のコメント

緻密に選びとられた音と線に、感覚の精度をあげられてしまう。硬いと予測したものに触ったらふにゃふにゃで脳がバグるような、感覚の変容を体験する76分。開かれた過去、閉じた未来、そして居場所についての物語。別れた男と女がそれぞれ、相手に置き去りにされたと振り返る。どちらも嘘ではない。いつ孤独に身を固くしたか、その時点が違うだけなのだ。

作品情報

『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』

2020年9月12日(土)からシアター・イメージフォーラムほかで公開
監督:フェリックス・デュフール=ラペリエール 出演: ロバート・ラロンド ジョアンヌ=マリー・トランブレ テオドール・ペルラン 上映時間:76分 配給:ニューディアー
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