『ドライブ・マイ・カー』に隈研吾、黒沢清、ポン・ジュノ、夏目知幸ら賛辞

映画『ドライブ・マイ・カー』に寄せられた著名人コメントが到着した。

『第74回カンヌ国際映画祭』脚本賞、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』は、村上春樹の同名短編小説を映画化した作品。妻の音を失い、喪失感の中で生きる舞台俳優の家福と、寡黙な専属ドライバーみさきが一筋の希望に辿り着くまでを描く。家福役に西島秀俊、みさき役に三浦透子がキャスティング。8月20日から公開される。

コメントを寄せたのは、隈研吾、岩松了、黒沢清、ポン・ジュノ、前川知大、藤田貴大、浦雅春、坂本美雨、瀬戸康史、遠野遥、夏目知幸、門間雄介、伊藤さとり、小川知子、森直人、SYO、松崎健夫、中井圭、立田敦子、後藤岳史。

隈研吾のコメント

​​逃げずに、向き合わなくてはいけないというメッセージが、赤いサーブの美しいエンジン音と共に、今でも僕の車の中に響き続けている。

岩松了のコメント

人はなぜ物語を求めるのかを問う
その動機が知りたきゃ走る車に乗ってみろと言われてるような
そんな素敵な『ドライブ・マイ・カー』!!

黒沢清のコメント

サーブの切り立ったフロント・ウィンドウが、身悶えしながら次々とトンネルに吸い込まれていく。
それは西島秀俊のたどる過酷な運命そのものだ。
こんな自動車映画いまだかつて見たことがない。

ポン・ジュノのコメント

濱口竜介監督は、最近の日本やアジアにおいて、非常に稀有な監督だ。
執拗に、粘り強く、決して焦ることなく、着実に自身が伝えようとするところに辿り着く。
どれだけ時間がかかったとしても。そんな怪物のような強靭さを備えている。
『寝ても覚めても』の時から既に巨匠の領域に入っていたが、その巨匠の領域を証明した映画が『ドライブ・マイ・カー』だ。

前川知大のコメント

濱口監督の映画は、迫力がある。
慌てず急がず、丁寧に、紡ぐように語るのに、妙な迫力がある。それが三時間続く。
いつの間にか、他者という謎と、自分という謎についての気付きが、心の深いところに芽生えていた。
反芻しがいのある、すごい映画だ。

藤田貴大のコメント

見立てられたイメージによって、疾走と失速を同時に見た。初めての体験だった。
わたしたちは飛ぶこともできるが、思考のなかで立ち止まることもできる。
そして、それらはすべて音の残像と余韻に含まれるものだった。

浦雅春のコメント

傷ついたふたつの魂の浄化と再生の物語。「生き残った者は、死んだ者のことを考えつづける……ぼくや君はそうやって生きて行かなくてはいけない」。終幕近くに置かれた主人公のことばが胸に迫る。
全編をとおして木魂しているのは、チェーホフの芝居『ワーニャ伯父さん』だ。「あたしたちは苦しみました、泣きました、つらかった」、そんなソーニャの台詞がリフレーンのように観る者の心のひだに波紋を広げてゆく。静かに、しかし深く……。これは映画史上にも刮目すべきチェーホフ劇として記憶されるだろう。

坂本美雨のコメント

静けさの果てに
人の本当の心が溢れ出す瞬間は
時が止まったように美しく、思わず、息を止めていた。

瀬戸康史のコメント

男性と女性。同じ人間なのに生き物としてこんなにも違うのですね。
そして、そこに「演技」というエッセンスが入ることで、登場人物たちの本心はどこ?と惑わされる。
そこが観ていて可笑しい。濱口組で過ごした時間を懐かしく思いました。

遠野遥のコメント

死者の言葉が現在を生きる登場人物たちの物語と交錯し、作品に奥行きを与えている。

夏目知幸のコメント

喋るほどに空っぽな入れ物になる大人たち。
車や子供やオバケたちが、まったくけしからん!と彼らの周りを駆ける。

門間雄介のコメント

知りたい、わからない、それでも知りたい。
人と人とが理解しあうこと、つながりあうことはとても困難だけど、ここにはその可能性を示す道筋がまざまざと記録されている。
声や語りや芝居の力によって。驚きを抑えられない。

伊藤さとりのコメント

これは、映画史に残るオープニング。
どの俳優にとっても代表作であり濱口竜介監督でなければ達成できない最高傑作を、私は一生忘れないだろう。

小川知子のコメント

同じ言葉を使っていても人と人の間にわからなさはあって、それでも話し、聞くことでその隔たりを乗り越えていく、という希望を見た。

森直人のコメント

これほど緊張感がみなぎる映画には久々に出会った。
プロデュースワークと作家性。多声的なテクストの衝突と、融和の可能性。
あらゆる意味で『戦メリ』(大島渚)を感じる。筆者はこういう闘い方が大好きだ。

SYOのコメント

静謐な作品に見せかけているが、精緻な脚本と隙の無い演出、内面に潜る演技でするりと観る者の心に“合流”し、生の感情を引きずり出す。
「乗せられている」ことすら気づかせない神業に、ただただ震え、敬服した。
この傑作が往く道は、きっと世界に直結している。

松崎健夫のコメント

これは、世界も認める人間賛歌を描いた正真正銘の濱口竜介監督作品だ。

中井圭のコメント

チェーホフの「ワーニャ伯父さん」を劇中劇として抱える本作は、劇内外の物語が共振して葛藤の深度を増していく。村上春樹の短編を再構築し、埋もれた救いを形にする旅に出た濱口竜介の道程には、聖なる赤い箱に身を委ねた巡礼の、静かな温もりが確かにある。

立田敦子のコメント

張り詰めたスクリーンの静寂に、彼らの心の声が聞こえるのではないかと息を詰めて見入ってしまう。
小説ではできない映画表現を最高のカタチで実現した。
この旅は映画館の大スクリーンでなければ体験できない。

後藤岳史のコメント

ともに怒りや痛みを受け流してきた空洞を抱え、ともに身近な存在を殺めたのでは?という強迫観念を抱えている。
舞台演出家の家福と雇われドライバーのみさきは似たもの同士だ。

ふたりの共有空間の赤い車がまがまがしく変質するせつな、一発の銃声の反響が劇中劇の『ワーニャ伯父さん』を招き寄せ、ワーニャと家福が、そしてワーニャの妹ソーニャとみさきが、火影が揺れるように観るものの胸中で呼応し合う。

ワーニャの肩口からソーニャが波動を放つ「長台詞」の場は、村上春樹の短篇が書かずにいた家福とみさきの行く末をも想わせ、怒りや痛みを胸元で濾過したような、清浄・崇高の時空となる。

作品情報

『ドライブ・マイ・カー』

2021年8月20日(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介、大江崇允 音楽:石橋英子 原作:村上春樹『ドライブ・マイ・カー』(文春文庫『女のいない男たち』所収) 出演: 西島秀俊 三浦透子 霧島れいか パク・ユリム ジン・デヨン ソニア・ユアン ペリー・ディゾン アン・フィテ 安部聡子 岡田将生 上映時間:179分 配給:ビターズ・エンド
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