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KREVA、2017年の現在地と、ラッパーとしての矜持を見せたライブ

『KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」』
テキスト
三宅正一
編集:飯嶋藍子
2017/06/27
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KREVA、2017年の現在地と、ラッパーとしての矜持を見せたライブ

最高を更新し続ける「国民的ラップスター」KREVAの矜持

3時間半弱にも及んだ、音楽的にも情報量的にもとても濃厚なライブだった。KREVAが2月にリリースしたSPEEDSTAR RECORDS移籍後初にして、4年ぶりのフルアルバム『嘘と煩悩』を引っさげて開催された全国ツアー『KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」』。その最終公演が6月19日に東京・TOKYO DOME CITY HALLで行われた。

KREVA
KREVA

本ツアーはアルバムリリース後の2月3日に埼玉・戸田市文化会館で幕を開け、バンド編成のホール公演と、KREVAと熊井吾郎が1MC+1DJ&MPCスタイルで臨むライブハウスの公演が織り交ざる形態で進んでいった。

筆者は、ツアーがちょうど中盤を迎えたタイミングでKREVAに話を聞く機会に恵まれたのだが、そのときの発言で印象的だったのは、「『嘘と煩悩』自体がライブを意識して作ったところもかなりあるから、『嘘と煩悩』の曲のあとに過去曲をやると、ライブのストーリー性が広がって、過去の曲もよく聴こえるという相乗効果がある」(KREVAファンクラブ会報誌『KFC TIMES』Vol.7より)ということ。

さらに「『嘘と煩悩』は深く染み入るような曲が多いから、ライブの幅がグッと広がったんだよね。俺はじっくり聴かせる時間を『嘘と煩悩の世界』と呼んでるんだけど、それがすごくいい時間なんだよね。深い時間があるから、今までのライブよりも時間が過ぎるのが早く感じる」(KREVAファンクラブ会報誌『KFC TIMES』Vol.7より)とも語っていた。

KREVA

公演によって異なる編成で臨むとしても、セットリストや演出は同様であり、各会場のオーディエンスが同等の満足感を得るための完璧な準備を、リハーサル段階でしておくことにも注力したという。さすが、である。残念ながら筆者はライブハウス公演を目撃できなかったのだが、総仕上げとなる最終公演を観て、このツアーがいかに充実したものであったのかは十二分に伝わった。KREVAは、本当にライブを重ねる度に最高を更新する。そこに毎度感動させられるし、一流のラッパーであり、エンターテイナーであり、近年は「音楽家」という呼称も違和感なくフィットする彼の矜持を感じる。

KREVA

KREVAが言う「嘘と煩悩の世界」とそこから広がる奥行きの深い音楽像は、五人のバンドメンバー―柿崎洋一郎(Key)、近田潔人(Gt)、白根佳尚(Dr)、岡雄三(Ba)、熊井吾郎(DJ&MPC)―とともに多様なブラックミュージックを軸にした意匠を吸収し昇華した「揺れながら浸れる」コンテンポラリーなグルーヴに富んだものだった。こういった時代性に対するジャストな彗眼や審美眼といい、確実にさらに磨きがかかっているラップといい、あらためてKREVAには「国民的ラップスター」という称号がふさわしいとも思った。

2017年のKREVAの強靭さと、浮き彫りになるラッパーとしてのアイデンティティー

紗幕にメンバーのシルエットとグラフィックが映し出されたあとにKREVAが登場する派手なオープニングの演出を経て、1曲目にアッパーな曲を鳴らすのではなく、『嘘と煩悩』収録のメロウでグルーヴィーなナンバー“ってかもう”をチョイスしていることが、このツアーの芯を最初に提示しているようでもあった。

KREVA

一転して、高速ラップを畳み掛ける“神の領域”で一気にアグレッシブなモードにスイッチが入ると思いきや、「嘘800」と「煩悩108」のコール&レスポンスを挟み、つまりはツアータイトル通り数字を足して「908=KREVA」のアーティスト像と音楽性をトータルで感じてもらうためにと、“Dr.K”“H.A.P.P.Y”“ストロングスタイル”と、ソロ1stアルバム『新人クレバ』、3rdアルバム『よろしくお願いします』までの1曲目をメドレーで繋げて、ラッパーとしてのアイデンティティーと音楽的な振り幅をガイドした。

ファンクやニューソウル、フュージョンなどを彷彿させるサウンドプロダクションでリアレンジされていく過去曲の聴き応えは申し分なかった。それは長年のファンも新規のファンもフレッシュに満たす粋な計らいでもあった。そして、満を持して放たれた、ニューアルバムと本ツアーの顔である“嘘と煩悩”をラガマフィンとサイケが融合したようなアプローチで響かせ、AKLOを招いた“想い出の向こう側 feat.AKLO”ではバンドがシンフォニックなワルツとソリッドな生音ブレイクビーツを共存させ、KREVAとAKLOはタイトに押韻するラップで現在進行形のスキルを誇示した。

KREVA

徐々にメロディアスになっていく『嘘と煩悩』の作品性において、軸足の役割を果たしている“居場所”を皮切りに始まった本編最終ブロック。ラストのメジャーデビュー曲“音色”を聴いて、KREVAが語っていたように、確かに『嘘と煩悩』の楽曲が、過去曲に深く豊かな彩りを与えていることを実感した。2017年のKREVAを立体的に浮き彫りにする、見事なツアーファイナルだった。

KICK THE CAN CREWのメンバーが登場。突如告げられた完全復活

さて、チケットの半券を抽選箱に入れて当選したオーディエンスのリクエストに即座に応える長尺のコーナーも交えて展開されたアンコールは、まるで本編のアフターパーティーでもあるかのような様相であった。さらに、既報の通り終演後に発表されたKICK THE CAN CREWの完全復活とニューアルバムのリリース。

KICK THE CAN CREW
KICK THE CAN CREW

会場でリリースに先駆けて公開された新曲“千%”は、サンプリングとブレイクビーツ主体のトラックで、リリックもかつての名曲におけるパンチラインを散りばめた原点と最新のKICK節を文句なしに堪能できる1曲だった。

アルバムがどんな内容になるか現時点では不明だが、KREVAがKICK THE CAN CREWのメンバーでありトラックメイカーとしてヒップホップの原理的手法であるサンプリングに再び向き合っていることは非常に興味深い。そして、だからこそ、この日のツアーでKREVAのラッパーであり、エンターテイナーであり、音楽家としての核心に触れられた意義はとても大きい。

イベント情報

『KREVA CONCERT TOUR 2017「TOTAL 908」』

2017年6月18日(日)
会場:東京都 水道橋 TOKYO DOME CITY HALL

『908 FESTIVAL in OSAKA 2017』

2017年8月19日(土)
会場:大阪府 大阪城ホール
出演:
KREVA
三浦大知
葉加瀬太郎
MIYAVI
AKLO
and more
料金:7,908円

『908 FESTIVAL in TOKYO 2017』

2017年9月8日(金)
会場:東京都 九段下 日本武道館
出演:
KREVA
三浦大知
and Guest Artists
料金:8,300円

プロフィール

KREVA
KREVA(くれば)

活動の軌跡には常に「HIP HOPソロアーティスト『初』」という肩書きがつくアーティスト。BY PHAR THE DOPESTを経て、1997年、LITTLE、MCUと共にKICK THE CAN CREWを結成。2004年6月に活動休止後、ソロ活動に専念。同年6月18日『希望の炎』をインディーズリリース、9月08日(クレバの日)にメジャーデビューシングル『音色』をリリース後、作品を発表し続けている。2006年2月リリースのセカンドアルバム『愛・自分博』はHIP HOPソロアーティストとしては史上初となるウィークリーチャート初登場1位を獲得。ライブも精力的に行い、夏&冬のFES出演はもちろん、HIP HOPソロ初の全国ホールコンサート、日本武道館2Days、さいたまスーパーアリーナ2Days、大阪城ホール、横浜アリーナ2Daysと伝説を生み続け、動員記録を塗り替えている。2017年2月1日、ニューアルバム『嘘と煩悩』をリリース。常に新しいことへ挑み続けるKREVAは、HIP HOPシーンのみならず日本の音楽界最重要人物のひとりである。

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